バックティ=上級者が使うティ。というわけで、アマチュアゴルファーの中にはバックティに憧れ、バックティ=カッコいいと感じる気持ちがあるもの。ただ、ギアライター・高梨祥明はその考えも時代に合わせて変化の時期にきているのではという。2020年の今ならではの、カッコいいティーイングエリアの選び方とは!?

ドーンと飛ばしてなお、フェアウェイにいるのが世界のトッププレーヤー

ドライバーで300ヤード飛ばす! なんてことは一般アマチュアにとっては見果てぬ夢のようなものだが、ご存知の通り、世界のツアーでは300ヤードドライブは当たり前。コースによっては400ヤード超えもある恐るべき別世界だ。

1月31日時点でのPGAツアーのドライビングディスタンスを見ても、キャメロン・チャンプが30ラウンドの平均を322.4ヤードとして部門別1位。5位には先週まで1位だったバッバ・ワトソンがいて平均313.9ヤード(18ラウンド)をぶっ飛ばしている。

画像: かっこいいティーイングエリアの選び方とは?(撮影/増田保雄)

かっこいいティーイングエリアの選び方とは?(撮影/増田保雄)

ちなみに現段階で平均300ヤード超えを果たしているプレーヤーは78名おり、注目の松山英樹(26ラウンド)とタイガー・ウッズ(8ラウンド)は平均297.4ヤードで部門別106位タイとなっている。

豪快なドライバーショットは、男子ツアーならではのエンターテイメント性の一つだが、それが勝利に結びつくとは限らないのがゴルフの難しいところ。それは、飛べば飛ぶほどフェアウェイヒットが難しくなるからである。

ドライバーショットの正確性を示すドライバーアキュラシー部門では、現在ジム・フューリックが80.95%のズバ抜けたフェアウェイヒット率を記録して部門別1位。2位は2019-2020シーズンですでに2勝とブレイクしているブレンドン・トッド(76.18%)、4位にはマット・クーチャー(75%)、6位にジョン・ラーム(74.14%)とショット巧者が顔を揃えている。ちなみにフューリックのドライビングディスタンスは287.5ヤードで部門185位。トッドは278.4ヤードで220位である。

気になる飛ばし屋、キャメロン・チャンプのドライビングアキュラシーは、58.96%(部門149位)。バッバ・ワトソンは60.48%で部門別132位だ。平均300ヤード以上を飛ばしつつ6割のフェアウェイヒットはさすが世界のトッププレーヤーといえるが、プレーヤー全体の中では今ひとつの精度ともいえる。このあたりが難しい飛距離と精度のバランス関係である。

コースを短く使えば飛ばす必要がなくなる。フェアウェイヒットの確率も上がる

ゴルファーは皆、1ヤードでも遠くへ飛ばしたいと願うものだが、トッププレーヤーの例を見るまでもなく、飛ばすほどインパクトでのフェースコントロールがシビアになってくるのは避けられない。同じフェース向きの狂いなら、200ヤード地点より300ヤード地点の方が目標に対するブレ幅が大きくなってしまうからだ。飛ばしを手に入れたら同時に精度を上げる。そうしなければスコアアップにはつながらないのである。

逆にいえば、同じフェースの狂いでも、そんなに飛ばさなければフェアウェイの枠に収めることができるということ。ツアープロのように7000ヤード超えのコースでやっているのであれば、300ヤード級ドライブを打つ必要性があるだろうが、我々アマチュアはそんなモンスターコースでプレーすることはほとんどない。6000ヤードを切るコースセッティングでプレーすることも多いだろう。

米国では、ゴルフ協会(USGA)とプロゴルフ協会(PGA)が“TEE IT FORWARD”という活動をここ数年ずっと続けているが、あえて前方のティーイングエリアを選ぶことで、ゴルファーの56%がプレー時間を短縮し、同じく56%がゴルフの回数を増やし、85%がゴルフが楽しくなったと回答しているという。そして、93%が「また前のティから回りたい」と答えたのだそうだ。

画像: 飛ばし屋のキャメロン・チャンプのドライビングアキュラシーは58.96%と149位(2019年のウェイストマネジメントフェニックスオープン 撮影/姉崎正)

飛ばし屋のキャメロン・チャンプのドライビングアキュラシーは58.96%と149位(2019年のウェイストマネジメントフェニックスオープン 撮影/姉崎正)

日本のゴルフでは、あえて前のティからやろう!という機運の高まりはほとんど感じられない。ティを選べるならば、できればフルバック。それがダメならバックティで、という人も実際は多いはずである。飛ばさなければ辛い状況をあえて自ら選び、もっと飛ばしたい! と願う。それがゴルフの現状であり、不思議なところである。

ドライバーの飛びは同じでも、一つ後ろではなく、一つ前のティを選べば、10ヤード以上ホールが短くなり、それだけで第二打で持つクラブが短くなる。“TEE IT FORWARD”の統計では、83%のゴルファーがこれによってロフトの大きいクラブでグリーンを狙えるようになり、パーオン率が上がったそうである。

ドライバーの飛距離を10ヤード伸ばすのは大変だし、飛ぶようになったらなったで精度を格段に高めなくてはならない。もちろん、そのチャレンジを自らに課すのも選択肢。しかし、あえて一つ前のティを選んで無理に飛ばす必要のないゴルフをしてみるのも選択である。実際、ゴルフ場にはいくつもティーイングエリアが用意されている。ゴルフは距離を選ぶことができるスポーツであることを思い出し、たまには一つ前から回ってみてはいかがだろうか?

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