2019年にアジアン下部ツアーで2勝を挙げる
SMBCシンガポールオープンの舞台はシンガポールにあるセントーサゴルフクラブのセラポンコース。南国らしい木々と色とりどりの花に彩られた美しい景観である。
国内でのツアー初戦は「東建ホームメイトカップ」だが、実はこのシンガポールで行われる試合が実質の開幕戦となる。日本ツアーとアジアンツアーから賞金ランク上位60名が参加するため、アジア最強の座をかけた一戦と言っても過言ではない。
そんな中、注目したのは関藤直煕(せきとう・なおき)だ。
今回アジアンツアー側からは日本人選手が4名出場していて、その中でも1997年10月3日生まれで現在22歳の彼は最年少。2019年度にはアジアン下部(ADT)ツアーで2勝を挙げ、日本人初の賞金王となる快挙を成し遂げたばかりである。大会前週にあった香港オープンでも7位入賞と好成績を収めていた。
広島県出身の関藤は、広島国際学院高校卒業後にオーストラリアへ留学。平日は語学を学びながらゴルフの腕を磨き約2年を過ごすと、2018年にアジアンツアーの予選会に挑戦、ほどなくしてADTへの参戦を開始した。それからおよそ2年でレギュラーツアーの出場権を獲得したのだから順調と言っても良いだろう。
ただ、「今週はパットが噛み合わず流れをつかめないまま終わってしまった」と関藤。予選ラウンド2日間でトータル7オーバーと予選落ちを喫したが、キレの良いショットで観客を賑わせるシーンもあった。
そんな関藤だが実は昨年度の日本ツアーのクオリファイングトーナメント(ファイナルステージ ※予選会)で11位に入賞。レギュラーツアー前半戦における出場権を獲得しているため、2020年度はアジアンツアーと日本ツアーを掛け持ちして転戦をするそうだ。
次戦は2月に開催されるニュージーランドオープンで、試合まで約1カ月のオフ期間に入るわけだが今後はかなりの過密スケジュールなることが予想される。
これは私の主観が入るが、やはり選手がもっとも育つ環境は「試合」である。近頃はこうして国境を越えてでも競争の舞台に身を置いて腕を磨き、再び日本ツアーへと駒を進めるといったいわゆる「逆輸入」パターンの選手が現れてきた。
日本で試合に出られずにくすぶっているよりも、こうして海外を視野に入れて活動することでチャンスが得られるのはもはや明白である。
腕良し、見た目良し、人当たり良しの関藤、見どころは「思いきりの良いプレー」とのこと。今年是非注目してほしい選手の一人だ。
取材・撮影・文/アッキー永井