テーラーメイドのニュードライバー「SIM」、「SIM MAX」の2モデルを、ギアオタク店長ことクラブフィッター・小倉勇人が試打。性能比較・解説してもらった。

空気力学を設計に取り入れた「SIM」シリーズ

先月発表されたテーラーメイドの最新ブランド「SIM」。シリーズの中でやはり注目なのがドライバー。同社契約のプロが次々にSIMドライバーにスイッチし、早くも勝利を挙げるなど話題を呼んでいるが、我々アマチュアにはどうなのか!? クラブフィッターの小倉氏に試打、解説をお願いした。

画像: テーラーメイドのニュードライバー「SIM」、「SIM MAX」をクラブフィッターの小倉勇人が試打!

テーラーメイドのニュードライバー「SIM」、「SIM MAX」をクラブフィッターの小倉勇人が試打!

SIMシリーズのドライバーは空気抵抗に着目して開発された。とくにソールの独特な形状「イナーシャジェネレーター」なる新たなテクノロジーが特徴的だ。

「イナーシャジェネレーターはフェースに対して垂直ではなく、トゥ側にやや傾いた状態で搭載されています。これはヘッドが一番加速する時、つまりトップからインパクトまでの間、ヘッドが開いた状態で動いているため、ソールのヒール側の空気をスムーズに流すために傾けているんだそうです」

これにより、スウィング中の空気抵抗を減らすことでヘッドをよりスムーズに加速させ、ヘッドスピードを高めることに成功しているようだ。

SIMシリーズにはSIMドライバーとSIM MAXドライバーの2モデルがあるが「それぞれ特性が異なります」と小倉氏。まずSIMは「前作でいうM5に当たり、アジャスト性能を高めたモデル」だという。

画像: SIMドライバー。スライド式のウェートに加え、ソール後方には10グラムの固定ウェートが搭載されている

SIMドライバー。スライド式のウェートに加え、ソール後方には10グラムの固定ウェートが搭載されている

「ソールにスライド式ウェートを装着し、ウェートを動かすことでボールのつかまり具合を調整できるようになっています。過去のモデルで好評だった、フェースをあえて捻じることで打点のミスを抑制するツイストフェース、ルール上限ギリギリの反発を実現するスピードインジェクション、シャフトが脱着できる弾道調整機能などのテクノロジーは引き続き搭載していますので、空力性能を高めたヘッドシェイプにより、さらに高い飛距離性能に磨きをかけてきたモデルと言えますね」

対するSIM MAXは「前作でいうM6のポジション」のドライバーだ。

「やや重心を深くすることで打点のミスに強くし、直進性の高い弾道が打ちやすい特性を持っています。こちらもツイストフェース、スピードインジェクション、ネック側の弾道調整機能は搭載されていますが、スライド式ウェートは搭載されていません」

画像: SIM MAXドライバーはスライド式ウェートが非搭載。ソール後方の固定ウェートはSIMより重い18グラムで、よりやさしい設計となっている

SIM MAXドライバーはスライド式ウェートが非搭載。ソール後方の固定ウェートはSIMより重い18グラムで、よりやさしい設計となっている

同シリーズで複数モデルを展開する場合ヘッドサイズに差をつけてくるケースが多いのだが、カタログを確認するとSIMドライバーとSIM MAXドライバーのヘッドサイズはどちらも同じ460㎤。

SIMシリーズの2モデルが同じヘッドサイズであることについて、小倉氏は「ヘッドサイズが同じなのは、どちらのモデルもルール上限の同じサイズに設定しても十分狙った性能が発揮でき、なおかつモデルごとの差がちゃんと作れたからじゃないでしょうか」と分析。

M5に比べて洋ナシ型になったSIM

では実際にSIMドライバー、SIM MAXドライバーを打った印象を聞いてみよう。ちなみに小倉氏のヘッドスピードは44m/s。フェードが持ち球で、ベストスコアは68、2019年のアベレージスコアは78というスキルの持ち主だ。

