ケネディが開発した練習器具を石川がテスト
東京よみうりCCの名物18番パー3。たっぷり距離がある上、奥から手前への傾斜がきついトリッキーなグリーンはたとえパーオンしても3パットは当たり前。過去多くのドラマを演出してきたこのホールで、トーナメントリーダーとして臨んだ石川は本戦でボギーを叩いて一歩後退した。その結果先にホールアウトしていたケネディと並びサドンデスのプレーオフに突入。
両者一歩も譲らず2ホール連続パーで迎えた3ホール目。切り直されたばかりのグリーン右奥のピンに向かって美しい放物線を描いた石川のティショットはカップ手前2.5メートルをとらえ劇的バーディ!
腰痛で苦しみ選手会長の重圧に耐えながら掴んだシーズン3勝目に「勝てたのが信じられない。すごく楽しかった」と好敵手ケネディとがっちりと握手を交わし感無量の表情を浮かべた。
じつはケネディ、パットの名手として知られている。45歳になった今季は平均パット39位と数字は残せなかったが選手たちの間では彼のパッティングは評判で「どうやればパットが上手くなれる?」
と多くの選手から相談を持ちかけられるという。
そこでケネディは普段から自らが活用しているカップの幅を狭める練習器具を商品化し日本でも今年の夏販売を開始した。その名も「プロジェクト1パット」。
本人いわく「パットが入らないのは打ち方が悪いと思い込んでいるゴルファーは多いけれど、むしろラインの読みやイメージが悪くて入らない人のほうが多い」。その点を考慮し彼が開発した練習器具にはボールが転がるイメージとカップのどこから入るか、すなわち“入口”を鮮明にする効果がある。
開発段階からこの器具に興味を示したのが石川だった。「契約の問題があるから大きな声ではいえないけれど試作品を試してもらっている」とケネディが打ち明けたことも。
もともと石川もパットは上手い選手。だがパットは水ものだけに日々の鍛錬は欠かせない。賞金ランク3位に躍進した今年は平均パットも3位(タイ)とグリーン上での戦いを制した感がある。とはいえそれが練習器具の成果かどうかは不明だし現在も使用中かどうかもわからない。
16歳でセンセーショナルなプロデビューを飾ってから干支がちょうどひと回り。石川は28歳82日の史上最年少で生涯獲得賞金を10億円の大台に乗せた。来年に迫った東京五輪出場、さらに撤退を余儀なくされた米ツアーへの復帰。石川が歩む道の先にはこれからも多くの挑戦が待っている。