FWと同じくらいの大きさのUTが登場
最近発売されているユーティリティ(※以下 UT)を見て気づいたことがある。ヘッド体積が大きくなっているのだ。たとえば、この8月に発売されたキャロウェイの新モデル、「エピックフラッシュスター」は、ヘッド体積が123cc。それに対して、5年前のヒット商品、「Xホット」は112cc(22度)だ。
先日発売されたばかりチタン製UT、「スーパーハイブリッド」に至っては、143ccという大型ヘッドだ。タイガー・ウッズが愛用するチタン製FW、テーラーメイド「M5」の3番ウッドは、ヘッド体積が142ccなので、もはやフェアウェイウッドと遜色ない大きさになったと言っていい。
国民的ブランド「ゼクシオ」で見てみると、4代目の「オールニューゼクシオ」(2006年発売)なら、ヘッド体積106cc(20度)。7代目の「ゼクシオセブン」(21度)なら110ccとさほど変わっていない。ところが、今般、新たに発売された「ゼクシオイレブン」は、130ccにまで大きくなっている。
ロング・ミドルアイアンの距離をやさしく打てるクラブとして登場したUTだが、その大きさはそれまで100cc前後と、大きな差はなかった。それが、ここへきて、徐々にではあるが巨大化したモデルが増えてきているのだ。そのヘッド体積はフェアウェイウッドに近づき、いわば、ウッド型UTのさらなるウッド化が進んでいる。
大型化することでキャリーを稼げるようになる
大型化するメリットは、スイートエリアが広くなり、重心位置も深くなるためボールが上がりやすくなる。つまり、やさしくキャリーが稼げるクラブにしやすいので、一般的なゴルファーにとっては、嬉しい機能のクラブになるだろう。
一方、ご存知のようにUTには、大まかにウッド型とアイアン型がある中で、このところアイアン型の充実が目につく。本間ゴルフやスリクソンといった定番だけでなく、テーラーメイドからは「GAPR」、ピンは「G410クロスオーバー」、ミズノ「フライハイ」など、よりシャープな形状で、なおかつボールが上がりやすくやさしくなったモデルが増えている。タイトリストの「U500/U510」はその代表格といえるだろう。
プロや上級者が求める機能を追求すると、アイアンに近い感覚で打てて、方向性がよく、ラフなどからでも抜けもいいアイアン型UTを選ぶケースが多いのではないだろうか。単にミスショットに強いことだけでは選ばない。一方、ミスショットの頻度が高いアベレージゴルファーには、より安心感があって、ボールが上がりやすい大きなUTのほうが向いているはずだ。
つまり、対象ゴルファーを突き詰めた結果、UTの機能がより特化されていきているのではないだろうか。その傾向のひとつが、ウッド型UTのさらなるウッド化だ。万人向けから、よりその人に合ったモデルへ、クラブ選びもより面白くなりそうだ。