ブラインドな上にバンカー。“二重苦”の状況からプロはどうやって打っている?
ショット地点から打ち出し目標(グリーン、ピン位置)が見えないブラインド状態からのショットでは、目標が見えないためアドレスを取りにくく、ミスが生まれやすいシチュエーションと言える。
目標がショット地点から目視できないときは「代わりの目印になるものを探してください」と言うのは、女子ツアーで活躍するプロゴルファー・蛭田みな美。
今回はお手本を披露してもらったのは、千葉県「きみさらずゴルフリンクス」の14番ホールのフェアウェイバンカーからのショット。ピンまで残り105ヤードだが、アゴが高くショット地点からグリーンが見えない状況だ。
このとき大事なのは「目印をつくること」だと蛭田。まずはショット地点から離れ、ピンが見えるところから位置を把握。続いて「ショット地点からでも見える目印」を探していく。
「ピンの後方にあるなにか……たとえば今回なら、ちょうど逆三角形のように見える木(画像Aオレンジの円)。その一番右端、という風にショット地点からでも見える目印を設定してそこを狙います」(蛭田、以下同)
フェアウェイバンカーで蛭田が気を付けていることは?
目印を見つけたら、あとはフェアウェイバンカーからのショットを成功させるだけ。まずはクラブ選択の基準から教えてもらおう。
「フェアウェイバンカーから打つときのほうがだいたい3~5ヤードは距離が落ちますので、1番手上げて打つといいですね」
とはいえ、今回の状況はピンがグリーン奥に切られていて、その先はバンカーが待ち受けている。「手前から攻めたい」という蛭田は、あえてピンより少し手前に落ちる48度を選択した。グリーン周りやピン位置によってクラブ選択も柔軟な対応が必要だ。
しっかり狙いどころにボールを運んでいくためには「やっぱりダフらないことが第一条件ですね」と蛭田は続ける。
「ダフらないために、まずボールの位置を気を付けてほしいですね。48度なら、普段のボール位置はかかと線上より約ボール1個分右(体の中心よりわずかに左寄り)ですが、フェアウェイバンカーのときはもう少し真ん中めに置きます」
ボール位置をズラすことでよりハンドファーストの度合いが強くなり、クラブを立てられるのでダフリにくいという。スタンス幅や体とクラブの距離感はいつも通りでオッケーとのことだ。
もう1点、グリップにも一工夫してほしいと蛭田。
「フェアウェイバンカーからのショットでは普段より短く持ってあげましょう。指1本ぶんくらい短めが目安ですね」
今回のフェアウェイバンカーは比較的浅めで打ちやすかったが、深いバンカーだった場合は、「足が埋まりやすいのでもう少し短めにクラブを持ってあげましょう」と蛭田。足がどれくらい沈み込むかによってグリップ位置を調整しているようだ。
蛭田の放ったショットはわずかにオーバーしたものの、方向はバッチリ。しっかりピンが見えない状態からでもしっかり寄せ切ることに成功した。
今回蛭田が挑戦した「ブラインド、かつバンカーショット」はそう頻繁に遭遇する状況ではない。が、「ブラインド」と「フェアウェイバンカーからのショット」と分けて考えればラウンド中、行き会ってもおかしくないシチュエーションだ。蛭田が教えてくれたテクニック、覚えておいて損はないだろう。
協力/きみさらずゴルフリンクス