代名詞の「バウンスバック率」は当然のように1位
ルーキーイヤーにして国内ツアー4勝、海外メジャー1勝を成し遂げた渋野日向子。その活躍ぶりはみなさんの知るところだろうが、スタッツで見るとどうなるだろうか。今回はJLPGAが公開している2019年シーズンのスタッツを参考に、各分野で渋野がどれだけの成績を残していたのかを調べた。ちなみに、渋野の今年度試合数(日本女子ツアー)は31、ラウンド数は100.5ラウンドだ。
まず全選手の中で渋野が1位だったのは「平均バーディー数」(4.0000)、「パーブレーク率」(22.5539)、「バウンスバック率」(26.0684)の3部門。これらはすべてバーディ以上のスコアを獲った数やその確率に関するデータだ。
渋野のピンをデッドに狙っていくプレースタイルは、1ラウンドあたり4バーディという驚異的なデータとして表れた。とくに、ボギーかそれより悪いスコアを叩いた直後のホールでバーディ以上のスコアを出す確率を表す「バウンスバック率」に関しては、2位の永峰咲希(22.1014)を大きく引き離している。
思い返せば、「AIG全英女子オープン」や国内2勝目の「資生堂アネッサレディス」など、バウンスバックで流れを取り戻してそのまま追い上げる、というシーンは随所に見られた。
では、逆に数値が芳しくなかった項目はというと、「ダブルボギー率」(1.3267、44位)、「サンドセーブ率」(43.3735、34位)、「フェアウェイキープ率」(67.9460、41位)の3部門。これは渋野のプレースタイルの裏返しと言えるだろう。攻めるからこそダボを打ってしまうし、バンカーにも入れることもある。サンドセーブ率はいわば“伸びしろ”と言ったところか。
渋野とは対照的に、もっとも安定したプレーをしていた、と言えるスタッツを叩き出したのが、シン・ジエだ。今季の平均ストロークはツアー史上初の60台、69.9399で堂々の1位。パーセーブ率(90.3747)、リカバリー率(72.5490)もトップだった。
グリーン上での強さが顕著だったのは、やはり鈴木愛。パーオンホールでの平均パット数が1.7561で1位、1ラウンドあたりの平均パット数も28.7901で2位。リカバリー率2位、サンドセーブ率2位と、ショートゲーム関連のスタッツが高水準でまとまっていて、ダブルボギー率も0.5487で1位。2019年賞金女王も納得のスタッツだ。
こうして改めてスタッツを見てみると、賞金女王争いを繰り広げた3選手それぞれの強みがきちんと数字に表れている印象だ。ショットの攻撃力で勝負する渋野、総合力のシン・ジエ、グリーン上で無類の強さを見せる鈴木愛。女王争いが盛り上がるのも納得だ。
各選手のスタッツの全容はJLPGA公式サイトで確認することができる。プロゴルフは自分の目で見てナンボ! という方もいるだろうが、たまには細かな数字に目を向けてみると新たな発見があるかもしれない。