結婚し、新コーチ、新クラブで2020年シーズンを迎えたリッキー・ファウラー。新しいコーチのもと、スウィングはどう変わったのか? プロゴルファー・中村修が分析!

リッキーを初めて間近で見たのはブルックス・ケプカがメジャー初優勝を挙げ、松山英樹が2位に入った2017年の全米オープンでした。ジャスティン・トーマス、ジミー・ウォーカーらと練習ラウンドする彼らに9ホールついて歩きました。

画像: コブラのニュークラブを手に、2020年を戦うリッキー・ファウラー(写真は2020年のファーマーズインシュランスオープン 撮影/有原裕晶)

コブラのニュークラブを手に、2020年を戦うリッキー・ファウラー(写真は2020年のファーマーズインシュランスオープン 撮影/有原裕晶)

そのときにはすでにキャディとの間で綿密なゲームプランができあがっていてクラブ選択に迷うことなくパー4でもアイアンや3Wを持ち、ティショットも2打目も正確にコントロールされていました。初日はそのプラン通りのゴルフで65のロケットスタート切り、最終的には5位タイでフィニッシュしました。

当時のコーチであるブッチ・ハーモンに、ファウラーについて話を聞くと「スウィングはナチュラルなのが一番、本人にとってナチュラルなスウィングに導くことが大事なこと。リッキーに関しては、ポスチャー(姿勢)やアウトサイドに上がり過ぎていたテークバックをスクェアな位置に直したことでダウンスウィングの軌道が安定して正確なショットが打てるようになってきた」と答えてくれました。

それから3年が経ち、ツアー通算5勝を挙げメジャーでの初優勝にもっとも近いプレーヤーの一人になっています。

新しくケビン・キズナ―などを指導するジョン・ティレリーをコーチに迎え、ポジションよりも下半身の動きを重点的に見直しているとのこと。練習場ではアドレスで右左と足踏みをするようなルーティンからスタートしていることから、下半身の動きから上半身や腕の動きを導こうとしていることが感じ取れます。

スウィングを見てみると、手元は体に回転に沿ってややインサイドに上がりクラブが地面と平行になる位置で飛球線と平行でフェース向きもスクェア、ブッチと取り組んだところは変わっていません。

画像: 体の回転に沿って手元はインサイドシャフトは地面と平行になる位置で飛球線と平行(写真左)。トップは右わきの締まった頭から手元の遠くフラット(写真右)。(写真は2020年ウェストマネジメントフェニックスオープン 写真/姉崎正)

体の回転に沿って手元はインサイドシャフトは地面と平行になる位置で飛球線と平行(写真左)。トップは右わきの締まった頭から手元の遠くフラット(写真右)。(写真は2020年ウェストマネジメントフェニックスオープン 写真/姉崎正)

そこから手元が頭の位置よりもやや低く遠くに上げ、右わきのしっかりと締まったフラットなトップが特徴です。これは以前とまったく変わりませんね。

下半身はアドレスで両ひざを外側に向けて構え、ダウンスウィングまでその間隔を変えずに使うことで骨盤の前傾をキープし、下半身で作った力をお腹から上体に伝え、クラブを再現性高く動かしています。インパクトでは左ひざを伸ばす動きが見られ、地面反力を使いながら左サイドでクラブを引く力を増大させていることがわかります。

新しいコーチを迎えたとはいえ、ポジションには変化がほとんど見られません。足踏みをするようなルーティンからわかることはスウィングのテンポの作り方もありますが、より腰回りから背中の筋肉の伸張を使えるようになるので、前後左右のブレを少なくし効率のいいスウィングを目指していることが想像できます。コーチも、ファウラーも、スウィングのカタチにはこだわっていないのかもしれませんね。

画像: 右のひざが内側に入らずアドレスで作った両ひざの間隔を保つ(写真左)。左ひざを伸ばす地面反力を使う動きでクラブを引く力を増大させる(写真右)(写真は2020年ウェストマネジメントフェニックスオープン 写真/姉崎正)

右のひざが内側に入らずアドレスで作った両ひざの間隔を保つ(写真左)。左ひざを伸ばす地面反力を使う動きでクラブを引く力を増大させる(写真右)(写真は2020年ウェストマネジメントフェニックスオープン 写真/姉崎正)

ディフェンディングチャンピオンで迎えた「ウェストマネジメントフェニックスオープン」では37位と奮いませんでしたが随所にキレのあるショットも見られました。新しいコーチと取り組むスウィングの感触も、今後徐々に上がってくることでしょう。

4月のマスターズ辺りにはしっかりと調整して、待望久しいメジャー初優勝に挑む姿が見られるのではないでしょうか。

This article is a sponsored article by
''.