ゴルフはティーイングエリアで距離のハンディを設けることができ、基本的に女性が距離の短いレディースティ、男性がレギュラーティ、上級者は距離の長いバックティでプレーすることが多い。では上級者や男性がレディースティでプレーするとスコアは縮まるのだろうか。ゴルフトレンドウォッチャー・コヤマカズヒロが実践した。

シングルハンディのゴルファーが「赤ティ」から回ってスコアはどうなった?

ゴルフ歴20年を超える筆者だが、先日はじめてレディースティでラウンドする機会があった。日本と名のつく大会に出場経験のあるトップアマを中心に、ゴルフ力を向上しようという有志の会があるのだが、毎回色んなテーマでラウンドして、気づいたことを話し合う。その回の課題がレディースティで回ることだったというわけだ。

レディースティでプレーする意図は、より良いスコアで回ることだ。距離が短ければ、パー4で1オン、パー5で2オンが狙えるケースがある。届かなくとも、グリーン近くまでくれば、寄せワンでバーディーのチャンスもある。ドッグレッグをショートカットすることだって出来るわけだ。

画像: 女性が使用することが多いレディースティから男性がプレーするとどうなる!?(撮影/三木崇徳)

女性が使用することが多いレディースティから男性がプレーするとどうなる!?(撮影/三木崇徳)

プレーしたのは、千葉県のクリアビューゴルフ&ホテル。都内からアクセスの良い河川敷コースで、フラットなロケーションながら、バックティからのコースレートは71.5となかなか歯ごたえもある。先だっての台風19号の影響で冠水し、現在も復旧作業が行われているようだった。

レディースティでプレーすれば、スコアは当然良くなるはず。しかし、実際はそう簡単でもないようだ。ティショットが安定しない、中途半端な距離が打ち分けられない、アプローチが寄らないなど、上手くいかなければスコアにならないのは、レギュラーティやバックティと変わらない。逆に言えば、スコアが良くならなければ、自分の課題がよりはっきりと分かる。

画像: レディースティでプレーするとスコアはよくなるのか!? クリアビューゴルフ&ホテルで実際に試した

レディースティでプレーするとスコアはよくなるのか!? クリアビューゴルフ&ホテルで実際に試した

筆者の場合だと、クセのある高麗グリーンに手を焼き、パッティングに苦戦した。一方、短いパー4とパー5で、アプローチを寄せてのバーディーがあるなどして、結果的には「75」とそれほど悪いスコアではなかった。しかし、筆者も一応、シングルプレーヤーである。出来れば、アンダーのスコアを出すくらいのプレーをしてみたかった。

スコアが思うように出なかったのは、もうひとつ理由がある。クリアビューゴルフ&ホテルのレディースティが思ったよりも長かったことだ。トータルで5535yある。数字だけ聞くと短く感じるが、パー4はほとんどが330y前後。パー5も2つは500y近くあり、パー3で持つ番手は8番や9番が多かった。

これではレギュラーティでのプレーと比べてもそれほど大差がない。セカンドで7番や8番を持っていたのが、9番やPWになる感じで、多少は有利になるが、とてもバーディー量産というわけにはいかないのだ。

正直、この長さは当の女性ゴルファーたちにとっても厳しいのではないだろうか。例えば、INコースのスタートホールはバックティで395yのところ、レディースは345yだ。ドライバー飛距離が160yの女性なら、2打目は185y残る計算になるから、どうやってもグリーンには届かない。どういう計算でレディースティを設定しているのか、疑問を感じざるを得ない。

画像: 18番パー4はレディースティから230ヤードとワンオンが狙えるホール

18番パー4はレディースティから230ヤードとワンオンが狙えるホール

都内から近いゴルフ場のレディースティの長さを見てみると、同じPGM系列のKOSHIGAYA GOLF CLUBは5142y。秦野CCは5619yだった。100切り御用達コースとして有名な丸の内倶楽部は、4843yと比較的やさしいセッティングだ。ちなみに、都心近郊の人気パブリックコース、若洲ゴルフリンクスは5699yもあった。この長さだと、風が吹いたら男性もかなり苦労するだろう。

PGM系列では、昨年からレディースティよりもさらに短いピンクティを導入しているが、ティが傾斜に設置されたりして、あまり環境が良くないようだ。もっと女性ゴルファーは活用しやすくなれば良いと思う。多くのゴルフ場のレディースティは長すぎて、一般的な女性ゴルファーの実態に即していない。ドライバー飛距離が150y前後でもパーオンが狙える設定にするべきだ。

長いとなぜダメかというと、結局2打目でウッドを振り回してグリーンに近づけるだけになり、ゴルフ本来の面白さである戦略性が失われるからだ。上級者と回ると、自分までリズムが良くなった経験はないだろうか。上級者のゴルフには、ティショットを打ち、セカンドを打ち、アプローチをして、パッティングする。その中で攻めたり、守ったりという駆け引きがある。長いクラブでただグリーンに近づけるゴルフでは、その駆け引きが学べないのだ。これはバックティで回りたがるアベレージゴルファーにも言えることだ。

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かつては、レギュラーティで「80」が切れないと、バックティから回らせてもらえないゴルフ場もあったという。それはプレー進行を早くするのが理由だろうが、ゴルフの組み立て方、スコアの出し方を習得しなさいという裏の意味もあったのではないだろうか。

というわけで、レディースティで回る練習はおすすめだ。そこで良いスコアが出せる人は、レギュラーティからでも良いスコアが出せるだろう。スコアをまとめるという技術が養われるからだ。

一方、「同じお金を払っているのに、なぜわざわざ距離の短いティからやらなきゃいけないんだ」と感じたゴルファーは、スコアが伸び悩んではいないだろうか。スコアメイクに長けたゴルファーは、距離とスコアの関係を理解できているものだ。レディースティで回るとそんなスコアメイクのコツが体感できるだろう。

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