長い棒状のクラブを使って、体の向いているのとは違う方向にボールを飛ばす。ゴルフスウィングは、日常に似た動きがほぼなく、それだけに習得するのが難しい。そんなゴルフスウィングを“別のスポーツの動き”でわかりやすく教えるプロがいるというウワサを聞きつけ、新人ゴルフ記者・S子が向かった!

バックスウィング、ダウンスウィング、フォローの3つのパートに分けて考える

こんにちは!新人記者・S子です。みなさん、ゴルフはいつごろ始めましたか? ゴルフって、ほかのスポーツに比べて「社会人から」という方が多いのが特徴な気がします。

かくいうS子もゴルフを始めたのは社会人になってから。中学時代はバレーボール部、高校時代はバスケットボール部で運動経験はありますが、野球やテニスといった道具を使う球技は未経験。そのためゴルフを始めたばかりのころは苦労したのを覚えています。止まっているボールを打つのが難しいってどういうこと!? って思ったり(笑)。ゴルフって動きが独特で複雑だから最初は難しいですよね。

そんなS子のようなゴルファーのために「別のスポーツの動きで、ゴルフを教える」ことを得意とするコーチがいるそうです! その別のスポーツとは、ズバリ、ボクシング。ボクシングとゴルフ!? 違いすぎない? と逆に興味を引かれ、取材を申し込むと「OK!」と快く返事をしてくれたのは「2019年PGAティーチングプロアワード優秀賞」を受賞した伊藤佳祐プロです。

画像: 2019年のPGAティーチングプロアワードで優秀賞を獲得した伊藤佳祐プロ

2019年のPGAティーチングプロアワードで優秀賞を獲得した伊藤佳祐プロ

とはいえ、S子はボクシング未経験者。ボクシング漫画「はじめの一歩」の愛読者ではあるものの、ミットを叩いたことも、グローブを着けたこともない……。自分でお願いしたのにできるのか不安……と思っていると、「大丈夫です!ボクシングの動きは軸を中心とした回旋が伴う全身運動で、ゴルフと共通するものがあるんです」と伊藤プロ。

伊藤プロは、バックスウィング、ダウンスウィング、フォローの3つにスウィングを分け、それぞれの動きをボクシングのパンチの動きで教えるのだそうです。

「ゴルフの基本的な動きを習得するために一番理解しやすいのが『瓦突きドリル』です。これで、バックスウィングとダウンスウィングの基本的なところは理解できるはずですよ!」(伊藤プロ)

瓦突きドリル……名前だけだと難しそうに聞こえるけど、実際にどんな動きなのか体験してみました!

伊藤プロが用意してくれたのは、バランスボールとボクシングのグローブ。なんでも、これがあるとよりイメージしやすいのだそうで、バランスボールもグローブもなければないでOKとのことです。

グローブをつけ、体の真正面にバランスボールを置いたら、伊藤プロの指示に従って拳を振り上げ、まるで空手の「瓦割り」みたいに、ボールにパンチ! していくみたいです。できるかな〜。

画像: S子も試してみましたが、全身を使うため意外とハード!それにトップの位置がいつもより高い気がします!これが理想のトップの形なのかな~

S子も試してみましたが、全身を使うため意外とハード!それにトップの位置がいつもより高い気がします!これが理想のトップの形なのかな~

「まずバックスウィングの動きから説明しましょう。バックスウィングはダウンスウィングで地面を踏み込むための準備。しっかりと地面を“踏める”体勢にトップで入っておくことが大切です」と伊藤プロ。しっかり踏める体勢って、どんな体勢だろう。詳しくやり方を聞きました。

「まずクラブを持たずにいつも通りアドレスをしましょう。そして、真下に向けて左拳を下げながら、右拳を上に引っ張り上げていきます。右腰を引きながら右サイドの肋骨が伸びていくのを感じながら右拳を上げきったら、トップの形が完成です!」

