マーベリックアイアンは「スタンダード」「プロ」「MAX」の3モデル
マーベリックは、エピックフラッシュに採用された「AIフェース(正式名称はフラッシュフェース)」を、ドライバーのみならずフェアウェイウッド、ユーティリティ、そしてアイアンにまで採用したというブランド。
すべての番手でAIがデザインした「フラッシュフェースカップ」を採用することで、ボール初速が大幅に向上し、とくにフェース下部の高初速エリアが拡大して芯で打つ確率が高まったというモデルだ。AIフェースはさらに番手別設計となっており、ロング、ミドル、ショートアイアンでそれぞれ異なる設計となっている。
さて、そんなマーベリックアイアンにはスタンダードな「マーベリック」の他に「マーベリックプロ」「マーベリックMAX(マックス)」の2モデルがラインナップされている。それぞれ、どのような特徴があるのかを見ていこう。
マーベリックアイアンは7番で27度のストロングロフト+AIフェースで飛ばす!
まずは「マーベリック」。フェース素材はステンレスで、前述したように5番から9番までがAIが設計した“AIフェース”になっている。PW以下、AW、GW、SWは通常のフェースプレートとなっており、これはウェッジ類に飛距離は求められないからであろうと思われる。
ボディ素材もステンレスだが、その構造は複雑だ。5番から8番まではステンレスボディに、重心位置を最適化するタングステンウェート、ウレタン・マイクロスフィアと呼ばれる主に打感を改善する素材が組み合わさっている。9番はタングステンウェートなしでウレタンのみ、PW以下はシンプルなステンレスボディの構造だ。
ウレタン・マイクロスフィアは無駄な振動を吸収することで打感を良くし、ボール初速の向上にも貢献するという。国内メーカーがどちらかというと軟鉄鍛造(フォージド)の打感にこだわるのに対し、キャロウェイら海外メーカーはウレタンなどの異素材をフェース後方に配置することで振動を抑え、それにより打感を向上させるという方法を採用するケースが増えている。
シャフトは純正カーボンシャフトとしてディアマナ50forキャロウェイのSとR。スチールシャフトはN.S.950GH neoのSシャフトと、N.S.プロ ゼロス7のSが選べる。5番、AW、GW、SWはそれぞれ単品購入が可能で価格は1本2万4000円+税。6番からの5本セットは12万円+税で、2月7日発売予定だ。
さて、いろいろ書いてきたがマーベリックアイアンの最大の特徴はなんといってもストロングなロフトだろう。現在、国内の激飛び系アイアンのロフトは25〜26度となっているが、マーベリックは27度。激飛び系カテゴリに分類されるモデルと言えるだろう。AIフェースの性能もあいまって、大きく飛ばせそうなスペックだ。
【マーベリック アイアン】
番手、ロフト角(度):#5(21)、#6(24)、#7(27)、#8(31.5)、#9(36)、PW(41)、AW(46)、GW(51)、SW(56)
クラブ長さ(インチ):38.25(#5)
ライ角(度):61.25(#5)
クラブ重量(g):約359(#5、ディアマナ50)
シャフト重量(g):約49(#5、ディアマナ50)
価格:12万円+税(5本セット)
マーベリック3モデルで最大“3.5度”違う! 7番アイアンのロフトを比較
マーベリックプロ、マーベリックMAXを詳しく見て行く前に、マーベリック3モデルのロフトと長さを比較してみよう。数字は7番アイアンのものだ。
マーベリック 27度/37インチ
マーベリック プロ 30.5度/37インチ
マーベリックMAX 30度/37.125インチ
マーベリックに対してマーベリックMAXはよりやさしいモデルという立ち位置だが、アイアンでも性格がはっきりと分かれている。ロフトから見る限り、マーベリックは飛び特化。マーベリックMAXは「やさしく飛ばせるアイアン」というイメージだ。
マーベリックプロも30.5度とストロングではあるが、最近ではスリクソンのZ585が7番で31度の設定であるなど、プロモデルでもストロングロフト化がジワリと進んでいる。“飛び系プロモデル”的なジャンルに属するアイアンと言えそうだ。
