吉本ここねは2000年の早生まれ。“プラチナ世代”の一学年上の世代
吉本ここね(よしもと・ここね)は2000年1月5日生まれ。札幌光星高等学校在学中、3年時にナショナルチームに所属した経験もある実力者だ。
野球観戦が趣味の彼女は北海道出身ということもあり“日ハム”ファン。今はメジャーリーグへと移籍したが、かつて所属した大谷翔平 のファンだという。
「ストイックなところを尊敬しています。周りの選手の話を聞いていても『(大谷は)ずっと練習している』とか『飲みに誘われても行かないですぐ寝る』とか、そういう話を聞いたことがあるのでストイックなんだな~って思います」(吉本、以下同)
そんな彼女のアマチュア時代の直近の成績をみると、やはり地元・北海道での活躍が目立ち、2017年には北海道ジュニア、北海道高等学校ゴルフ選手権を立て続けに制し、2018年には日本女子アマで3位に入っている。
余談だが、2018年の日本女子アマを制したのは吉本のひとつ下の世代にあたるプラチナ世代の吉田優利。2打差4位タイには同じくプラチナ世代で来季のツアー出場権を吉田同様すでに獲得している安田祐香、西村優菜の名前がある。そこから2打差の7位タイには2019年にはアマチュアでツアー優勝を果たした古江彩佳がおり、激戦が窺える。
この凄まじいメンツの中で3位に入った実力は高校卒業後挑んだ2018年のプロテストでも発揮され、見事一発合格。QTランキング43位とまずまずの順位につけ(参考までに、渋野日向子のQTランクは40位だった)、2019年は28試合に出場する。しかし、そこで吉本は「レギュラーの壁」にぶつかる。
吉本ここねの2019年シーズンはレギュラーツアー賞金ランク99位と壁にぶつかる
「1年間試合に出場させて頂いて、技術ももちろん足りなかったんですけど、メンタル面(も足りない)だったんです。スコアにとらわれ過ぎて苦しくなっていったので、それが大きな敗因だったってことをこの1年間で気付きました」
吉本の2019年シーズンの成績をみると、最高順位は「ヨネックスレディスゴルフトーナメント」で16位タイ。「後半は結果にとらわれ過ぎてしまった」と、夏場には出場9試合連続予選落ちという苦しみも味わう。ボギーを打ったことを引きずってしまい、スコアを気にすればするほどスコアにならない悪循環に、吉本は苦しむことになる。
賞金ランクはシードに遠く及ばない99位。しかし、苦しんだ1年間は、吉本に気づきをもたらしたようだ。
「今までは『ボギー打った……』て引きずっていたんですけど、『もう次!』って思えば絶対そっちのほうがプラスになります。だからこそ、QTファイナルは『楽しくやろう』と臨んだんです」
結果、QTファイナルでは昨年の43位を大きく上回る11位と上位通過。最終日には当然のことながら緊張に見舞われたが、「今日が初日だと思って丁寧にやろう」とプレー。スコアこそ2つ落としたものの「安定したプレーができました」と胸を張った。
さて、2020年シーズン前半戦はツアーで戦う姿が見られることが確実の吉本ここね。そのプレースタイルはどのようなものなのだろうか?
彼女の部門別データを見ると、選手としての特徴はふたつのデータからある意味では一目瞭然だ。ドライビングディスタンス(平均飛距離)が217.88ヤードで97位。そして、フェアウェイキープ率が78.3107%で2位。すなわち、飛距離は出ないが、正確性なら誰にも負けないというスタイルだ。
「飛ばないので、その分曲がらないようにしているので。飛ばなくて曲がったら最悪じゃないですか(笑)。持ち球はストレートからドロー。セカンドでウッドを使うことが多くて、そのなかでも9番ウッドは得意です。ウッドは9、7、5、3の4本、あとユーティリティも得意です」
飛距離不足を正確性と得意なショートウッドで補う吉本は2020年シーズンの目標をこう語る。
「(シーズン途中の)リランキングで上位に入って後半戦も出場することです! そして(将来的には)シード選手になりたいです。賞金女王とかは本当に凄いことで、まだ全然考えられないことだけど……本当はそこを目指したいですね(笑)ちょっとずつそこに近づけられるように頑張りたいです」
来年こそは“楽しみながら”プレーできるか、吉本ここねの20200年シーズンに注目だ!