画像: クラブを持たずにいつも通りのアドレス。左拳を真下に下げながら右拳を上げて、右サイドの肋骨が伸びるのを感じれたらしっかりとしたトップの形ができている

クラブを持たずにいつも通りのアドレス。左拳を真下に下げながら右拳を上げて、右サイドの肋骨が伸びるのを感じれたらしっかりとしたトップの形ができている

伊藤プロに教わりながらS子も試してみると、いつものトップより手の位置が高いことがわかります。肩が良く回っているのが実感できる! クラブをひょいって手で上げてしまうと、肩が回ってないことがありますが、クラブを持たない「瓦突きドリル」で左拳を下げながら右拳を上げようとすると、自然に肩が良く回ってくれるんです。クラブを持たないことで体の動きにフォーカスできるんですね~!

画像: トップで伸びた体(写真左)を沈み込ませながら体を回転(写真中)、左拳を引きながら両脚を伸ばして、右拳を地面方向に打ち込む(写真右)

トップで伸びた体(写真左)を沈み込ませながら体を回転(写真中)、左拳を引きながら両脚を伸ばして、右拳を地面方向に打ち込む(写真右)

「続いてはダウンスウィングの動き方を説明しましょう。ボールにパワーを伝えるためにバックスウィングで伸びた体を、両足で地面を踏み込むスクワットの動きで沈みこませます。それと同時におへそが体正面からターゲット方向を向くくらい回してください。このときはまだ右拳は我慢です! 次の(インパクトの)瞬間、左拳を引きながら両脚を伸ばして、右拳を地面方向に打ち込みます!」

画像: バランスボールを何度か突いてみましたがストレス解消にも凄くいいです(笑)

バランスボールを何度か突いてみましたがストレス解消にも凄くいいです(笑)

S子も「えいっ!」とバランスボールを突いてみましたが、あれ、これ意外と気分爽快ですね(笑)。と、それはさておき、体の真下にエネルギーを使っていくので前傾がキープできるし、体も開きません。

さらに沈み込んだ次の瞬間に両脚を伸ばすことで、自然と地面反力も使えるので、横振りになりがちな女性の飛距離を伸ばすのにも良さそうです。

この2つだけでも基本的なゴルフの動きができるそうですが、伊藤プロいわく、フォローサイドでもう一工夫すると、さらに地面反力を活かして飛ばせるそうです。そのための「アッパードリル」を伊藤プロに詳しく聞いてみましょう!

画像: 地面反力を回転力に変えるためにお勧めなのが「アッパードリル」

地面反力を回転力に変えるためにお勧めなのが「アッパードリル」

「ボクシングのアッパーは下からあごやお腹を突き上げる動き。ゴルフではターゲット方向に向かってアッパーの動きを入れていくイメージになります。ダウンで説明した沈みこむ動きをした瞬間、腰をターゲット方向に回しつつ、左拳を引いて、沈みこみで生じたパワーを上方向への回転力に変えていきます。さあ、右拳で僕のあごを狙ってみてください!」

画像: 伊藤プロに向かって「アッパードリル」をしたS子。最初は慣れないボクシングの動きに戸惑いましたが、ゴルフと共通する動作が多かったです! ちなみに本当にアッパーを決めたわけではありません(笑)

伊藤プロに向かって「アッパードリル」をしたS子。最初は慣れないボクシングの動きに戸惑いましたが、ゴルフと共通する動作が多かったです! ちなみに本当にアッパーを決めたわけではありません(笑)

多くの方と同じように飛ばしたいゴルファーであるS子はあごの近くにミットを構えた伊藤プロに向かってフルスウィング! グローブもミットも固くて、手が痛い(笑)。アッパーは腹筋や脚力、全身を使わないと振り抜けないので、自然と下半身主導になるのがわかります。そして下から上の動きなので、体感するのが難しい地面反力をすごく感じやすい! これは発見ですね。

ボクシングってやったことなかったけど、すごくゴルフとの共通点があることがわかりました。それに、バランスボールを突くのはストレス解消にもいいです(笑)。男性はもちろん、ゴルフ女子にもオススメだな〜と感じた、S子なのでした。

取材協力/六甲国際ゴルフアカデミー 撮影/有原裕晶

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