2019年も多くのギアが発表・発売され、気になるギアに買い替えた方も多いのではないだろうか。1年を通して最新クラブを試打する機会の多い、業界屈指のギアオタクでクラブフィッターの小倉勇人が2019年のギアを打って、触って思ったことを総括した。

「安定性」の特化に疑問を持った人たちの声を取り入れた「操作性」クラブも見られた2019年

みなさんこんにちは、ギアオタク店長の小倉です。今年も今日で最後です(このコラムは2019年12月31日のもの)。みなさんのゴルフライフは充実したものだったでしょうか。そうだった方もそうでなかった方も来年はさらに楽しいゴルフライフを送れるようお祈りしております!

さて2019年もたくさんのクラブが発売されました。ありがたいことにたくさんの試打をさせて頂きほとんどのクラブの性能を体感させていた経験を踏まえて、私的に感じたことをお話したいと思います。

2008年にSLE(反発規制)ルールが施行され、一発の飛びよりも安定志向の強いドライバーが主流になってから10年近くが経ちました。その経過の中で世界のトッププロまでもが操作性よりも安定性の高いクラブを使用するようになり、スウィング理論にも大きな影響を与えています。

そんな環境の中で2019年に発売されたモデルは、アスリートモデル、アベレージモデルともに安定志向の強い性能を持ったクラブが非常に多かったですね。具体的に、アスリートモデルだとテーラーメイド M6、コブラ F9などで、アベレージモデルだとヤマハ RMX220、プロギア eggシリーズなどですね。

ドライバーは芯を外しても曲がりを少なくするため、慣性モーメント、低深重心を追求し、アイアンなどもそういったドライバーの性能に合わせて重心距離が長いモデルが増えた印象。アイアンでいうとブリヂストンゴルフ JGR HF3やタイトリスト T200など。これはアスリート向け、アベレージ向けどちらにも言えることです。

画像: 最新クラブが出るたびに試打をしてそのクラブについての知識を深める小倉

最新クラブが出るたびに試打をしてそのクラブについての知識を深める小倉

この流れは2020年も続くと予想していますが、一方でドライバーでは操作性をある程度残しつつ、その中でミスを軽減させるといった少し原点回帰の動きも見られました。具体的にはドライバーで言うとオノフの黒やブリヂストンゴルフのツアーB JGR、アイアンで言うとピンのG210やタイトリスト T100 でしょうか。

アイアンのマッスルバックモデルが数多く発売されたのもそのひとつの動きと私は見ています。これは、今のクラブの進化に一定数違和感を覚えているゴルファーがいて、その意見が今年の商品の一部にフィードバックされたものだと分析しています。

それらのゴルファーはプロからアマチュアまで垣根はないと思いますが、基本的にゴルフ歴が長い人達でしょうね。ゴルフ歴が浅い方々で小さいヘッドの操作性の良いドライバーやマッスルバックのアイアンの特性や良さを体感している方は少ないでしょうから。

この、少なからず2019年に発売された操作性の良いクラブ達が今後どのように影響を及ぼしていくのかが楽しみです。安定志向のクラブ作りはしばらく続くでしょう。しかし操作性を重視したクラブは決してなくならないと私は思います。技術があるゴルファーが使えばより緻密なプレーができますし、結果が出なくてもボールを思い通りに曲げられたときはとても楽しいですから。

2019年も1年間コラムを読んでくださりありがとうございました。良いお年をお過ごしください。 

小倉勇人の過去コラムはこちら

This article is a sponsored article by
''.