平成と令和、元号をまたいで2年連続賞金王の称号を手にした今平周吾。その偉業達成から数日後に、ゴルフダイジェスト社を訪れた今平に、今季好調だった自らのショットに関して語ってもらった。

飛距離と方向性の両立を図り、スウィングをチェンジした

今平周吾の今季のスタッツを見ると「平均ストローク」が69.7で全選手中唯一人の60台で1位、安定感で他を寄せ付けなかった。一方で、今季は初めて海外の4大メジャーすべてに参戦したが、すべて予選落ちに終わり、その差を痛感させられもした。

そんなこの一年は、海外のメジャーに挑戦するにあたり、ショットに関して試行錯誤をしたシーズンでもあったという。

画像: 2年連続賞金王に輝いた今平。現在進行形で進化を続けているスウィングを自ら語った(撮影/森浩輔)

2年連続賞金王に輝いた今平。現在進行形で進化を続けているスウィングを自ら語った(撮影/森浩輔)

「シーズン前半は、海外の試合ではドライバーは300ヤードいかないと通用しないかなと思っていたので、反発で飛ばす打ち方をしていたんです。それで飛距離は伸びたんですけれど、反面、曲がり幅が大きくなってしまい、メジャーでは成績が出せませんでした。それで日本に戻って元の打ち方に戻すと安定感は戻ったのですが、シーズン中盤で行った海外メジャーではまた通用しない。それで帰ってきてからは、飛距離と方向性が両立する打ち方にしないといけないと考えたんです」

1年のうちに、飛ばし重視→安定感重視→飛ばしと方向性の両立重視、と考え方を変えたというわけだ。では、飛ばしと方向性を両立させるために、どのような工夫をしたのだろうか。

「右サイドで粘る打ち方に変えてみたんです。そうしたら、今まではインパクトでの手の位置が体の真ん中にあったものが、体の左サイドでハンドファーストで打てるようになり、インパクトゾーンが長くなり球を押せるようになり、飛距離と安定感が出せるようになったんです」

画像: 写真は左は2018年の「ツアー選手権」(撮影/姉崎正)、右は2019年の「セガサミーカップ」(撮影/岡沢裕行)。見た目の変化は極小だが、「Y字」から「逆K字」へとイメージは変化

写真は左は2018年の「ツアー選手権」(撮影/姉崎正)、右は2019年の「セガサミーカップ」(撮影/岡沢裕行)。見た目の変化は極小だが、「Y字」から「逆K字」へとイメージは変化

以前はインパクトでY字になっていた形を、右足を粘ることで逆K字に。その結果、インパクトゾーンが長くなり、飛んで曲がらないショットが打てるようになったというのだ。

今平がこの「右サイドで粘り左サイドで打つ」打ち方を短期間に身に付けた裏には、じつは今平が左利きだということが深く影響をしていた。

「以前はインパクトで軸は体の真中にあったんですけれど、今は右足を粘らせることで、右足の股関節の上でインパクトをするようなイメージで打っています。それでハンドファーストのインパクトの形になるのですが、このときに左手の甲とクラブのフェース面が揃っていて、インパクトはスクェアに当たっていて良いと思います。自分で言うのもなんですが、なかなかこういうインパクトをしている人って少ないですよね」

「利き目が左の左利き」であることがスウィングに活かされている

自らのスウィング写真を見ながら「なかなかこういうインパクトをしている人は少ない」と解説をしてくれた今平だが、それができるのは左利きであることが大きいのではと分析する。

「右利きの選手に聞くと、右手で打っているという人が多いんですけれど、自分は左利きで、スウィングの主体になっているのが左腕なので、その分、フェース面の管理がしやすいんだろうなとは思っています。あと、利き目も左目なのも体の開きを抑えられ、インパクトゾーンを長くできる面で有利なところかなと思います」

左目が利き目の選手といえばタイガー・ウッズ。タイガーは、左目が利き目だからこそボールを見ている時間が長い。そして、顔を上げたときに、彼が「ウインドウ」と呼ぶ番手ごとの理想の枠をボールが通過しているかどうかを重要視している。

海外メジャーすべてに参戦し、すべてで予選落ちという苦しみを味わい、スウィングに磨きをかけながらもケガなく賞金王のタイトルを獲得した今平周吾。

「今のスウィングは、だいぶ理想の感じに近づいてきた感じです」

と、力強く前を向く。2019シーズンの終盤で作りあげてきたこのスウィングをさらにブラッシュアップして迎える2020年シーズン。春先には2度目のマスターズ、そして夏には自国開催のオリンピックが控えている。その先には、もちろん「3年連続賞金王」が視野に入っているはずだ。

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