セキ・ユウティンは黄金世代と同じ1998年生まれ
制度変更により、翌シーズンの出場権を争う予選会(QT)の参加条件がプロテスト合格者のみとなった女子ツアー。その変更により、これまでQT上位の資格などでプロ資格を持たないままツアーを戦っていた選手たちが、昨年から今年にかけては改めてプロテストを受験する必要に迫られた。
そして、20位タイまでという狭き門をくぐり抜けてプロテストに合格し、さらにはおよそ40位以内が来季前半戦出場の条件となるQTファイナルでも5アンダーの9位と上位につけ、己の実力で女子ツアーに「居場所」を確保したうちの一人が、可憐なビジュアルですでに日本でも人気の高いセキ・ユウティンだ。
「やっぱり(QTは)一番大事な試合ですから、3日目はみんなの雰囲気もあってメンタルのほう緊張でした。でも(上位でフィニッシュでき)よかったと思います」(セキ)
QTの会場でちょっとたどたどしい日本語でそう喜びの声を聞かせてくれたセキ・ユウティン。1998年の3月生まれ、日本でいう早生まれで、世代的には渋野日向子ら黄金世代の1学年上、松田鈴英らと同じ世代になる。
それでいて、そのキャリアはすでに長い。
セキ・ユウティンのキャリアは? 中国では2014年にプロ転向!
セキ・ユウティンが生まれたのは1998年3月5日。出生地は福井県だが、4歳ごろ中国へと移住している。その後7歳からゴルフを始める。
そして、なんと2014年には早くもプロ転向。2016年、18歳になる年には中国ツアーでプロ初優勝を挙げ、同年の賞金女王に輝いているというからすごい。
そして、さらなるステップアップを期して日本のプロテストを受けるが、1打足りず不合格。しかし、当時はプロテストに合格しなくても出場できたQTでは16位と上位フィニッシュし、プロ資格を持たないまま、翌年の出場権を確保する。
2017年は賞金ランク78位とシード獲得はならなかったが、2試合だけ出場した中国ツアー「北京レディースクラシック」では勝利を挙げているから、本国では“敵なし”状態なことがわかる。ちなみに、「北京レディースクラシック」では2018年に連覇も達成している。
セキ・ユウティンの飛躍のきっかけは「20ヤードの飛距離アップ」
そして、ステップアップツアー中心の参戦となり、プロテスト合格も果たせなかった2018年を経て、2019年、ステップアップツアーで初優勝、プロテスト合格、QT上位フィニッシュと、一気に飛躍の時を迎えることになる。
2016年の日本ツアーに参戦後、思うような結果を残せないでいたセキ・ユウティンが2019年に飛躍、あるいは飛躍のための下準備ができた要因はなにか。本人は、ドライバーの飛距離アップが大きいのだという。
「今は(飛距離が)250ヤードくらいです。去年より20ヤード、2年前のレギュラーより30ヤード伸びました。全身トレーニングよくして、地面の力を取り入れたスウィングに変えました」
スタッツをみると2017年の平均飛距離は220.01ヤードだが、2019年は238.88ヤードと約20ヤードアップしている。2019年は4試合の出場だったため、正確な数値ではないが、20ヤード飛距離が伸びればゴルフの中身もガラッと変わるのは想像に難くない。
セキ・ユウティンの最終目標。日本ツアーで頑張って、やがてはアメリカへ
来季の女子ツアーの注目選手の一人であるセキだが、その目指すところはさらなる高みにあるようだ。
「(来年は)レギュラーツアーの初優勝を目指して頑張りたいと思います。(将来的には)アメリカに行って世界中のトップ選手になりたいです。でも日本のツアーもとても好きですから、ここで生まれて馴染みもありますし、最初は日本ツアーで戦って、沢山のファンもいますし、最初に日本で頑張りたいと思っています」
セキが目標とするのは中国を代表するプロゴルファーで、世界ランク1位にもなったフォン・シャンシャン。彼女の背中を追いかけるためにも、いつかはアメリカで戦いたい。しかし、生まれた土地であり「みんなとても親切で、友達がいっぱいです」という日本で活躍することが、さしあたっての目標だ。
得意クラブはショートアイアン。飛距離アップに成功したことで、より多く得意クラブを持つことができるようになったことが、攻撃力を高めている。
「バーディチャンスに沢山つけてバーディをとっていくのが私のスタイル」
そう語るセキ・ユウティンのゴルフ、来年はレギュラーツアーでたくさん見る機会がありそうだ。