日本では未発売のタイトリストボール「AVX」
タイトリストが米国で発表したニューボール「AVX」。「alternative pro v1 and v1x」つまり、プロV1とプロV1xと並ぶ“もうひとつの選択肢”という意味合いのこのボール、実は初代が発売されたのは2017年で今回発表されたのは2代目。日本では未発売となっているが、海外ではプロV1シリーズと並んで人気を集めている。
その外見は「プロV1、プロV1xとは少し異なります」と中村は言う。
「ディンプルがしっかり立っていて、窪みも平らな感じですね」(中村)
ただ、タイトリストのロゴやアライメントを示すラインなどのデザインはプロV1、プロV1xと同じ。ボールナンバーはプロV1と同じ黒だ。
今回はAVXの性能をたしかめるべく、プロV1、プロV1xとの比較試打を実施。堀口には振っていけるゴルファーを想定し45m/s前後で、中村にはアベレージゴルファーを想定し40m/sを基準に打ってもらった。
V1以上の柔らかさ! AVXのアイアンショットの性能を比較
まずはプロV1、プロV1xのアイアンショットでの性能をおさらいしてみよう。試打に使用したクラブはタイトリスト「T100アイアン」の7番(ロフト角33度)。
まずは柔らかい打感が好みで、「プロV1ユーザー」だというノリーにプロV1、プロV1xを打ってもらった。
「やっぱりプロV1は柔らかいですね。好きです。プロV1xはそれよりも弾く感じが強めで、打音もちょっと硬めです。スピン量はあまり差がなくて、高さはプロV1xのほうが若干上がりましたね」(ノリー)
プロV1の打ち出し角は3球平均で18.7度、スピン量5372.0rpm。プロV1xの打ち出し角は19.7度、スピン量5248.3rpm。しっかりボールを上げてくれて、スピンもかかっている。
続いてAVXを打ったノリーがまず驚いたのは、打感の柔らかさだ。
「めちゃくちゃ柔らかい! 全然違いますね、プロV1よりも柔らかいんじゃないですか。(フェースに)吸い付く感じがすごくします。柔らかいボールが好きな人には最高ですね」(ノリー)
AVXの3球平均値を見ると、打ち出し角19.8度、スピン量5719.3rpmだった。打ち出し角、スピン量に関してはプロV1、プロV1xとほぼ同等という結果に。ただ、打感はプロも驚くほど変わっていたようだ。
ドライバーはさらに低スピン! AVXのロングゲーム性能を比較
では続いてロングゲーム、ドライバーでのAVXの性能も見てみよう。試打に使用したクラブはピン「G410プラスドライバー」だ。ロフト角は10.5度。可変ウェート、ネック調整機能はニュートラル位置のまま試打を行った。
こちらもまずはノリーがプロV1、プロV1xを打つ。3球打った平均値を見てみると、プロV1の打ち出し角は11.3度、スピン量は3091.3rpm。プロV1xの打ち出し角は13.1度、スピン量は2809.6rpmだった。
続いてAVXを打つノリー。アイアンで見せた打感の柔らかさはドライバーでも健在のようで、「本当に吸い付きがすごいです!」と驚く。プロV1、プロV1xよりもさらにスピン量が落ち、3球の平均スピン量は1624.3rpmと超低スピン。より低スピンになったことで、ランも30ヤードほど稼いでいた。
ノリーにはヘッドスピード45m/sを意識して打ってもらったが、アベレージゴルファーの平均ヘッドスピードでもスピン量はしっかり落ちてくれるのか。
続いて中村にヘッドスピード40m/sをイメージして打ってもらうと、3球のスピン量の平均値は1968rpmと、しっかり抑えられていた。一番数値の良い打球では45m/sで打った場合とほぼ同等の1617rpmという数値も。
このヘッドスピード帯でスピン量が少ないと、ドロップしてしまうのではないか、という声もあるだろうが、3球打った平均値を見ると打ち出し角もしっかり高めの数値が確保されていた。
「このくらい(のヘッドスピード)でもスピン量を抑えてくれますね。やはりヘッドスピードが速い番手では低スピン、遅い番手ではしっかりスピンをかけてくれそうです」(中村)
柔らかさゆえに好みは分かれそう
3モデル中最高の柔らかさと、プロV1、プロV1xを超えるロングゲームでの低スピン性能を発揮したAVX。ゴルファーの好みによって、その評価が大きく分かれてきそうだ。
「(打ったときに)芯があったほうが好きという人もいれば、柔らかい打感のほうが食ってる感じがして良いという人もいます。プロアマ問わず感触の好き嫌いって結構ありますから、そこで合わないという人も中にはいるでしょうね」(ノリー)
「クラブによっても打感の印象は変化しますから、組み合わせも重要ですね」と中村。
プロV1を超える打感の柔らかさ、そしてドライバーでの低スピン性能はかなり魅力的。日本発売の噂があるこのボール、発売されたら話題となるのは必至だろう。
協力/PGST