アプローチの基本といえば、最初はふわっと上げて着弾後は転がし寄せる「ピッチ&ラン」だろう。渋野日向子が常用するアプローチでもあるピッチ&ランを打つための基本を、人気レッスンプロ・原田修平に教えてもらった。

ピッチ&ランのスタンス、ボール位置は?

応用範囲が広く、使用頻度も多いことから、アプローチの基本中の基本といえるのが、ピッチ&ランでしょう。全英女子オープンで優勝するなど、2019年シーズンに一躍ヒロインになった渋野日向子も、あまり細工をせずに、あらゆる状況からピッチ&ランでやさしく、シンプルに寄せています。

画像: 渋野選手が試合でみせるアプローチはほとんど基本となるピッチ&ラン(写真は2019年のLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ 撮影/岡沢裕行)

渋野選手が試合でみせるアプローチはほとんど基本となるピッチ&ラン(写真は2019年のLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ 撮影/岡沢裕行)

まず、ピンまで20~30ヤードの距離を想定した場合、ボール位置は体の中心よりもほんの少し左(目標方向)になります。スタンスの幅はあまり広すぎても、ランニングのように極端に狭すぎても、ピッチ&ランで寄せるのに適した弾道が打ちにくくなってしまいます。

個人差はありますが、だいたい両足の間に靴一足~二足分入るか入らないかぐらいのスタンス幅を目安にするといいでしょう。

画像: 20∼30ヤード程の距離をピッチ&ランで打つときのアドレス。両足の間に靴一足~二足分入るか入らないかぐらいのスタンス幅

20∼30ヤード程の距離をピッチ&ランで打つときのアドレス。両足の間に靴一足~二足分入るか入らないかぐらいのスタンス幅

スタンスを狭くしすぎると、ボールに対してヘッドが上から鋭角に入りやすくなり、打ち出しの高さを出しにくくなってしまいます。ランニングアプローチのスタンス幅よりは少し広くすることで、ヘッドの入射角がゆるやかになり、打ち出しの高さを出しやすくなります。アドレスの体重配分は左右、前後ともにバランスよく均等に構えましょう。

ピッチ&ランではグリップを短めに握る

また、ピッチ&ランを上手く打つコツのひとつが、グリップを短めに握ることです。ボクがレッスンで生徒さんに教えるときは、ちょうどグリップの真ん中ぐらいを握るように勧めています。

画像: 原田の勧めるピッチ&ランの握り方。グリップの真ん中ぐらいを握っている

原田の勧めるピッチ&ランの握り方。グリップの真ん中ぐらいを握っている

なぜ、グリップを短く握るかというと、そのほうがクラブのコントロールがしやすくなるからです。ピッチ&ランでは、少し手首のコッキングを使って打っていきます。グリップエンドぎりぎりまで長く握ると、ヘッドのコントロールが難しくなってしまいます。グリップを短く、少し余らせて握ることで手元側に適度な重さが生まれ、手首をコッキングする動きがしやすくなるんです。

手元(グリップ)の位置はちょうどボールの真上ぐらい。ほんの少しだけ手元がヘッドよりも左(目標方向)にくるぐらいがベストです。

ピッチ&ランのスウィングの基本

適正なアドレスができたら、次は打ち方ですが、手先ではなく、しっかり体を使って打っていきます。ランニングに比べると振り幅が大きくなるので、フェースをローテーションさせる動きが少し入ってきます。

画像: 20∼30ヤード程の距離をピッチ&ランで打つときのスウィング。振り幅はおおよそ腰から腰。フェースも自然と開閉している

20∼30ヤード程の距離をピッチ&ランで打つときのスウィング。振り幅はおおよそ腰から腰。フェースも自然と開閉している

ただし、手先でフェースを開閉させるのではなく、あくまでも体の動きに伴って自然にローテーションが入るだけです。インパクトのイメージとしては、ボールをクリーンにとらえるというより、ボールの少し手前からソールを滑らせる意識を持つといいでしょう。入射角がゆるやかになる分、ボールの手前を多小ダフってもミスの許容範囲が広いのが、ピッチ&ランがやさしく寄せられる理由でもあります。

インパクトではボールに対してヘッドを真っすぐ正面から入れるのではなく、ほんの少しインサイドから入れていくイメージを持つと、ゆるやかな軌道でボールをとらえやすなり、ソールが地面を滑ることでヘッドの抜けもよくなります。

ピッチ&ランの練習法

練習方法としては、右手1本での片手打ちドリルがおすすめです。左手は軽く右腕に添え、右手首をガッチリ固めずにやわらかく使って、軽くボールを打ちます。切り返しからダウンスウィングで自然と右手首のコッキングが入り、インパクトではアドレス時よりもハンドファーストの度合いが少し強くなって当たるイメージです。

ボールを自分で上げようとすると、右手首のリリースが早くなり、ボールの手前をダフったり、ハーフトップのミスが出やすいので注意しましょう。手首をガチガチに固めたりせず、インパクトの後、フォローで右手首がリリースされ、自然とフェースがターンするのが理想です。

協力/ヒルトップ横浜クラブ

YouTube

youtu.be

This article is a sponsored article by
''.