プロは例外なく「つかまり指数」が高い
プロギアの「サイエンスフィット」を数年ぶりに体験する機会があったので紹介したい。「サイエンスフィット」とは、ゴルフメーカーであるプロギア独自の科学的なスウィング解析とレッスンを融合させたゴルフ上達メソッドだ。
場所はJR有楽町駅近くのプロギア銀座EX。昨年から導入されたモーションキャプチャによるスウィング解析『スウィングスキャン』の体験が目的だ。ちなみに料金は、ヘッド挙動測定、弾道測定なども加わって、初回90分2万2000円税別(教本つき)だ。
「GEARS」を例に出すまでもなく、モーションキャプチャを使ったスウィング解析は近年流行している。プロギア「サイエンスフィット」の場合は、これまでに培ってきたスウィング解析と、契約プロを始めとする夥しい数のゴルファーのデータをもとに、改善プランを提案してくれるところに特徴がある。これらのデータの蓄積は、プロギアのクラブ開発にも活かされているという。
筆者が興味を持ったのは、「つかまり指数」という指標だ。これは、手首のコッキング、手首のヒンジング(掌屈)、腕のローテーション(回旋)の3要素で、どれだけボールをつかまえる動きをしているかを数値化したものだ。ちなみに、ボールをつかまえるとは、フェースが閉じるように動く動作、平たく言えば、ボールが左にいきやすくなることだ。
面白いのは、この「つかまり指数」とゴルファーの腕前とに強い相関関係があるということだ。初心者や100切り前後のゴルファーは、この「つかまり指数」が例外なく低く、上級者になるほど高くなるという。プロゴルファーの場合は、多くのアマチュアが問題にならないほど、高い「つかまり指数」を叩き出し、そこにはほとんど例外がないという。
以下は、筆者の見解だが、プロゴルファーはつまり前掲の3要素、手首のコッキング、手首のヒンジング(掌屈)、腕のローテーション(回旋)、という腕周りの動きでボールをつかまえる準備をしておき、カラダの動きでは、ボールをむしろ逃がすように使って、ストレートに近いボールを打っているということだ。
ゴルフスウィングは、ボールが左にいく要素と右にいく要素とを組み合わせているようなところがある。たとえば、ダスティン・ジョンソンであれば、手首を掌屈させた強いシャットフェースが左に行く要素だ。そのままでは左に飛んでしまうところ、カラダの回転が先行しながらハンドファーストにとらえることで、ストレートに近いフェードボールを打っている。
スウィングに正解がないのは、この左にいく要素と右にいく要素の組み合わせが、ゴルファーによってまちまちで、それぞれのゴルファーが自分なりの味つけでスウィングを形作っていることも要因だろう。だから、多くのゴルファーが実感しているように、スウィングを部分的に模倣しても上手くいくことは少ない。
もし、カラダの一部の動きを変えることで上手くいったなら、それは他のスウィング要素との噛み合わせが良かったためだろう。部分的にスウィングをいじり、良くなったり悪くなったりを繰り返しているゴルファーは多いのではないだろうか。
筆者の「つかまり指数」は“13”と、80切りゴルファーのレベルだったが、骨盤の前傾角度などのアドバイスをもらったところ、すぐ“23”に向上した。プロの多くはこの数値が“26”を超えるという。無論、つかまればいいというものではないが、このあたりはプロギアのスタッフによる適切な提案の賜物だろう。ボールがつかまる安心感が生まれたため、スウィングスピードが増す結果となった。
闇雲な努力をするなら、専門家に科学的に解析してもらい、本当に問題の部分、改善すべき部分を提案してもらったほうが、効率が良いのではないだろうかというのが、体験後の率直な感想だ。壁にぶつかっている人、何年も上達から遠ざかっている人のソリューションとしては、この料金もそれほど高くないのではないかと思う。