「どこまでが川で、どこまでがコースなのかも分からない」
利根川水系の渡良瀬川に隣接する古河ゴルフリンクス(GL)。10月12日から13日未明まで激しく降り続いた豪雨により、渡良瀬川が氾濫。古河GLはOUTコースの一部を除き、コースは水没。被災直後の河川の水位は、コースの約9メートルの高さにまで達していたという。
コースが水没した直後の様子を、同GLの若林正樹支配人はこう振り返る。
「川の水が引くまでは、それまでは何も手をつけられない状態。水が引かない限りは被害の状況も分からないわけですし、どこまでが川でどこまでがコースなのかも分からない。実際に水が引いた後のコースには、おそらく上流から流れてきたと思われるボートが2〜3隻漂着というか、流れてきていました」(若林支配人)
上記の写真で右側に写っている白い建物がクラブハウス。コースとクラブハウスの間にある土手の中間部には横一列に連なる状態でシートが張られているが、被害直後の「水位9メートル」とはまさにこの高さ。溢れる水が土手を超え、クラブハウスまで浸水する一歩手前まで迫っていたことがわかる。
「シートが張られているのは、水が引いたときに泥やゴミだけはそこに堆積して残ってしまったためで、近く行政がコース内もそれ以外の敷地も、河川の清掃事業として汚れを取り除く作業を行う予定と聞いています」(若林支配人)という。
徐々に川の水が引き、復旧作業に着手できたのは10月16日。
「OUTコースのグリーンが出てきて、そこを洗い流すところから。グリーンの芝が死んでいなかったのは幸いでしたね」(若林支配人)
月末の30日まで従業員15人に、外注のスタッフ5名を手配し、1日20人態勢で、水が引き再び姿を現したグリーンを洗い続けた。
「10月31日からはフェアウェイのヘドロを取り除いて、芝の種まき、ラフなどコースに堆積した泥をひたすら取り除く作業で、ようやく現在、OUTコースの復旧が完了したところです」(若林支配人)
現在は同GLのOUTコースは被災前に自生していた夏のティフトン芝に、11月から種を撒いた冬芝のライグラスが順調に育ち、景観としても‟被災前“のコースと変わらない状況にまで回復した。
「泥を取り除いたティフトン芝は、今は茶色いですが、泥さえ取り除けば、来年の春以降、またきれいに生えてくる見込みです。そういう意味では、来年の夏前には、もう一段階コースもよくなるはずです。当面はOUTコースのみで営業を再開しますが、年内にはINコースも営業を再開できるようにしたいと思っています」(若林支配人)
19日に‟復活“する古河GLのように、今月に入り、同じ利根川水系では我妻ゴルフ場、東我孫子CCなど、荒川水系では赤羽GCや浮間ゴルフ場などの河川敷コースが、続々と台風19号からの‟復活”を果たしてきている。
もちろん、その舞台裏では1日も早い営業再開にむけ尽力した人々がいる。そんなコースの復旧に尽力した職人たちの不屈の精神に思いを馳せつつ、ゴルファーなら一度は復旧後のコースに足を運んでみる。それこそがコースにとっては復興となるに違いにない。
【11~12月までに営業再開、または再開予定の首都圏の河川敷コース】
(荒川河川敷周辺)大宮国際CC、ノーザンCC錦ヶ原、朝霞パブリックゴルフ場、戸田パブリックゴルフ場浮間ゴルフ場(12月13日~)、リバーサイドフェニックスGC(12月11日~)
(利根川系河川敷周辺)利根パークゴルフ場(OUT9ホール)、ニッソーCC、クリアビューGC、古川GL(12月19日~)、常総CC、東我孫子CC、吾妻ゴルフ場
(多摩川河川敷周辺)東急ゴルフパークたまがわ、丸子橋ゴルフ練習場、川崎リバーサイドゴルフ(12月20日~)