ファーマーズインシュランスオープンはオーストラリア出身のマーク・リーシュマンが逆転で栄冠に輝いた。単独トップからスタートした世界ランク3位のジョン・ラームは惜しくも1打及ばず単独2位。ラームがこの大会に賭けた秘めたる思いとは?

4年前、ラームは彼女が運転するクルマで同じ試合の予選会に挑んでいた

トーリパインズGCの最終18番。グリーン手前に池が立ちはだかりこれまで幾多のドラマを生んでき
たこのホールでラームは第2打をピン奥15メートルに載せた。奇しくも2017年にツアー初優勝を飾ったとき勝利を手繰り寄せたイーグルパットと似た距離、似たライン。奇跡を起こすにはうってつけの状況だ。

先にホールアウトしたリーシュマンに並びかけプレーオフに持ち込むにはここを1パットで沈める必要がある。緊張の一瞬。しかし彼が放ったファーストパットはカップに届かずバーディ止まり。残念ながら3年ぶりの大会2勝目とはならなかった。

ラームにとってトーリパインズは特別な場所だ。彼がまだ何者でもなかった2016年のこと。大会の出場権もなくマンデー予選会に参加するためガールフレンドが運転する車でコースを訪れていた。

画像: 今大会では14アンダーと単独2位でフィニッシュしたジョン・ラーム(写真は2019年の全米オープン 撮影/有原裕晶)

今大会では14アンダーと単独2位でフィニッシュしたジョン・ラーム(写真は2019年の全米オープン 撮影/有原裕晶)

「(スペイン出身のため)アメリカの免許を持っていなくて彼女が運転してくれたんだ。おまけにゴルフのことはなにも知らないのにキャディを買って出てくれた。でも結果は予選に通れず本戦に出場できなかった。で、すごすご帰ってきたよ」

その彼女こそ昨年華やかな結婚式を挙げた現ラーム夫人、ケリー・ヘイヒルさんだ。2016年のこの時期といえば2人が付き合いはじめて間もないころ。

1年後ラームはツアー初優勝をここで挙げトッププレーヤーとしての階段を駆け上がる。さらに1年後、彼はサンディエゴの美しい海を一望する岬でひざまずき指輪を掲げてケリーさんに「Will you marry me?(結婚してくれますか?)」とプロポーズ。もちろんケリーさんの答えは「Yes!」。そして2人は昨年晴れて夫婦となった。

ラームはいまや思い出のトーリパインズGCのメンバーだ。普段からこの地を頻繁に訪れ近い将来このエリアでの披露宴も予定しているという。

「年末のスペインでの披露宴は自分の家族や親族が中心で70人くらいの規模だったけれど、アメリカではその2倍くらいの招待客を予定している」というラーム。今回優勝できれば最高だったが最後まで諦めずに挑んだ結果の2位は財産になるはず。次なるミッションはメジャー制覇だ。

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