復調著しいイ・ボミと大ギャラリーを魅了した
今日の渋野日向子選手の組合せは復活優勝を狙うイ・ボミ選手と。
まずは、ボミ選手の復調ぶりに驚きました。ドライバーの飛距離が伸びて、渋野選手と同じかそれ以上飛んでいるホールもありました。怖がらずにしっかりと振り切れていて、一時期の恐々と振る姿はもうありません。まだボギーも多いものの7つバーディを獲り首位に躍り出ました。
一方の渋野選手は前半を2アンダーで折り返すも、最後の17、18番をボギーとし5バーディ4ボギーの1アンダーとし、首位から2打差の3位でフィニッシュ。そのラウンドを振り返ってみましょう。
今日の宮崎の天候は晴れ、風は少し吹いていましたがポカポカ陽気で渋野・ボミ組には大ギャラリーがついて回りました。渋野選手は昨日の練習で注意した「右足かかとが上がるのを少し我慢する」というチェックポイントを朝の練習で青木翔コーチに指摘され、「あ、忘れてた」としっかりと練習してからスタートしました。
昨日までの2日間と違って朝から体はしっかりと動いていました。1番から4番までドライバーでフェアウェイをキープし、パーを重ねます。
5番のパー3でピン奥にオーバーしたティショットからアプローチを寄せきれずにボギーが先行しますが、6番でラフとの境目に止まった4メートルのバーディパットを決め、続く7番も約150ヤードの2打目を3メートルに寄せて連続バーディ。得意のバウンスバックで盛り返します。
8番パー3では1メートル強のパーパットを沈め流れを切らしません。9番パー5では残り40ヤード程の3打目があわやイーグルかというナイスアプローチでバーディ。初日に4パットでボギー、昨日はパー、今日はバーディと日に日にスコアを縮め2アンダーで折り返します。
このバーディで首位のテレサ・ルーに並び会場を沸かせます。前半はパットも入りこのまま突っ走るような雰囲気で折り返します。
ボミ選手も躍動します。10パー4、11番パー5と2.5メートルのバーディパットを渋野選手が外すとボミ選手は11番をバーディとし6アンダー。12番パー3で同じ距離のパットを沈めバーディで7アンダー。二人がいい感じで伸ばし合います。
ただ、13番のパー5ではティショットを二人とも左に曲げ松林の中へ。フェアウェイに戻しますが二人ともボギーにしてしまいます。渋野選手がドライバーを大きく曲げるショットを見たのは、記憶にないくらいですが、パー5でボギーを叩いたことは痛いミスでした。
14番ではボミ選手がバーディ、15番ではイ・ボミ、渋野選手ともにバーディで7アンダーで並びます。
16番のパー3はグリーン手前にあごの高いバンカーが迫り、ピンは松の枝もせり出す右サイドに切られ、難易度を高めています。
このホール、イ・ボミはグリーン左サイドからボギー、渋野選手もバンカーを越えたラフからのアプローチを寄せきれませんでしたがこれを入れてパー。ボミ選手は一歩後退します。
そして残り2ホール、渋野選手はティショットを左の松林に入れ、枝の下を通しグリーンを狙いますが、届かず。エッジからピンの近いラフからのアプローチを寄せきれずボギー。ボミ選手はしっかりとグリーンに乗せ、難しいラインを沈めてバーディとし逆転します。渋野選手は18番でも左に曲げ、またしてもボギー。ボミ選手はパーで締め7アンダーの首位でフィニッシュ。渋野選手は上がり2ホールでスコアを落とし5アンダーでおえました。
17番で左に曲げボギーにし18番でも同じミスが続きかなりイライラしていました。会見で本人も話していましたが15番でもバーディを獲り16番もナイスパーを拾っていただけに17番の左へのミスショットは堪えたようです。
終了後の会見では上がり2ホールを聞かれ「13番のティショットから(感じが悪くなり)、そこからかな...17番は力んで左に飛んだので情けないと思いました」(渋野)
自分ではリーダーボードをみてもまだ3日目なので気にしていなかったと話していましたが、やはりこの最終戦の優勝争いが知らず知らずのうちにプレッシャーとなってのしかかっていたのでしょう。しかし、首位とは2打差の3位で最終日を迎えられるという位置は決して悪い位置ではありません。
終了後の練習では、力むと上体の筋力が強いあまり体が開いてフェースがかぶって下りてくるクセを青木コーチと修正して終えました。賞金女王を争う鈴木愛選手はショットの調子は悪くないものの伸ばしきれずに1アンダー12位タイ、シン・ジエ選手はイーブンパーの17位という状況です。
「優勝することが一番の恩返し」とあくまでも優勝を狙い、出だしからショートするようなゴルフはせずにピンを狙って行けるゴルフをしたいと話す渋野選手。
いよいよ今シーズンも残すところあと18ホールのみとなりました。どんな結末が待っているのでしょうか。これまで経験を糧にして成長を見せてくれてきた渋野選手。明日のドラマティックなエンディングを期待せずにはいられません。