アダム・スコットの9回に次ぐ4回目の出場
2年に1度、米国選抜と欧州以外の国籍を持つ選手による世界選抜で争われるチーム対抗戦「プレジデンツカップ」。松山英樹がメンバー入りしている世界選抜は、過去1998年に1度しか優勝したことがないが、今年の開催コースはその唯一勝利を挙げているロイヤルメルボルンGCだ。
98年には丸山茂樹が5戦全勝を果たし、チーム優勝に大いに貢献したが、それも今や21年前のこと。当時優勝チームの選手として出場していたアーニー・エルスがキャプテンとなり、若手とベテランのミックスチームを率いている。
「過去、すばらしいキャプテンがたくさんいたが、彼らから学んだことを今回に生かしたいと思うし、また一緒に回った選手たちから学んだことも今回に生かしたい。このコースはよく知っているし、選手たちにいろいろと教えられると思う。今年のチームはすばらしい若手とベテランのミックスチームだ」
今年からエルスは世界選抜チームの新しいロゴを作った。昨年、シネコックヒルズで行われた全米オープンの会場で何人かの選手にはこのロゴのお披露目をして、どう思うかを聞いたそうだ。そしてこのロゴをどんな思いで作ったのかを説明したという。
「今まで一度も、いわば自分たちのアイデンティティのようなものを持ったことがなかった。だからみんなこのロゴを気に入ってくれている」
米国選抜は、つねに星条旗のもとで心を一つに国の威信をかけて戦ってきたが、世界選抜は国もバラバラで自国のために優勝するという状況にはない。12選手が出場しているが、9カ国の選手たちによるチームとなっている。言語も違えば、習慣も違う。そんな彼らがたった1週間の試合で心を一つに強い想いで戦うには、何かシンボルのようなものが必要だったのかもしれない。
松山英樹はこのロゴについて「最初見たときは微妙だな、と思ったけど、現地に来て(ロゴのついた)キャディバッグを見たら、すごいかっこいいと思った。勝ってやるぞ! という雰囲気を感じるし、キャプテンのエネルギーを感じる」と語っている。
さて、日本からは松山英樹だけが出場しているが、彼も今年で4回目。イム・ソンジェ(韓国)、ハオトン・リー(中国)、アン・ビョンフン(韓国)、エイブラハム・アンサー(メキシコ)、ホアキン・ニーマン(チリ)、C.T.パン(台湾)、キャメロン・スミス(豪州)と7人も初出場選手がいる中、松山はマーク・リーシュマン(豪州・4回目)、ルイ・ウーストハイゼン(南ア・4回目)と並び、すでに経験豊かな中堅選手の域。アダム・スコットは今年で9回目を数えるが、その次に出場回数の多い選手の一人となっている。
「(過去)3回とも勝っていないので、勝ちたい気持ちは強いですし、アダムも9回目でそろそろ勝ちたいという気持ちが強い。優勝に貢献できるように頑張れたらいい」
「英語が話せないので、4回(8年)も出ていればもう少し話せるようになっていたかった、というのはありますが、何か少しでもいい雰囲気作りができればいいな、と思います。困っていることがあれば手を差し伸べることができれば……。リーシュとか、アダム、ルイがそういう雰囲気を作ってくれているので、それも必要ないのかなともいますけど(苦笑)」
今年の米国選抜の平均年齢は32歳であるのに対し、世界選抜は29歳。史上最年少チームだという。プレジデンツカップ未経験の選手が多く、世界ランキングで比較すると米国に劣る世界選抜だが、ホアキン・ニーマン、C.T.パンなど今年初優勝した選手もおり、勢い的には決して米国チームに引けを取らない。
ロゴも新しくなり、若いエネルギーがみなぎっている世界選抜。「このロゴのもとでキャプテンのエルスのために戦って勝ちたい!」という気持ちが強まっている彼らなら、21年ぶりの優勝も夢ではないだろう。今週末の戦いに期待したい。