「自分に合ったクラブが欲しい」「エースドライバーを手に入れたい」と思うアマチュアゴルファーは多いはず。しかしギアライター・高梨祥明は「まずキャディバッグの掃除から始めてみては?」と話す。果たしてどういうことか。

新年のゴルフはキャディバッグの掃除から始めよう!

今年こそ、自分に合ったゴルフクラブを手に入れたい。そう思うのであれば、まずキャディバッグの掃除から始めてみてはいかがだろうか? 別にキャディバッグや愛用クラブを清らかにするといいことがある! と言いたいわけではない。やって欲しいことは、ポケットに入っているゴルフボールの仕分け、整理である。

昨年、私が取材を通じて最も感銘を受けた専門家のアドバイスが、「ゴルフボールは少なくとも一年、同じモデルを使ってみて」というものだ。これはタイトリストゴルフボールのフィッティング/エデュケーションマネージャーである、マイケル・リッチ氏からいただいたもの。フィッティング体験の冒頭、私のキャディバッグのボールポケットを覗き込んだリッチ氏は、次のように語り始めた。

「違う銘柄のボールがたくさん入っていますね。性能の異なるゴルフボールを使っていて、アプローチやパッティングの距離感が磨かれると思いますか?」

画像: キャディバッグをチェック! 性能の異なる複数モデルを使っている限り、アプローチ、パットの安定は望めない。

キャディバッグをチェック! 性能の異なる複数モデルを使っている限り、アプローチ、パットの安定は望めない。

正直、これほどグサッときた問いかけはなかった。スピン性能もフィールも、アプローチでの打ち出し角度も、ゴルフボールそれぞれに違うことは経験上わかっていた。リッチ氏が指摘するように、複数ボールをチャンポンして使っている限り、一定の距離感やバックスピンなどを拠り所にしたゴルフなどできるはずがない。心の底からそう思ったからだ。

「アプローチを限りなくカップに寄せることができれば、たとえグリーンを外してもワンパットで切り抜けることができる。つまり、スコアをよくしたいならアプローチを向上させる必要があるのです。そのために必要なのが同じゴルフボールを長く使うことなんです。バックスピンがよくかかるとか、フィーリングがどうかという見極めも重要ですが、アプローチを安定させるには同じボールを長く使って慣れることが最も大切なのです」(リッチ氏)

シーズン中にゴルフボールを変えるツアープロはほとんどいない。

2020年、PGAツアーは恒例のハワイシリーズを終え、すぐにカリフォルニアスウィングへと突入していく。トッププレーヤーのスイッチした最新クラブについての興味は高まる一方だが、トッププレーヤーのゴルフボール事情についてはほとんどニュースにはならない。ボールやウェッジなどスコアメイクに大きく関わるアイテムについてはほとんど変化が見られないからだ。

そもそも新製品に対するニーズも性能のキープを望む声がほとんど。それほどショートゲームとパットにおいては、使い慣れていること、予想通りの結果になることが重要なのである。ドライバーのように思ったより飛んじゃった! では済まされないのだ。

画像: どんなボールでも使い慣れることが重要。最低1年は同じボールを使い続ける覚悟が上達の第一歩となる。

どんなボールでも使い慣れることが重要。最低1年は同じボールを使い続ける覚悟が上達の第一歩となる。

「ゴルフボールの性能差は小さいショットのほうが体感しやすいものです。フィーリングの差はパッティングで顕著にわかりますし、スピン性能や球離れの感じはグリーン周りからの数ヤードのコントロールショットでハッキリとわかります。フィーリングとアプローチ性能でボールを仕分け、次はミドルアイアンのフルショットの安定性で絞り込めばいいでしょう。ドライバーショットは最後です。実はデータをとっても、あまり差が出にくいのがドライバーなのです」(リッチ氏)

新しいゴルフ道具が登場すると、目移りしてしまうのがゴルファーの性だが、ボールが一定していないと実はクラブ選びもままならない。クラブよりもボールを変えた方が弾道変化、とくにアプローチでのパフォーマンスは変わってしまうからだ。ゴルフボールなんて何を使っても同じ、というアマチュアゴルファーは多いが、それならばなおさら同一銘柄にボールを決めてプレーしてみるといいだろう。新しい年は、使用ボールを固定して自分のゴルフを成熟させていく、個人的にもそういう一年にしてみたいと思う。

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