コブラの新しいドライバー「スピードゾーン」と「スピードゾーン エクストリーム」が発表された。レーシングカーからインスピレーションを受けたというこのクラブ、一体どんなドライバーなのか? 発表会の現場から、探ってみた。

スピードゾーンの名の通り「6つのゾーン」に分けてヘッドを最適化

スピードゾーンドライバーは、レーシングカーがスピードを追求するためにエンジン、シャーシ、フレーム、空力などの性能を最適化するように、ヘッドを6つの「ゾーン」に分け、それぞれの最適化を図ったという面白い設計思想のドライバー。

画像: コブラの「スピードゾーン」果たしてどのようなクラブなのだろう!?

コブラの「スピードゾーン」果たしてどのようなクラブなのだろう!?

コブラによれば、その6つのゾーンはそれぞれ「パワー」「強度」「軽量」「低重心」「空気抵抗」「安定性」に分けられる。ミルドフェースによってパワーを得、フレームが強度を、ヘッド表面積の50%を占めるカーボンが軽量化をもたらす。さらに、ソール後方に69グラムものウェートを仕込むことで低重心化し、ヘッドシェープが空力性能を、重量の最適配置が安定性をもたらすという。

空力性能といえばテーラーメイドのSIMが前面に押し出し、キャロウェイのマーベリックも空力を意識するなどにわかに話題になっているが、実はコブラは前作のキングF9から空力性能にフォーカスしている。いずれにせよ“スピード”にこだわったクラブだ。

また、スピードゾーンにはソールのフェース寄りと後方にそれぞれウェートが埋め込まれているが、これは交換可能となっており、これによりヘッドの操作感をコントロールすることができる。ウェイトは前後を入れ替えるだけでなく、別売りのウェイトパーツに付け替えることも可能で、2、6、10、14、18と5つの重量が用意されている。

スピードゾーンエクストリームはさらに慣性モーメントを高めたモデル

スピードゾーンには固定式のタングステンウェートを後方に配置し、さらに慣性モーメントを高めた「スピードゾーン エクストリーム」というモデルもある。ヘッドサイズは同じ460ccだが、見た目にはエクストリームのほうが一回り大きめで、安心感がある。

2つのヘッドはそれぞれブラック/イエローとブラック/ホワイトの2種類のカラーを選択できるようだ。ボディカラーが選べるというクラブは意外と少なく、このあたりも自動車的かもしれない。

スピードゾーンのスペック詳細。やや短めで扱いやすい仕様

ロフト設定はスピードゾーンが9度と10.5度、スピードゾーン エクストリームが10.5度のワンロフトで、いずれもプラスマイナス1.5度の調整が可能となっている。ライ角はスピードゾーンの9度が57.5度、10.5度が58.5度。スピードゾーンエクストリームが58.5度。長さはセンサーありが45.25インチ、なしが45インチと、今どきのクラブとしてはやや短めの設定だ。

センサーとはなんのことかといえば、スピードゾーンにはグリップエンドにショットを自動的に検知する「アコースセンサー」が取り付けられており、AIキャディアプリの「アコースキャディ」と連携させることで様々なデータを分析することが可能となっている。

シャフトは純正シャフトがフジクラ製のスピーダーエボリューションforSZと、グラファイトデザイン製のツアーADforSZのふたつ。スペックは、スピーダーがS、SR、Rの3フレックスで49.5〜54グラムの中調子。トルクは6.0〜5.5の設定。バランスはRでD1、SRとSがD2となっている。

ツアーADはSRとSの設定で、それぞれ重量は62/64グラム。トルクは4.8/4.5、バランスはD2/D2.5となっている(すべてスピードゾーンの数値)。

セミカスタムシャフトとして、スピーダー661エボリューションⅥ、ツアーAD XC-6、ディアマナZF60を選ぶことができる。価格は純正シャフトが6万5000円+税、セミカスタムが8万円+税。カスタム対応は非常に充実しており、グリップ20種類、シャフト28種類から選べるようだ。

スピードゾーンをさっそく試打! 曲がらない・上がるが2モデルの共通項

発表会場では試打ブースも用意されていた。クラブがそこにあれば試さずにいられないのがゴルファーのサガ。さっそく、プロゴルファー・中村修が試打をした。

画像: スピードゾーン(左)とスピードゾーンエクストリーム(右)

スピードゾーン(左)とスピードゾーンエクストリーム(右)

「まずは、スピードゾーンドライバー。前モデルの『F9』を試打取材などで何度も打つ機会がありましたが、それよりも左右の慣性モーメントが大きくなっています。結果、左右に打点がズレてもある程度許容してくれるようになっています。それでいて適度につかまるのもいいところ。ボールは上がりやすく、スピン量は少なめです。また、ヘッドの50%がカーボンということですが、打感は締まったいい打感。ロフト次第でヘッドスピード40m/sくらいから。初心者にオススメというクラブではありませんが、100前後の人でも使えますし、プロでも使えます。いい意味で、クセのないニュートラルさが特徴といった印象です」

画像: スピードゾーンの試打結果。打ち出し角は16.1度と高め。スピンは2682とほどよく、曲がりは少ない。「エクストリーム」はこれよりもさらに打ち出しが高く、スピンもやや入る

スピードゾーンの試打結果。打ち出し角は16.1度と高め。スピンは2682とほどよく、曲がりは少ない。「エクストリーム」はこれよりもさらに打ち出しが高く、スピンもやや入る

一方のエクストリームはどうか。

「さらに上がりやすく、大きくてシャローな見た目のまま、ミスに非常に強いですね。スピードゾーンに比べてスピン量はやや多めで、それもあってボールの上がらない人には非常にいいと思います。また、重心距離の長さを感じるので、スウィング的にはフェースの開閉が少なめのスウィングに会います。大きい分だけ安心感があるし、曲がりも少ないですから、100切りを目指すような人から、スライスに悩む人、中級者でもドライバーがバラつく人などにオススメ。もっとも合うのは、20〜30代でクラブを振るパワーがあり、当たると飛ぶけど曲がる人、でしょうね」

また、純正シャフトはスピーダーとツアーADがあるが、スピーダーはシャフトがしなってつかまえてくれるシャフト。ツアーADはどちらかといえば動きが少なく、ボールを叩ける味付けとなっていた。

海外では売り上げを20%伸ばし、米国ではウッド系クラブのシェアを伸ばして好調だというコブラ。勢いそのままに、日本でも人気となるか、注目だ。

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