キャロウェイの「トリプルトラック」が火付け役。ダンロップも参入
きっかけは、トリプルトラックテクノロジーという3本線のアライメントが搭載されたキャロウェイの「E・R・Cソフト」ボール(2019年3月発売)。3本線が目をひくこのボールは、プロ使用球である「クロムソフトX」でも採用され、河本結がそれを使って優勝したことなどもあり、話題となった。
以降、アライメントに凝ったボールが相次いで発売・発表され、にわかに活況を帯びている。そして2月4日には国内大手のダンロップも、ミドルレンジの価格帯の「トライスター」「ADスピード(旧:AD333)」に新たなアライメント“ナビゲートライン”を採用させてきた。
実勢価格3000〜4000円前後の“激戦区”と呼ばれる価格帯に投入されるこの2モデルにとって、このナビゲートラインは他社モデルとの差別化を図る意図があるようだ。コスパが良く、なおかつパッティング時に役立つアライメントが搭載されているとあれば、たしかにお得感はありそう。
「ターゲットラインのみならず、フェース向きをスクェアに合わせられる縦の線もあるのが特徴」(ダンロップの担当者)という自信作だ。
さて、各社の“アライメント系ボール”を眺めてみると、前述のキャロウェイ、ダンロップ(スリクソン)に加えて、タイトリストは「TRU FEEL」と「TOUR SOFT」にそれぞれ異なるアライメントスタンプを採用している。
また、アライメントスタンプとはちょっと趣が異なるが、テーラーメイドの「TP5 pix」は、ボール全体に派手なグラフィックが配されており、ボールを転がすとこれが残像のような役割を果たすというユニークな機能を持っている。
もともと、プロは複数のラインをボールに描くなどして、独自にアライメントがとりやすくなるように工夫していた。しかし、球体であるボールに線を描くのがそもそも技術的に難しいといった事情もあって商品化にまでは至っていなかったのが、キャロウェイのトリプルトラックの成功により状況が変化したようだ。
グリーン上でボールのロゴやサイドラインなどをターゲットに合わせるゴルファーは少なくない。複数のラインが描かれ、より正確に狙いをとりやすいアライメント系ボールは今後スタンダードとなっていくか、注目だ。