QTとは、来季出場権を賭けた試合
26日から始まった「QTファーストステージ(以下「S」)」。LPGAの「ツアー出場資格制度」の改正に伴い、まずは参加資格の説明から必要だろう。今年から「QT」出場資格選手は原則、今月開催された「プロテスト」合格者を含むLPGA会員のみ。それ以外に受験資格を持つ選手は、おもに以下の3条項を有する選手のみとなっている。
【1】10月15日時点でロレックスランキング上位50位
【2】米LPGAツアーで過去に2年連続で賞金シードを獲得した日本国籍選手
【3】「最終プロテスト」出場者で合格順位から2打差以内の選手
昨年まではエントリー可能だった「TP単年登録者」は、出場できない規定になったのが大きな違いだ。昨年までは「プロテスト不合格者」や「ツアー単年登録者」でも、この「QT」を受験可能で、結果的に成績上位に入れば、翌年の女子ツアー出場の道が開けていた。だが、今年からLPGA会員ではない選手は原則、受験自体ができなくなっている。
そうかといってQT自体のレベルが落ちたかと言えば、むしろ、その逆だ。
安田祐香、西村優菜、吉田優利らプラチナ世代をはじめとしたプロテスト合格者の21名(合格ラインから2打差以内の26名が出場可能)は、1位合格者以外は26日からの「ファーストS」から、全員が出場。
狭き門をくぐり抜け、念願のプロゴルファーになっても、この「ファーストS」を通過しなければ、来季のレギュラーツアー出場は、大会毎にある推薦出場など限定的となる。
「ファーストS」自体も房総CC房総G、伊勢CCがそれぞれ22名、周南CCが16名、3会場で合計60名しか「ファイナルS」には進めず、約4分の1がカットされる厳しい道のりだ。
QT「ファイナルS」からはさらに36名が参戦
96名が参加する12月3日からの「ファイナルS」では、さらにワンランクレベルが上がる。「ファーストS」からの進出者に加え、新たに36名が加わるからだ。
その内訳は、プロテスト1位通過者のイ・ソルラ、下部ツアーのステップアップ・ツアーからは、賞金王のヌック・スカパンを除く、石川明日香や仲宗根澄香ら優勝者13名に、賞金ランキング10位以内にランクインした上原美希、ハン・スンジ、沖セイラの3人が参加する。
さらにレギュラーツアーからも19名が来季の「生き残り」をかけてエントリー。まずは今季限りでシード権を失った10名。昨年「マンシングウェアレディース東海クラシック」でツアー初優勝を飾った香妻琴乃や「スタンレーレディス」「樋口久子三菱電機レディス」と複数勝利を挙げたささきしょうこなどに加え、賞金ランキング56~70位のうちの9名が参戦。
今季、レギュラーツアーで3度のトップ10入りした臼井麗香やツアー通算7勝の吉田弓美子など、そうそうたる顔ぶれが「ファイナルS」に乗り込んでくる見込みだ。こんな実力者たちと、つい先日プロテストに通ったばかりの新人プロたちが、同じ土俵で少ない椅子を争うことになる。
すでに「ファーストS」から過去ツアー5勝の表純子や同3勝の渡邉彩香など、ツアー経験豊富な‟実績組“も多数出場していることからも、今年度のQTが、いかに新鋭とベテランが入り乱れての激戦になるかは想像できるところだ。
そして、最終的には「ファイナルS」の順位が、来季スタート時点での「QTランキング」となる。最終的に上位30名程度の位置に入らないと来季序盤の出場権は決して‟安泰“とはいえない。
来る翌シーズンの開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」において今年、この「QTランキング枠」で出場できたのは30名程度。今季「AIG全英女子オープン」を制した渋野日向子も、昨年の「QTファイナル」に参戦。結果は40位にとどまり、開幕戦出場が叶わなかった1人だ。
「QT」に参加する選手にとっては、来季へむけた戦いはすでに始まっている状況。来季のレギュラーツアー出場権をかけた“サバイバル”は最後まで熾烈を極めることになりそうだ。