地元開催となる東京五輪の「ゴルフ競技」。開催まで残り6か月を切り、いよいよ代表争いもラストスパートへと突入していく。というわけで、開催半年前時点での各国の代表枠争いの状況をまとめた。

基本は1か国2名も、世界ランキング15位以内であれば、最大4人が代表に選出

東京五輪の「ゴルフ競技」は、男子が7月30日、女子は8月5日から霞ケ関CCで開催。4日間72ホールのストロークプレー個人戦が行われる。出場選手は各60人で、選手の選考は、世界ランキングをもとにした独自のオリンピックランキングにより決定し、さらに、世界ランク15位以内は各国・地域で最大4人が、16位以下は最大2人までが出場権を獲得する仕組みだ。

画像: 五輪の女子日本代表候補として出場が有力視される畑岡奈紗(写真左:写真は19年「日本女子オープン」撮影/岡沢裕行)、渋野日向子(写真中央:写真は19年「LPGAリコーカップ」撮影/岡沢裕行)、鈴木愛(写真左:写真は19年「LPGAリコーカップ」撮影/岡沢裕行)

五輪の女子日本代表候補として出場が有力視される畑岡奈紗(写真左:写真は19年「日本女子オープン」撮影/岡沢裕行)、渋野日向子(写真中央:写真は19年「LPGAリコーカップ」撮影/岡沢裕行)、鈴木愛(写真左:写真は19年「LPGAリコーカップ」撮影/岡沢裕行)

まずは女子から。代表選考レースでは畑岡奈紗が世界ランキング5位で当確ランプを灯し、渋野日向子が同11位、鈴木愛が同15位。少し順位が空く形で、54位に稲見萌寧、60位に河本結が続く。基本出場枠は1つの国・地域の上位2人だが、世界ランク15位以内に3人以上が入れば、最大4人までが出場可能。つまり、現時点では畑岡、渋野、鈴木の3名が出場できる。

ファンとしての理想の展開は、この3人が世界ランク15位以内をキープし、稲見、河本らが大活躍して順位を上げ、15位圏内に滑り込み、日本代表4名で本戦に臨むことだろう。自国初開催となるだけに、出場への意欲はそれぞれに並々ならぬものがあるだけに注目が集まるところだ。

世界ランキングトップ20に8名! 韓国代表争いが激戦に

海外勢に目を移すと、もっとも代表枠争いが熾烈なのが韓国。世界ランキング1位のコ・ジンヨン、同2位のパク・ソンヒョンのほか、キム・セヨン(6位)、イ・ジョンウン6(7位)とトップテンまでになんと4人。さらに同20位までにも、キム・ヒョージュ(11位)、パク・インビ(14位)、ユ・ソヨン(18位)、ハー・ミジョン(19位)の大混戦となっている。

画像: 世界ランキング1位のコ・ジンヨン(写真左:写真は17年「サロンパスカップ」撮影/姉崎正)と同2位のパク・ソンヒョン(写真右:写真は19年「全米女子オープン」撮影/姉崎正)。女子五輪代表枠で最も熾烈な韓国でも抜き出た存在の2人だ

世界ランキング1位のコ・ジンヨン(写真左:写真は17年「サロンパスカップ」撮影/姉崎正)と同2位のパク・ソンヒョン(写真右:写真は19年「全米女子オープン」撮影/姉崎正)。女子五輪代表枠で最も熾烈な韓国でも抜き出た存在の2人だ

誰が代表に選ばれてもおかしくない状況だが、トップ15圏内に6人がひしめいていることを考えれば、4人の代表選手を東京五輪へ送り出すことがほぼ確実とも言える状況だ。

そのほかメダル候補として有力視されるのが米国勢。こちらは世界ランキング3位のネリー・コルダを筆頭に、同4位のダニエル・カン、同10位のレクシー・トンプソンの3人が現状の有力候補に。

画像: 女子米国代表として有力視されるネリ―・コルダ(写真左:写真は17年「全米女子オープン」撮影/姉崎正)、レクシー・トンプソン(写真中央:写真は17年「TOTOジャパンクラシック」撮影/姉崎正)、ダニエル・カン(写真右:写真は16年「TOTOジャパンクラシック」撮影/青木慶太)の3人

女子米国代表として有力視されるネリ―・コルダ(写真左:写真は17年「全米女子オープン」撮影/姉崎正)、レクシー・トンプソン(写真中央:写真は17年「TOTOジャパンクラシック」撮影/姉崎正)、ダニエル・カン(写真右:写真は16年「TOTOジャパンクラシック」撮影/青木慶太)の3人

