15番ホール、石川遼のティショットは16番ティ付近まで転がってきた
ゴルフ日本シリーズ最終日。16番パー4で今平周吾のティショットを撮り終えて、後ろの石川遼がやって来るのを待つべく15番パー3グリーンに向かおうとすると、コロコロとボールが16番ティ(通常時のレギュラーティかレディスティ)あたりまで転がってきました。
ボールを確認するとキャロウェイのボール。はてさて、この組は3人ともキャロウェイ使用者だな(石川遼、ブレンダン・ジョーンズ、ショーン・ノリス)。いやいや、ノリスはタイトリストのボールか。では石川かBJか。
で、15番のティショットを見ていた人に聞くと、最初に打った選手のボールとのこと。どうやら前のホールでバーディの石川のボールのようです。
この段階で石川、8アンダートップタイ。ですが大オーバーの大ピンチ。ボール位置までやってきた石川は、ボールの落とし所とピンの位置を確認し、打ちました。が、グリーンをとらえることは出来ません。ラフからのパーセーブのアプローチはカップインせずボギー。
この状況を見届け、前をゆく今平を追いかけ17番セカンド地点に向かいます。一体誰が勝つんでしょうか。
17番はセカンドから打ち下ろしのパー5。このコースでは18番パー3同様、試合を大きく動かすホールです。ティショットがフェアウェイをとらえたら2オンが狙えるホールですが、セカンド地点に着くと、今平のさらに前の組(小平智、堀川未来夢、ブラッド・ケネディ)がグリーンを狙わんと待っています。
キャリングボードを見ると、あれ! この組のケネディが7アンダーとスコアを伸ばしています。そのケネディのセカンドショット、ボールはグリーンをとらえず左バンカーです。チップインイーグルなら9アンダー、この時点の単独トップに躍り出ます。
「ここは(ケネディについて)行くしかないよね」と同業者のNカメラマン。「俺は今平を待ってる」とSカメラマン。ここは判断が分かれるところ。そんな会話の後グリーンに向かいます。
イーグルはなかったものの、バーディで8アンダー。ケネディは優勝争いのまま18番に向かいました。シーズン途中の試合ならば、このままケネディを追う展開も考えられますが、今週はツアー最終戦で、今平の賞金王がかかった試合。このまま次の組の今平を待ちましょう。
今平のセカンドショットはグリーンを狙わずに(狙えずに)グリーン手前。3打目のアプローチを寄せて小さなガッツポーズのバーディ。9アンダー単独トップです。
さあ最終ホール。今平にとって、今年の過去2勝は共に短縮試合。ようやく72ホール完走での優勝か、ビクトリーロードが待っています。今平の渾身の18番ティショットはグリーン手前花道。入らずとも寄せてパーで優勝がグッと近づくはずでした。
過去幾多のドラマが最終日のこの舞台で生まれました。グリーンを取り囲む大観衆の前で、今平の賞金王に花を添えるビクトリーロードは幻となりました。アプローチをピン奥に寄せたものの、奥がいけなかったか。そのパーパットをカップに嫌われ、さらにはボギーパットまで……。
ノリスが優勝した場合だけ賞金王を失う、という条件で戦ったこの試合。その条件は、闘う上で難しい側面もあったでしょう。この大会、優勝は逃しましたが、2年連続賞金王は偉業です。
石川遼が今季の最多勝3勝目を挙げ幕を閉じたゴルフ日本シリーズ。プレーオフを3回繰り返し、最後にバーディを決めての優勝でした。この時の使用レンズは24〜105ミリのズームレンズ。ファイナルシーンをこの短いレンズで収めることは極めて希です。ギャラリーに近い位置に最後のピンが切られたと言うことでしょうか。
さて、今これを書いているのはファイナルQT(来シーズンの出場権を争う予選会)会場です。日本シリーズ初日と同じ日に初日を迎えて、日曜までの4日間が予選ラウンド。月曜火曜と決勝ラウンドです。予選では棄権などを除き195名が4日間戦って90位タイまでの106人が決勝2日間に挑みます。もちろん観客はいません。
ここで未来を掴もうとしている106人の決勝に残った選手たち、来年のこの週は、ぜひ日本シリーズで観客を沸かせてください。2020年「東京よみうり」で会いましょう。