なお、試打に使用したのはいずれもロフト10.5度のモデルで、弾道調整機能やスライド式ウェートはすべて標準のポジション。シャフトはSIMが「テンセイシルバーTM50」、SIM MAXが「テンセイブルーTM50」。いずれもSフレックスを使用して試打を行った。

まずSIMを構えて小倉氏が感じたのは、「前作(M5)と比べてかなりヘッドシェイプが変わった」点だ。

「トウ側のボリュームが増し、いわゆる洋ナシ型になりました。洋ナシ型のヘッドはやや重心が長くなった印象を与え、ヘッドのターンがゆるやかになるようなイメージが湧きやすいですが、SIMは打ってみるとまさにその通りの挙動を示します」

画像: 写真左がM5、右がSIMのアドレスルック。SIMはトウ側のボリュームが増し、洋ナシ型のヘッド形状になっている

写真左がM5、右がSIMのアドレスルック。SIMはトウ側のボリュームが増し、洋ナシ型のヘッド形状になっている

そのまま数球打つ。「ストレートから軽いドロー」をイメージして振っても目標方向か少しだけ右に飛び出す軽いフェード気味の球筋で、もう少しヘッドをターンさせるイメージを持っても「ドロー系の弾道にはなりませんでしたね」と、つかまりを抑えた設計であることが伺える結果となった。

とくに小倉氏が驚いたのは、スピンの少なさと弾道の強さだ。

「ドロー系よりスピンが増えやすく、軽い弾道になりやすいフェード系の弾道でも余計なスピンが掛かりにくく強い弾道で飛んでいくんです。試打したクラブは10.5度で打ち出し角も高く、スピンが入りやすい状況なのにスピンが増えすぎない。フェード系で飛ばしたい方にはもってこいのクラブだと思います。もう少しつかまえたければスライド式ウェートをヒール側にすれば、ドロー系の球も打てますし、飛距離性能はとても高い仕上がりだと思います」

打点のミスに強いSIM MAX

対してSIMMAXドライバーはどうだろうか。

「構えると正直SIMドライバーとほとんど形状に差を感じません。洋ナシ型の奇麗な形状でしっかり叩いていけそうな印象を与えてくれます。打ってみると、SIMよりはつかまりますが、それでもわずかな印象。目標にまっすぐ打ち出すとわずかにフェードするか、ほぼストレートな弾道が安定して打てました」

実際に打って感じたSIMMAXの強みは「やはり打点のミスへの強さです」と小倉氏。

「多少芯を外しても飛距離ロスが少なく、サイドスピンが掛かりにくいので曲がりが少ない。インパクトでのフェースの向きさえ管理できれば、安定してビッグキャリーの飛ぶ弾道が打てるクラブですね」

画像: 「つかまりはSIM MAXのほうがありますね」と小倉

「つかまりはSIM MAXのほうがありますね」と小倉

SIM、SIM MAXともに「曲がりが少ないという点が強く印象に残りました」と小倉氏。では、2モデルの差異を総括してもらおう。

「SIMドライバーは基本性能をつかまりを抑えた特性にし、スライド式ウェートで調整機能を持たせることで自分好みのつかまり具合に調整できるように仕上げている印象。一方SIM MAXドライバーは、ややつかまり性能を高めていますが、それでも程度を軽めにすることで直進性を高め、高い寛容性と合わせて安定して飛ばせる仕様に仕上げている印象を受けました」

2モデルともつかまり性能は控えめで「しっかり叩いていけるアスリートが好む仕様に仕上がっている」と小倉氏。しかしスピン量の少なさと曲がり幅の狭さゆえに「スライス系の弾道でも飛距離ロスが少ない強い弾道が打てるので、つかまえる技術がない方でも無理につかまえようとせずスウィング通りの弾道を打てば、飛距離は伸びると思いますね」とのことだ。

Mシリーズのテクノロジーを継承しつつ、さらに飛距離性能が進化したSIMシリーズ。まずは試打してその性能を確かめてみてほしい。

協力/ユニオンゴルフクラブ

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テーラーメイドの新ドライバー「SIM」「SIM MAX」を ギアオタクが徹底試打!

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