パク・セリに次ぐ米女子ツアー20勝目を達成
かつては「グリーンの女王」と呼ばれ、ツアーでも屈指のパットの名手だったのパク・インビが、2年ぶりにISPSハンダ・オーストラリア女子オープンで優勝。今大会の優勝でツアー20勝目を飾り、韓国人選手ではパク・セリの米ツアー25勝に次いで2番目の記録を樹立した。
「19勝目で止まっていたので、まさか20勝目がくるとは思わなかった。9は韓国では不吉な数字で、19も不吉な数字なんですよ」
彼女はかつてメジャーで7勝を挙げ、2015年には全英女子オープンで優勝し、キャリアグランドスラムを達成。過去、ほとんど毎年勝ち星を挙げていたが、昨年は1勝もできなかった。ショットの調子は良かったが、得意なパッティングが決まらず、優勝を何度も逃したそうだ。そんな状態を見てゴルフファンたちは「もう引退するのでは?」と囁く人も少なくなかったという。
「引退という文字は、私の頭の中に常にあります。だからみんなが引退するのでは? と言っていることについてはなんとも思いません。15年間も同じことをやっていれば、誰だって引退を考えます。ゴルフをするのが嫌だからではなく、毎週毎週旅行続きで、家族にも会えないような生活、野菜をスーパーに買いに行くことすらもできないような生活には疲れてしまうこともありますよ。もちろんゴルフは続けたいけど、年々タフにはなってますね」
優勝したオーストラリアン女子オープンの練習日には、「もう優勝しても、それがモチベーションにはならなくなっている」とこぼしていた彼女だが、今は東京オリンピックにディフェンディング・金メダリストとして出場するために、韓国チーム入りすることが最大のモチベーションになっているようだ。
現在、韓国チームのオリンピックランキングを見ると、1位コ・ジンヨン、2位パク・ソンヒョン、6位キム・セヨン、9位イ・ジョンウン6とトップ10に4人の選手がランクインしているが、各国世界ランク15位以内の選手は最大4人まで出られるシステムになっているため、今回、パク・インビが1勝を挙げてもまだオリンピックのメンバー入りには至らない。
「韓国チームに入るのは、メダルを獲るよりも難しいかもしれない。今シーズン、何勝か挙げればチーム入りできるかもしれないから、そのことを目標に頑張ろうと思っている。ベストを尽くしてチーム入りできなかったとしてもなんの後悔もない。2016年に一度経験し、韓国を代表して戦ったんですからね」
韓国の国旗を背負って戦うプレッシャーは、メジャーとはまた違った緊張感だと語る。そして金メダルを獲ったあとは、ゴルフを知らない人からも彼女のことを認識するようになったという。女子メジャーは年に5回あるが、オリンピックは4年に1度。すでにグランドスラムを達成している彼女には、金メダルを守ることが最大の喜びとなるだろう。
世界ランク上位の若手にはない「経験」と「実績」に、今回の優勝で再び「自信」も取り戻した。東京オリンピック開催まで約5カ月。韓国チームの熾烈なポジション争いに、再び元世界女王が挑む。