そのほか、オーストラリアでは世界ランキング9位のミンジー・リー、カナダではブルック・ヘンダー・ソン(世界ランキング8位)、スペインはカルロタ・シガンダ(同16位)、アジアではタイのアリヤ・ジュタヌガン(同13位)、中国のフォン・シャンシャン(同23位)らの出場の有力。

彼女たちは出場すればもちろんメダル候補となるだろう。

男子の日本代表は松山英樹+今平周吾or石川遼となるか

画像: 五輪日本代表のエースとして出場が確実視される松山英樹(写真は19年シュライナーズ・ホスピタル・フォー・チルドレンオープン 撮影/姉崎正)

五輪日本代表のエースとして出場が確実視される松山英樹(写真は19年シュライナーズ・ホスピタル・フォー・チルドレンオープン 撮影/姉崎正)

一方の男子では、国内勢はやはりエース・松山英樹が代表争いをリードする。最新の世界ランキングでは松山英樹が23位。同36位で今平周吾、同80位で石川遼、同104位に星野陸也と続く。

画像: 日本代表の残り1枠を争う今平周吾(写真右:19年「ゴルフ日本シリーズJTカップ」撮影/姉崎正)と石川遼(写真左:19年「カシオワールドオープン」撮影/姉崎正)

日本代表の残り1枠を争う今平周吾(写真右:19年「ゴルフ日本シリーズJTカップ」撮影/姉崎正)と石川遼(写真左:19年「カシオワールドオープン」撮影/姉崎正)

現時点では2名の出場が有力。松山が1枠、今平と石川遼が残りの1枠を争う構図で、国内外のツアーで今平・石川の成績に注目が集まりそうだ。

男子「米国」は世界ランクのトップ10でも代表落選の可能性も

代表枠の熾烈さで言えば、女子が韓国なら、男子では米国がそれに当てはまる。

最新の世界ランキングでも米国勢は上位15位以内に9人がひしめく大混戦。現状が最終決定のタイミングであれば、同1位のブルックス・ケプカ、同4位のジャスティン・トーマス、同5位ダスティン・ジョンソン、同6位のタイガー・ウッズの4人が「米国代表」となるが、同7位にパトリック・カントレー、同9位にザンダー・シャウフェレと実力者が鼻差で迫り、まったく予断を許さない状況となっている。

画像: 世界ランキング1位のブルックス・ケプカ(写真は19年「全米オープン」撮影/有原裕晶)

世界ランキング1位のブルックス・ケプカ(写真は19年「全米オープン」撮影/有原裕晶)

ひとつの国から出場できるのは五輪では繰り返しになるが最大4枠。世界ランキングトップ10入りの超・実力者でも代表になれないほどの、超ハイレベルな争いだ。

画像: 1月20日時点では4番手として米国代表枠圏内にいるタイガー・ウッズ(写真は19年「全米オープン」撮影/有原裕晶)

1月20日時点では4番手として米国代表枠圏内にいるタイガー・ウッズ(写真は19年「全米オープン」撮影/有原裕晶)

メジャーに照準を合わせるタイガー・ウッズは他の選手に比べて出場試合数が少ない。五輪の代表枠争いに限った話をすればそれは当然不利に働くから、出場した試合では上位での活躍を期待したい。オリンピックにタイガーがいるかいないかは、盛り上がりに少なくない影響を与えるに違いない。

米国と同様に、複数代表を送り込む可能性があるのがイギリス勢。前回大会のリオ五輪金メダルのジャスティン・ローズの8位を筆頭に、トミー・フリートウッド(同10位)、ポール・ケーシー(同15位)が有力候補。また、世界ランキング2位のロリー・マキロイは、五輪には北アイルランド代表としてエントリーすることをすでに明言している。

そのほかの国では、スペインのジョン・ラーム(世界ランキング3位)、オースラリアのアダム・スコット(同13位)、イタリアのフランチェスコ・モリナリ(同18位)が自国の代表候補1番手につけている。彼らもメダル争いに絡む可能性の高い選手たちだ。

男女各60名の五輪「ゴルフ競技」のメンバーは、オリンピックランキングが確定する男女(男子6月22日、女子6月29日時点)翌日に正式決定。男女ともに2月以降は、五輪代表候補たちが、各国のツアーに本格参戦してくるだけに、残り5か月となった代表争いは最後まで目の離せない展開となりそうだ。

(記載の世界ランキングは男子1月19日、女子1月20日付け発表のもの)

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