LPGA(日本女子プロゴルフ協会)の規定が変更となり、来季の出場権を得るための予選会(QT)にはプロテスト合格者しか出場できなくなるなど、日本でツアープロとして戦うことは以前に比べ狭き門になってきている。そして日本ツアー出場が叶わないプロたちの目は、海の向こうを視界にとらえはじめているようだ。2019年、中国ツアーを主戦場に戦った笹原優美に聞いた。

日本ツアー出場権得られず。海の向こうに活路を見出した

「昨年のセカンドQTで落ちて、日本の試合に出られなくなって、ツアープロとして2019年をどう活動するかっていうのを考えたときに、海外の試合に出ていくというのも候補のひとつかなと思っていたんです」

そう話してくれたのは笹原優美。2014年から2018年までレギュラーツアーとステップアップツアーに出場していたが、2019年シーズンは予選会で結果を出せず、国内ツアーに出場することができなくなった。

そんな彼女がツアープロとして活動するために選んだのは「中国ツアー」。予選会を通過し、1年間中国ツアーを戦った笹原はこう振り返る。

「どんな舞台、ツアーなのか分からなかったんですけど、ツアーの運営としてはしっかりしていて、トップにいる選手たちのレベルも高いんです。日本で活躍している選手と同等くらいのレベルはあるので、戦いがいのあるツアーだなと感じました」

画像: 2019年シーズンは中国ツアーを主戦場とし戦った笹原優美

2019年シーズンは中国ツアーを主戦場とし戦った笹原優美

賞金額は日本のステップアップツアー以下。「乗り継ぎ便」で参戦した

主戦場が海外、まして中国となると言葉が通じなかったり、苦労することもあったのではと思われるが「選手はほとんど英語が喋れるので、できる範囲で会話しています」と笹原。また、彼女が中国ツアーを主戦場とするうえでは、強い味方がいる。

「私の母が上海で生まれて、香港で育っていて、日本に留学したときに父と結婚して、もう帰化したので日本人なんですけど、中国についてきてもらっていたんです。言葉は母に頼りました。父にはキャディとして全試合ついてもらって。今年は家族で回っていた感じで、凄く心強かったです」

そんな家族の支えもあって、中国ツアーのシード権を獲得することもできた笹原は日本と中国の大きな違いを教えてくれた。

「賞金額が日本のステップアップツアーより少し劣るくらいで、額としては高くないのでその違いはありますね。あとは出場選手が中国人選手だけじゃなくて、いろんな国から中国ツアーに参戦していて、日本、台湾、タイ、韓国……英語圏だとオーストラリア、ニュージーランドと、いろんな国の選手と試合をするのは新鮮な感じでした」

日本のレギュラーツアーに比べて賞金が少ないため、“遠征費”も軽視できない。少しでも負担が減るように、日本からは直行便ではなく乗り継ぎ便で中国へ移動することが多く、移動だけで丸1日かかることもあるのだとか。

画像: 中国ツアー最終戦「MACALLINE WOMAN'S CHINA OPEN」に出場し、年間7試合戦った笹原。

中国ツアー最終戦「MACALLINE WOMAN'S CHINA OPEN」に出場し、年間7試合戦った笹原。

そんな彼女は、新たなステージとして、日本からの直行便も多い台湾ツアーの予選会に挑戦し、見事突破。2020年は中国ツアーと台湾ツアーで戦うことになる。

「(中国ツアーで)今年シードを獲れたんですけど、優勝争いをするということはできなかったのでこのオフの間に優勝争い、優勝できる力をつけてまずは勝つことが一番の目標ですね。アジア圏にはなりますけど日本人以外の方にも名前を少しでも知ってもらえるような選手になれたらいいなと思います」

2020年は中国ツアーのシード選手として日本のプロテストに挑む

笹原は2019年のプロテストに再び挑戦するも、68位タイと不合格。そのため、予選会には出場することもできない。ただ、やはり日本で活躍したいという想いは強く、2020年は中国と台湾で力をつけ、プロテストに挑む予定だ。

「日本でプロになるというのが狭き門になっていて、日本のツアーに出るのも(出場枠が)狭くなってはいます。ただ、自分が力を付けたら突破できないハードルではないと思うので、中国・台湾ツアーを通じて、日本で活動できるようになるというのが目標です。まずはプロテストに受かって日本のツアーに出れるようになること。そしてシード権をとれるようになりたいです」

黄金世代を中心に若い選手が活躍し、来季からはさらに下のプラチナ世代という強者たちがレギュラツアーに参戦する。日本のレベルが年々上がり、日本でプロになるということも難しくなっている女子ツアー。

しかし、広く世界に目をやれば、戦いの場はある。中国でシードを獲り、台湾ツアーへの出場権も自力でつかんだ笹原優美。自ら行動することで未来を切り拓いている彼女の今後の活躍に期待したい。

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