男子では東北福祉大3年の金谷拓実、女子では2000年度生まれ・プラチナ世代の古江彩佳と、男女ともにアマチュア選手がレギュラーツアーで優勝。男子下部ツアーのAbemaTVツアーでも、東北福祉大2年の杉原大河が勝利と、ハタチ前後のアマチュアの活躍が顕著な今年のゴルフ界。ジュニアゴルフの専門家でもあるプロコーチ・井上透に、なぜここまでアマチュアの活躍が目立つのか、その真相を聞いた。

「今の大学生は、歴史上最強の世代です」

「今のハタチ前後の選手たちは、宮里藍、石川遼のバトンを受け取った世代。低年齢のころに彼らの活躍を見て、プロゴルファーを夢見た世代です。女子では黄金世代(98年度生まれ)が中心ですが、男子にも“黄金世代”はあるんです」

画像: 今の大学生世代は宮里藍(2005年の写真)と石川遼(2007年の写真)の2人に憧れた世代だ(撮影/岡沢裕行、武田一男)

今の大学生世代は宮里藍(2005年の写真)と石川遼(2007年の写真)の2人に憧れた世代だ(撮影/岡沢裕行、武田一男)

黄金世代というと98年度生まれの一学年を指す言葉となっているが、井上によれば一学年ではなく、実際は現在大学1年〜4年生世代(97〜00年度生まれ)に分厚い層があるという。

それを示す出来事が、10月31日、11月1日の日程で開催された信夫杯争奪日本大学ゴルフ対抗戦で起こっている。

その初日、金谷拓実は東北福祉大の団体戦メンバーのなかで唯一のオーバーパーとなる「74」でラウンド。すると、その翌日金谷はなんと団体戦メンバーから外され、東北福祉大はエース・金谷抜きで日本大学との激闘を制して優勝。このことで謙虚な気持ちとなったことが、直後の「三井住友VISA太平洋マスターズ」でのアマ優勝へとつながったと金谷はコメントしている。

画像: 今年アマ優勝を遂げた金谷拓実も1998年生まれ。現在東北福祉大学に在学中だ(写真は2019年の三井住友VISA太平洋マスターズ 撮影/姉崎正)

今年アマ優勝を遂げた金谷拓実も1998年生まれ。現在東北福祉大学に在学中だ(写真は2019年の三井住友VISA太平洋マスターズ 撮影/姉崎正)

井上は、杉原大河がAbemaTVで勝ったことにも触れてこう言う。

「今の大学生は、歴史上最強の世代といってもいいと思うんです。金谷くん抜きで日本一になれるくらい東北福祉大は強く、それに負けないくらい日大も強い。だから大胆な予測を言えば、東北福祉大学と日大のレギュラー10人を10試合ずつ出していたら、もうあと2人くらいは勝っていたかもしれない、というくらいです」(井上)

渋野日向子はもしストレートに大学に進学していたら現在大学3年生で、金谷と同学年。“大学2年生”世代にはすでにツアーで勝利を挙げている稲見萌寧らの世代がいて、大学1年生世代はプラチナ世代。すでにプロで勝っている古江彩佳がいて、安田祐香、西村優菜、吉田優利らが控える。

女子プロ界をすでに席巻している世代が、男子では学生ゴルフ界を過去最高のレベルに引き上げているのだ。

なぜ、彼らは若くしてトップレベルに達しているのか。宮里藍、石川遼に憧れ、低年齢からゴルフをはじめたことが有利に働いているのは間違いがないと井上は指摘。その上で、SNSなどの発展による都会と地方の“格差”がなくなったことが大きいと井上は言う。

「昨日ゴルフ学会で発表されたことが、今日にはSNSで誰かが喋っている。技術的な地域差がなくなっているんです。今まで、地方は指導者がいない、首都圏は環境がないと言われていましたが、地方でも最先端の情報が得られるようになっています。また、技術論自体も今まで見えなかった部分が(計測器などの進化により)見える化され、わからないことがなくなってきていることも大きいと思います」(井上)

いまや、プロ選手でもYouTubeで海外の最先端理論に触れ、自分のスウィングに取り入れる時代。デジタルネイティブである今のハタチ前後のプレーヤーにとって、そのような情報収集はもはや自明のものとなっている。

女子ツアーを席巻している黄金世代、そしてそれに続く世代の選手たち。数年後には、男子ツアーで今女子ツアーで起きているのと同じ現象が起こるかもしれない。

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