カウンターバランスを活かして振りやすくする
今月発売された「ゼクシオ」の最新モデル「ゼクシオ11」と「ゼクシオX」に搭載された“ウェートプラステクノロジー”をご存知だろうか。6〜10グラムのウェートをグリップ端に埋め込むことで、テコの原理でコックがたまり、深く安定したトップが作れるようバックスウィングを誘導するというもの。
この考え方は「カウンターバランス」と呼ばれ、クラブを振りやすくするためのチューニング法としてゴルフ界には昔からあるにはあった。ではなぜ、カウンターバランスにすると振りやすくなるのだろうか。
ゴルフクラブはヘッド、シャフト、グリップの3つのパーツで構成されるが、ざっくりヘッドが200グラム、シャフト、グリップがそれぞれ50グラムといったように、比率的には圧倒的にヘッドが重い。そのため、クラブが長くなれば長くなるほど振りにくさを感じてしまったりする。その振りにくさを軽減するためにグリップ側に重量を足すというのがカウンターバランスの考え方で、それを今回のゼクシオは採用してきたわけだ。
世の中にはチューニングが比較的簡単で、かつ効果も大きい(もちろん中には合わない人もいるだろうが)ことから、手持ちのクラブをカウンターバランス化するツールも存在する。
というわけで、流行の兆しを見せるカウンターバランスを体感すべく、プロゴルファー・中村修が最近日本に上陸し、PGAツアー選手にも使用者がいるという「ツアーロックプロ」を自分自身のクラブにつけてみた。仕組みは単純。グリップエンドに穴を開けてウェートを入れるだけだ。
中村は、ウェートを埋め込んだだけなのに「“シャフトを入れ替えた”と感じるほどです」と驚きを見せた。
「手元の重量を感じるものの振りにくさはなく、切り返しからグリップエンドの方向にスムーズに力を加えられるので、スウィングが非常にオートマチックでやさしく打てるように感じました。多少の慣れは必要だと思いますが、効果が大きいチューニングだと思います」(中村)
ただ一方で、「どのくらいの重量を入れるか、シャフト内部にまでウェートを入れるのか。これを自分自身で判断するのは非常に難しいです。専門家のフィッティングが必要になるでしょう」とも中村は指摘する。
ドライバーだけにこのチューニングを施した場合、他のクラブとの振り心地の差が大きくなるということも予想される。ただ、7番アイアンやサンドウェッジ、パターでも試した中村は、どれも効果があると感じたようだ。
「とくにパターは、オデッセイの『ストロークラボ』のように手元に重量を持たせることでストロークを安定させる、という使い方もできそうです」(中村)
ゼクシオというセットで揃えるゴルファーの多いブランドでカウンターバランスが採用されたのも、このあたりに理由があるかもしれない。セットを通して同じようなチューニングが施されていれば、振り心地が揃うのも当然だからだ。
一方で、ただ闇雲に手元を重くすればいいかといえばそんなことはない。手元を重くすればヘッドは軽く感じられるようになり、軽い=扱いやすい分だけ手打ちを誘発するという危険性もはらんでいるからだ。
合う人には合い、劇的な効果をもたらすこともあるカウンターバランス。採用してみたいと思ったら、専門家の助言のもと、他のクラブと振り心地を揃えながら、がベターだ。