来季のシード権を保有していない選手が出場する女子ツアーのQT(クオリファイリング トーナメント)ファイナルステージが3日から埼玉・こだまGCで開幕。96名が参加し、来季のツアーの出場優先順位を争う。今季、賞金ランキング59位で、ファイナルから参戦の臼井麗香は、昨年同大会で65位と力を出し切れなかった教訓を今年のQTにぶつけるつもりだ。

「ファイナルステージ」には今季のシードを失った選手なども参戦

263名が参加し、60名が進出した「QTファースト ステージ(以下 S)」に続き、東浩子や藤本麻子など今季のシード選手で来季のシード権を喪失した選手や、賞金ランキング50位以内に入れなかった同56~70位までの選手など(51〜55位までは前半戦の出場権が与えられる)、新たに36名が加わる「ファイナルS」。

4日間で行われるこの試合の結果により、来季のレギュラーツアーの出場優先順位が決まるだけに、各選手とも前日練習から念入りな調整を行う姿が目立った。なかでも気合が入っているように見えたのが、自身にとっての今シーズン初戦となった「アクサレディス」でいきなり最終日最終組でプレーするなど目立つ活躍を見せたものの、惜しくも賞金ランキング59位でシード獲得を逃した黄金世代のひとり・臼井麗香だ。

画像: 今季、惜しくもシード権獲得には至らず「QT」で来季の前半出場権確保を狙う臼井麗香(写真は2019年「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」撮影/大澤進二)

今季、惜しくもシード権獲得には至らず「QT」で来季の前半出場権確保を狙う臼井麗香(写真は2019年「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」撮影/大澤進二)

「去年はひとりでQTの会場に来て、キャディさんもいなくてハウスキャディさんにお願いして、それで『はい、じゃあ、QTやって』みたいな感じでしたから(笑)。去年よりは、いい結果になるように頑張りたいです」

前週からコースを入念に周り、3日の本番までに、2.5ラウンドのコースを回り、前日にはコーチで飛躍の原動力となったプロゴルファー・大本研太郎とともに最終調整。さらに4日間ある本番には、今年の「資生堂アネッサ レディス」で渋野日向子のキャディを務め、渋野の2勝目に貢献したベテラン・門田実キャディを起用する。

「いろんな人から言われました。『何で?』って」(臼井)

臼井がこの「ファイナルS」に万難を排して臨むのには訳がある。プロテスト合格後に臨んだ昨年の初めてのQTは65位。結果が求められる舞台で、満足のいく結果が出せずに終わった‟代償“を感じさせられたのは、それから約1年が経過、結果的に来季のシード権獲得を逃してからだった。

「それは本当にいろんな人から言われましたね。数字は出てるのに『何で?』って……」

今季、レギュラーツアー27試合に出場。賞金ランキングこそ59位だったが、トップ10入り3回を記録するなど、臼井のスタッツは今季、同ランキング50位以内に入り、シード権を獲得した選手にも見劣りしない数字が並んでいる。

画像: 今季はレギュラーツアー出場27試合。各部門別のスタッツは複数項目でツアー選手のなかでも上位の結果を残している(写真は2019年「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」撮影/大澤進二)

今季はレギュラーツアー出場27試合。各部門別のスタッツは複数項目でツアー選手のなかでも上位の結果を残している(写真は2019年「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」撮影/大澤進二)

1ラウンドあたりの平均パット数16位(29.6316)、パー3での平均スコア7位、パーブレーク率21位(17.6901)、バウンスバック率13位(18.9055)、平均ストローク35位(72.0267)。シード選手なみの成績が残ったからこそ「何で?」は誰もが感じる疑問なのだ。実際に、シード権を勝ち取った選手と臼井を比べてみても、臼井のほうが項目別の数でも優れているケースもある。

結論として残ったのが試合数だ。臼井のQTランクは65位。これが一桁の選手と比べた場合、前半戦で出場可能な試合の数が数試合は違ってくる。もしもQTで上位に入り、開幕戦から賞金を稼ぐことができていれば……という思いが残るのも当然だろう。来年、開幕戦の出場権を得るには、このQTで25位以内に入ることで一定のメドがつく。

「今のうちから来年は開幕から全試合出場できる可能性を持てるようにしたいです。難しく感じるコースですが、やれることはやったので……」

このQTで上位に入り来季の前半戦の出場権を決めることは、臼井にとっては、今季残った「たら」「れば」を完全に払しょくするための戦いでもある。上位に入れるか、入れないかで出場試合数画大きく変わるサバイバルレース。臼井麗香の2020年シーズンは、すでにこの「QTファイナルS」からはじまっている。

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