余談だが、なぜドライバーやフェアウェイウッドの中上級者向けモデルは「マーベリックサブゼロ」で、アイアンとユーティリティだけ「マーベリックプロ」なのかだが、サブゼロはそもそも低スピンで飛ばせるクラブの名称。ユーティリティ、そしてとくにアイアンの場合は同じ中上級者向けモデルでも意味合いが真逆になるため、「プロ」となっているようだ。
そんなわけでマーベリックプロは低スピンで飛距離重視のモデルというわけではなく、マーベリックのアイアン3モデルの中ではおそらくもっともスピンが入り、飛距離とコントロールを両立したアイアンということができるだろう。
マーベリックプロは小ぶりなヘッドで操作性も兼ね備える
さらにマーベリックプロを詳しく見ていけば、マーベリックとの違いはロフト角などのスペックの他、形状の違いが大きい。マーベリックと比べるとネックはストレートで、ヘッドサイズもコンパクト。トップブレードも薄めで、精悍なイメージとなっている。このことからも、マーベリックプロは飛び特化型でなく、コントロール性も担保されていることがわかる。
また、マーベリックシリーズで唯一4番アイアンの設定があるのも「プロ」ならでは。一方、PWより下の番手の設定はない。「プロ」と名のつくクラブを求めるゴルファーは、単品ウェッジを組み合わせるのが常識で、必要がないという判断だろう。そして、AIフェースは4番から8番まで搭載。9番、PWは通常のフェースプレートが採用されている。
シャフトはカーボンの設定がなく、N.S.プロ モーダス3ツアー105のS、NSプロ950GHネオのSが用意されている。価格は5番アイアンが単品で2万4000円+税。5番からの6本セットが14万4000円となっている。
【マーベリック プロ アイアン】
番手、ロフト角(度):#4(21)、#5(23.5)、#6(26.5)、#7(30.5)、#8(34.5)、#9(38.5)、PW(43)
クラブ長さ(インチ):38(#5)
ライ角(度):61(#5)
クラブ重量(g):約415(#5、NSプロ モーダス3ツアー105)
シャフト重量(g):約106.5(#5、NSプロ モーダス3ツアー105)
価格:14万4000円+税(6本セット)
マーベリックMAXはワイドソール&強いグースでつかまってボールを上げてくれる
最後にマーベリックMAXアイアンだ。7番アイアンのロフトは30度。ワイドソールの大きなヘッドと強いグースネックからは、「飛び」というよりも、ダフリにくさ、つかまりの良さ、ボールの上がりやすさといった側面を重視している印象を受ける。
アイアンが飛ぶとか飛ばないとかの前に、まずはしっかりとフェースでボールをとらえて、空中高くボールを打ち出すのが先決。マーベリックMAXは“それ”がしやすいアイアンといえそうだ。
さて、マーベリックアイアンと比較してみると、7番でロフトが3度寝ているだけあって、番手構成に違いがある。
マーベリックはPWのロフトが41度で、以下、AW46度、GW51度、SW56度というフローなのに対し、マーベリックMAXはPWが43度で、AWが48度、SWが54度と続き、GWは存在しない。54度のサンドウェッジはボールが前に飛びやすい分、実は“やさしい”ロフト設定。セットで揃えるのも面白そうだ。
また、マーベリックでは9番まで、マーベリックプロでは8番まで採用されていた飛距離を高めるAIフェースは、マーベリックMAXではPWまで採用されている。
シャフトはディアマナ40forキャロウェイのSR、R、N.S.プロ ゼロス7のSが選択可能。5番、AW、SWが単品で2万4000円+税、6番からの5本セットが12万円+税となっている。
【マーベリックMAX アイアン】
番手、ロフト角(度):#5(23)、#6(26)、#7(30)、#8(34)、#9(38)、PW(43)、AW(48)、SW(54)
クラブ長さ(インチ):38.375(#5)
ライ角(度):61.25(#5)
クラブ重量(g):約350(#5、ディアマナ40)
シャフト重量(g):約43(#5)
価格:12万円+税(5本セット)
マーベリック、マーベリックプロ、マーベリックMAXの3つのアイアンは名前は似ているが形状もスペックもそれぞれかなり違う。自分の腕前と相談して最適なものを選べば、強い武器となってくれそうだ。
撮影/小林司