渋野とQTランク同順位「それ、よく言われます(笑)」
全英女子オープン制覇、国内4勝、賞金ランク2位……押しも押されぬ女子ツアーの中心選手となった渋野日向子だが、2019年シーズンはQTランク40位という順位で迎えていた。つまりシード選手などを除き、試合に出られる優先順位が40番目ということで、優先順位が降りてこなかったことで、昨年渋野は女子ツアーの開幕戦に出場できていない。
その後渋野は自身にとっての開幕戦となった2戦目で6位タイと上位フィニッシュし、5月に初優勝。その後の活躍は説明不要という大躍進を遂げることになる。それだけに、昨年の渋野と同じQTランク40位でシーズンに臨む蛭田も、周囲からは「去年の渋野さんと同じだね」とよく言われるという。
「『日向子ちゃんも40位だったから今年は大丈夫だ!』ってよく言われるんですよ(笑)。でも、本当に(渋野に)あやかりたいです」(蛭田)
実際、昨年の渋野の試合出場実績から出場可能試合を探り、それに合わせて戦略を立てるなど、QTランク40位の戦い方はすでにシミュレート済み。昨年渋野が出場できなかった開幕戦、ダイキンオーキッドレディスでは主催者推薦枠での出場を決めるなど、準備は万端だ。
「出られる試合は全部出ます。今のところ5月の『ほけんの窓口レディス』は出場人数の関係で出られないかもしれません。あと、まだ日程はわからないですが、全米女子オープンの予選に出場する予定なので、その期間だけは休む予定です」(蛭田)
前半戦で狙うのは、まずはそれ以降の出場優先度を決めるシーズン途中の「リランキング」で上位に入ることだ。「リランキング上位に入るには500万円以上獲得できていれば大丈夫だと思うんです」と蛭田は具体的な数字を教えてくれた。
500万円以上というと、昨季の第1回のリランキングでは26位以内に入っていることとなる。昨年蛭田はその時期までに695万7000円を稼いで19位にランクインしていたこともあってか、必要な賞金額を冷静に分析してくれた。昨年は5月に怪我もあった蛭田。万全であれば、問題なくクリアできるはずだ。
その上でシードに必要なのは「今年は賞金総額が上がるので、2500万円以上は必要だと思います」(蛭田)と分析。2500万円だとすれば、昨年の賞金ランク49位相当なので、まさにそれくらいがボーダーというのは現実的だ。
実際のところ蛭田の実力はシードに値するものがある。というのも、昨年、年間を通じての総合的な活躍度を評価する「メルセデス・ランキング」で蛭田は48位につけているからだ。実は、今年からメルセデス・ランキング50位以内の選手には、賞金ランクが51位以下でもシードが与えられることになっている。もしその改定が昨年実施されていれば、蛭田はシード選手だったわけだ。さぞかし悔しいだろうと思いきや、蛭田は前向きだ。
「正直悔しいなというのはありますね(笑)。でも今年からメルセデスランキングも(シード獲得に)関係するということで、可能性が広がるので頑張りたいですね。全米女子オープンの予選で出場権を得られると、出場するだけでもメルセデスポイントが結構高くてシードに近づけるので、頑張りたいです!」
とはいえ、蛭田の目標はあくまでも「初優勝、そして複数回優勝できるように頑張りたい」と大きい。ブラック&ホワイトのウェアを身にまとい、QTランク40位から渋野のように活躍できるか。今シーズン注目の一人と言えそうだ。