2019年のアジアパシフィックアマ優勝、オーガスタ女子アマ3位、海外メジャー2試合連続予選通過など、圧倒的なアマチュア実績を持って今年プロツアーに挑む安田祐香に単独インタビューを敢行。初回は、安田が小学3年生から高校3年生まで通った「坂田塾」について聞いた。

坂田塾・神戸校に9年間通った

プロゴルファー・坂田信弘が主宰する坂田塾といえば、古閑美保、上田桃子らトッププロを多数輩出したことで知られるが、安田祐香もその“卒塾生”の一人だ。

「最初はお父さん、お母さん、お姉ちゃんが練習場に行っていて、私は見学していたんですけど『やってみたいな〜』と思って、自分から(やりたい)と言って、ゴルフをはじめました」

と、安田がゴルフをはじめたのは5歳のころ。7歳で小学生の試合に出場するようになった安田が坂田塾の門を叩いたのは、入塾が許される小学校3年生のころ。

かつては全国6カ所にあった坂田塾だが、練習場の閉鎖、コーチの高齢化などの影響から、現在は「神戸校」1校のみとなっているが、そこで安田はその才能をいかんなく発揮することになる。

画像: 小学3年生から高校3年生までの9年間通った「坂田塾」について話してくれた安田祐香(撮影/有原裕晶)

小学3年生から高校3年生までの9年間通った「坂田塾」について話してくれた安田祐香(撮影/有原裕晶)

「小学3年生に坂田塾に入って、それから毎日練習するようになりました」

そして、本格的な競技の世界へと安田は足を踏み入れていく。

「初めて入賞したのは兵庫県ジュニア(2011年)で、2位でした。ベストスコアもその年に更新(74)して、次の年は優勝できたんです。(そのときも)ベストスコアを更新できて(70)嬉しかったです」

安田が初めて勝利を挙げたのは2012年の兵庫県ジュニア。余談だが、そのときに2位だったのが、
安田の滝川第二高校の同級生で、プロの試合でアマチュア優勝を果たした古江彩佳だ。

「でも、全国の試合では20位とか(2012年の全国小学生ゴルフ大会女子の部で15位タイ)だったんです。まだまだだな〜と感じましたね」

小学1、2年生ではじめて競技に出たときはスコア「110とかでした」という安田だが、小学3年生の坂田塾入塾を経て、兵庫のトップジュニアへと成長していく。

安田が忘れない「坂田塾の8カ条」

そんな安田に、「坂田塾で学んだことはなにか」と聞いてみた。

「ゴルフだけじゃなくて、あいさつとか、人間性を学べました。坂田塾には8カ条があるんです。1、隠し事をしない。2、嘘をつかない。3、約束事は守る。4、挨拶はきちんと大きな声でする。5、お礼状を書く。6、ラウンド前30分、ラウンド後1時間はアプローチ・パターを練習をする。7、スコアは誤記しない。8、ゴルフノート・漢字・英語の書き取りノートを毎日する。ゴルフノートは最初のページにこの8カ条を書いて、覚えるんです」

安田はこの8カ条を言いよどむことなくスラスラと挙げてくれた。それだけ、小学3年生から高校3年生までの9年間で、安田のなかに深く刻まれた教えであることがわかる。ちなみにこの8カ条を破ると……? 「マジでやばいです! コーチにキレられます(笑)」と19歳の女性らしい笑顔を見せてくれた。

「(坂田塾では)目土をいつも持ってラウンドするんですけど、ティーイングエリアに大きなディボットがあって、自分の作ったディボットだったら目土していたと思うんですけど、そのままにしたらめっちゃ怒られました」

そんなこともあったとか。以前、とある国際大会で安田のプレーを見たとき、他の選手がディボットをそのままにするなか、ショットのたびに目土を施す安田の姿が印象的だった。その背景には、このような過去の経験があったのだろう。

画像: アマチュア時代、目土しながらプレーしていた安田(写真は2018年のトヨタジュニアゴルフワールドカップ)

アマチュア時代、目土しながらプレーしていた安田(写真は2018年のトヨタジュニアゴルフワールドカップ)

安田に坂田塾の9年間で一番思い出深いことは問うと、出た答えはやはり“怒られた思い出”だった。

「小学生のころ、月イチで50人くらい塾生が集まって合同合宿をしていたんですけど『毎日200球直ドラしなさい』ってコーチに言われて、できないことはなかったんですけど、しなかったんです。そうしたら、その後何週間か練習させてもらえなくて、ひたすら練習場の掃除とか、コースでは目土だけでした(笑)。今となっては懐かしい思い出ですね」

坂田塾で教わった、スタンスを閉じて「9時から3時」の振り幅でスウィングする“ジャイロスウィング”を「自分の原点」と語り、今もリズムを整えるために繰り返すという安田。

プラチナ世代のホープ誕生の背景には、神戸・坂田塾の教えがあった。

(中編に続きます)

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