2020年を迎え、早速今年初のPGAツアー「セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」がハワイ・マウイ島のカパルア・プランテーションコースで行われた。昨年、ビル・クーアとベン・クレンショーのコースデザインチームが、ティグラウンドを数ホール下げて距離を長くし、グリーン上にアンジュレーションをつけるなど改修を行ったが、このコースと過去、相性のいい選手はそれでも上位に名を連ねた。
最終日はジャスティン・トーマス、ザンダー・シャウフェレ、パトリック・リードというパストチャンピオンたちによる三つ巴のプレーオフで、トーマスの優勝。彼は26歳にしてツアー12勝目を飾り、今期2勝目。過去60年間の中でタイガー・ウッズ(34勝)、ジャック・ニクラス(20勝)に次ぐ3番目の優勝回数を誇る選手となったのだ。ライバルで親友のジョーダン・スピースは世界で通算14勝を挙げているが、米ツアーでは11勝。メジャーの優勝回数ではスピースがトーマスを上回るが、通算優勝回数ではジョーダンを抜いたことになる。この優勝によりフェデックスカップランキングでは1位に、世界ランクでは4位に浮上した。
「疲れた。でもとても嬉しいし、ホッとしたよ。トーナメント全体的には、とてもよくコントロールできていたと思う。全てのことがうまくいったね。12勝を達成したことに対しては、さほど達成感はないけど、来週(ソニーオープンで)は13勝目を挙げられるように頑張るよ」
トーマスは2017年、年間で5勝(うち1勝は全米プロ)を挙げ、世界ランク1位にも上り詰めたが、昨年はケガもあり、思い通りのプレーができていなかった。ただ実際、プレー自体はさほど調子は悪くなかったそうで、「去年はただ結果が出なかっただけだ」と語っている。
「(最終日の)15番ホールまでは今までになく最高のプレーができていて、アイアンやパットも素晴らしかった。ティからグリーンまで自分の思い通りにコントロールできていたんだ。でも18番は災難だったね」
トーマスは最終日の上がり3ホールでスコアを崩し、苦戦したものの、それでもプレーオフに入るとなんとか調子を取り戻し、3ホール目でパトリック・リードを破り、勝利を飾った。
毎年彼は、自分の目標を携帯に書き記している。昨年は「自分のファンデーションを立ち上げる」というゴルフ以外のことを記し、成功したそうだ。今年はどんなことを目標に据えたのか? 年々ツアーは若年化が進んでおり、26歳のトーマスですら「かれこれ5〜6年、ツアーに出ているが、もうツアーのベテランのように感じる」という。マシュー・ウルフやコリン・モリカワのような将来有望な若手が続々と誕生し、トーマスもうかうかしてはいられない。かつて2018年には世界ランク1位に上り詰めたことがあったが、彼の最大のモチベーションは「世界ランク1位になること」なのだという。そして今年はオリンピックもあり、「メジャーも金メダルも獲りたい」と貪欲だ。
すでに今季2勝を挙げ、シャウフェレ、リードという強豪をねじ伏せ優勝したことによって再び強い自信も取り戻しているであろうトーマス。世界ランク1位のブルックス・ケプカが現在、ケガで戦線離脱を余儀なくされているが、トーマスにとって今こそ世界ランク1位への道を目指す最大のチャンスと言えるだろう。
トーマスといえば、松山英樹。なぜかトーマスと松山英樹は、過去、好調の波がシンクロすることが多いイメージがある。全く何の信ぴょう性もない話だが、トーマスが元気になれば、松山も……と思わず期待せずにはいられない。