今季の国内男子で3年ぶり勝利など3勝を挙げ、見事な復活を遂げた石川遼。低迷期からのトンネルを潜り抜けた今季は、14本のセッティングでも大幅に手を加えた。その理由を本人に解説してもらった。

向こう2、3年ベストなパフォーマンスを見せるための「土台」ができた

「道具を変えない」ことでも有名な石川遼。近年は不動のセッティングでもあったが、今年からドライバー、アイアンと大幅なチェンジを敢行。18年までの14本のうち、じつに9本が変わっているのだ。

【石川遼の昨年(写真左)と今季(写真右)セッティング】

(18年)→(19年)
1W「XR 16」→「エピックフラッシュ サブゼロ トリプルダイヤモンド」
3W「XR 16」→「エピックフラッシュ」(両方を併用)
2I 「スティールヘッド XRプロ」→「APEXプロ フォージド」
UT「X フォージドUT」(18、19年変わらず)
4I~PW「Xフォージド」→「APEX MBアイアン」
AW(50度)「X フォージド ウェッジ」(18、19年変わらず)
SW(58度)「マックダディ 2」(18、19年変わらず)
パター「オデッセイ プロタイプ ix ♯ 09」(18、19年変わらず)

画像: 写真左が18年最終戦「日本シリーズ JTカップ」(撮影/岡沢裕行),写真右が19年「日本オープン」(撮影/姉崎正)のセッティング。1W、2I、4I~PWまで9本が入れ替わっている

写真左が18年最終戦「日本シリーズ JTカップ」(撮影/岡沢裕行),写真右が19年「日本オープン」(撮影/姉崎正)のセッティング。1W、2I、4I~PWまで9本が入れ替わっている

なぜこれほど一気に変えたのか? 石川はこう言う。

「もうこれはメーカーやシャフトを組んでくださる方々のおかげです。僕はメーカーさんを困らせてしまうほうで『いいものしか使わない』で有名だったので(笑)」

愛用した2I「スティールヘッドXRプロ」が消えた理由

この中で、石川が「最高」と絶賛するのが2番アイアンだ。

「もともと僕はドライバーとアイアン、どちらかと言えばアイアンが好きなタイプ。そのなかでとくにアイアンは、打感と距離感とか、そういった感覚が自分に染みついてそれが縦の距離感を出すためには欠かせないものでもあったのですが、今年の『APEX プロ』は本当に最高ですよ。2番アイアンに関しては、純粋に(昨年までの)『スティールヘッド』を上回った。これまでの2番アイアンのなかでもかなりの‟相棒“ですね」

2017年から愛用した「スティールヘッド」と比べ「APEX プロ」は今年の石川遼に何をもたらしたのか?

「『スティールヘッド』はどちらかと言えばライナー系の低スピンで『飛ばす』イメージで使っていたのですが、『APEX プロ』は『スティールヘッド』よりもスピンが少し増え、より上がるようになり、低い球、高い球の打ち分けがよりできるようになりました。245〜250ヤードキャリーしてくれれば十分というなかで、2Iはティショットで使うことも結構多いので、低いドロー、低いフェードを打つのにすごく役立っています」

ピンポイントでの精度が要求されるミドルホールなどで、自在の球が打ち分けが可能となり、欠かせない1本になったという。

ウッド類は「XR」から「エピックフラッシュ」へ

画像: 来季にむけ「スウィングのバロメーターになる3W」のクラブ変更も検討中という(写真は19年「ブリヂストン オープン」撮影/岡沢裕行)

来季にむけ「スウィングのバロメーターになる3W」のクラブ変更も検討中という(写真は19年「ブリヂストン オープン」撮影/岡沢裕行)

スウィング作りと並行して、試行錯誤してきたウッド選びも、今年から起用した「エピックフラッシュ サブゼロ トリプルダイヤモンド」という新たなエースドライバーができたことが大きい。3番ウッドは「XR」と「エピックフラッシュ」を併用していたが、来年から「エピック」1本に絞り込む予定という。

「僕にとっての3Wは一番球がつかまるので、今の自分の状態や調子を測るバロメーターになるクラブでもあったんですけど、来年以降は『エピックフラッシュ』1本でいけたらと思っています。『XR』との違いはスピン量ですね。今は試合とかも含めて、理想に近いものを作ってもらっている段階なので」

復活イヤーを近年にはなかった劇的なクラブチェンジで果たしたことについて、石川遼はこう語った。

「こうして見ると、スプーンと50、58度以外、全部変わった、変わるということですね(笑)。でも、本当に『いいな』って思ったら代えるってことはできるんですね。セッティングにおいても、間違いなくむこう2、3年、ベストのパフォーマンスをしていくための土台を作れたと思いますね」

その言葉を実証するように、最終戦で優勝してみせた石川遼。積み上げた土台の上で、来季はさらなるパフォーマンスを見せてもらいたい。

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