ツアー最終戦までもつれ込んだ3人の賞金女王争い
いよいよ今週末開催のLPGAツアー最終戦「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」。出場資格を満たした32名による予選落ちなしの4日間競技で、優勝賞金額も3000万円と非常に高額。となると、やはり注目選手は現在賞金女王争いを繰り広げる鈴木愛、シン・ジエ、渋野日向子の3選手でしょう。改めて今季のスタッツを振り返りつつ、本日の3名の様子を見ていきましょう。
まずは現在賞金女王に一番近い位置にいる鈴木選手。本日行われたプロアマではゲストと良い雰囲気でラウンドする姿を見せていました。先週の「大王製紙エリエールレディス」では渋野選手に惜敗し2位でしたが、既に気持ちの切り替えは終わっているようですね。
鈴木選手の強みはパッティングでしょう。今季データを見ると、パーオン時平均パット数は1.7574で2位、1ラウンド時平均パット数も28.8331で2位と非常に高水準です。今季7勝という結果からも、試合運びの上手さ、勝ち切る力が抜きん出ていることがわかります。
続いて現在賞金ランク2位のシン選手。昨年度大会で優勝しており、ディフェンディングチャンピオンという立ち位置でもあります。今年度のシン選手のデータを見てみると、今季の平均ストローク数を見ると69.8882、全選手の中で唯一平均が70を下回っています。すべてのラウンドを2アンダー以下で回っている計算になりますから、すさまじいですよね。
実はシン選手、試合の副賞などで贈呈された飲食料などを児童養護施設等に寄贈していますが、本大会前にも地元の施設にお米などを贈ったようです。この活動を始めて7年、つまりそれだけの間上位に居続けるだけの実力を持っているということ。今季は優勝こそ3回ですが、トップ10数は全選手中最多の17回です。
現在32歳、ツアー全体の若返りが進み、同年代の選手が引退・リタイアを考えている中、賞金女王争いをしているというのはすごいこと。飛距離ではだんだん劣るようになってきましたが、それを技術でカバーしながら自分のプレースタイルを貫いている、そういう強さも感じられます。
そして、現在賞金ランク3位なのが渋野選手。データを見ると、パーオン時平均パット数(1.7571で1位)に加えて平均バーディ数も4.0415で1位と、データ的にも素晴らしい数値。
ルーキーイヤーにして今季4勝、さらには海外メジャー1勝を成し遂げていて、今季一番の成長株と言って差し支えないでしょう。鈴木選手が「(勢いのある渋野選手には)注意したい」とコメントしているくらいの存在感を放っています。
本日のプロアマを見る限り、ショットの調子は相変わらず良さそうです。最終18番ホールをバーディで締めくくり、同組のLPGA小林浩美会長とハイタッチする一幕も見られました。宮崎カントリークラブは渋野選手にとっては経験の浅い高麗グリーンというのもあり、練習ではパッティングやアプローチを入念に行っていました。
改めて3選手の今季のデータを見てみましたが、それぞれの抜きん出た点がわかります。ちなみに初日のペアリングですが、イ・ミニョン、渋野組の後ろにシン・ジエ、鈴木組……熱い展開になりそうです。
最終戦にふさわしい難コース。それに挑む若手たち
先ほど高麗グリーンの話題が出たので、開催コースである宮崎カントリークラブについてもお話しておきましょう。
まず、グリーンの高麗芝は芝目がキツく、順目と逆目でそれぞれ同じ距離であってもタッチや切れ方が変わってきます。このシチュエーションに強いのがシン選手、対して高麗芝に慣れていないツアールーキーの渋野選手はパッティングに注意が必要です。
グリーン周りの芝もティフトン、高麗、野芝、3つの芝が入り混じっており、アプローチの技術を求められますし、グリーン周りのバンカーはアゴが高く、極力避けたいところです。
この難コースに挑むことになる32名の選手ですが、実はそのうちの11名、およそ3分の1が黄金世代、もしくはそれよりも下の世代の若手選手たちなんです。今年のツアーを象徴するような状況ですよね。
賞金女王の行方も気になるところではありますが、技術を要するこのコースで若手たちがどんな戦いを見せてくれるのかにも注目したいですね。