ドライバーやアイアンといったゴルフクラブにこだわりを持つアマチュアゴルファーは少なくない。しかしゴルフボールは「なにを選んだらいいのかわからない」という方も多いのではないだろうか。ギアライター・高梨祥明がボールの選び方と最新ボール事情を語る。

練習グリーンでやってみよう! カップに寄っていくボールを選ぶ

「ゴルフボールなんて外見はほぼ一緒だし、何が違うのかさっぱりわからない」というゴルファーは多い。確かにそれはある。大きさはみんな一緒で、ディンプルパターンはよくよく見れば結構違うが、それで何が変わるのかは明解ではない。新製品と従来モデルの違いも判然としない。結局、値段で決めちゃおうかなぁ……になりがちなアイテムなのだ。

しかし、ボールの違いがものすごくわかる方法がある。それは、パッティングとグリーン周りからのアプローチで複数モデルを打ち比べてみることだ。よく打感と言われるが、簡単にいえばどのボールで打った時の「音」が好きか? ということである。特にパッティングでは手に伝わる振動というよりは好みの「音」が出ているかが距離感(タッチ)を決めるといってもいい。

画像: ゴルフボールの正しい選び方とは?

ゴルフボールの正しい選び方とは?

パターデザイン界の第一人者、スコッティ・キャメロン氏も昔から「パターデザインはART OF SOUND」といっており、フェースの厚さ、フェース表面のテクスチャ、フランジの厚さなどによって同じヘッド形状でも、硬いクリック音を出すこともできるし、しっとりした樹脂インサートのようなソフトな音にすることもできる、としている。

プレーヤー毎に好みの「音」は一貫しているが、それがボールのモデルチェンジなどで変化が生じてしまう。それに違和感がある場合は、パター側のサウンドチューニングで慣れ親しんだ「音」に調律することもツアーでは珍しくない、というのだ。

それほど、親しんだ「打音」というのは、微妙な距離感、タッチに大きな影響を及ぼしている訳である。

我々アマチュアでもラウンド前に行うパッティング練習で、銘柄によって何となくカップに近づきやすいボールと、ノーカン気味になってしまうボールがあることに気づくことがある。音の好き嫌いで判断できなくても、なんとなくカップにスーッと寄っていってくれるボールがあれば、そのボール(銘柄)をエース候補として、その後数ラウンド使い続けてみて欲しい。そうすると「ボールなんてなんでもいい」と複数銘柄をチャンポンしてプレーしていた時よりも、パット数が減り、安定感も出てくることに気づくはずである。

プロV1・V1xでもカバーできないゴルファーが!? それがソフトフィーリングを好む人!

短い距離のアプローチでも、パッティンググリーンと同様に複数モデルで寄せ比べをしてみると、なんとなく寄せやすいボールと、なかなか思ったように寄ってくれないボールがあることに気づくことができる。これは常に一発勝負のラウンド中では気づけないこと。ラウンド中にカップに寄らなければ、単に「自分の打ち方が悪かった」と思うだけだからだ。

複数銘柄のボールで寄せ比べができる環境としては、ショートコースがオススメだ。実際に芝の上から本気モードで寄せ比べをしてみれば、銘柄によって球離れのスピードが違ったり、飛び出す高さが違ったり、落ちてからのスピンのかかり具合が違うことがかなり明確にわかる。単にバックスピンが一番かかるものはどれ? という視点ではなく、とにかく一番「寄せられた」ボールを見極める。これだけでかなり寄せワンに対する自信がつくのである。

画像: タイトリストがアマチュアのテストに使用した目隠しボール。銘柄を伏せてテストしたところ、一番右のボールが「ソフトフィーリング!」と好評価を得た。そのモデルが3月6日発売予定の『AVX』。

タイトリストがアマチュアのテストに使用した目隠しボール。銘柄を伏せてテストしたところ、一番右のボールが「ソフトフィーリング!」と好評価を得た。そのモデルが3月6日発売予定の『AVX』。

実際、ゴルフボールメーカーもこうしたパッティングやアプローチでの「フィーリング」「音」についてはかなり重要視している。

例えば、圧倒的な使用率を誇るプロV1・プロV1xを有するタイトリストも、「フィーリング」においては、この2モデルでカバーできていないゴルファーがいることを認めていた。そこでプロV1・プロV1x同様の最高技術を使って開発したソフトフィーリングの新モデル「AVX」を完成させたのだ。

タイトリストが日本のユーザーを対象に行ったブラインドテスト(プロV1・プロV1xとAVXの比較)でも、フィーリング面でまず「AVX」を選んだ人が多く、実際のラウンドで使い、アプローチ、パットでウレタンカバーならではの寄せやすさを確認すると、すぐにこれが使いたい! となったそうだ。今までプロV1・プロV1xはちょっと硬かった、という人は「AVX」を試してみていただきたい。

また、タイガー・ウッズの使用で販売好調のブリヂストン「ツアーB」も、ご存知の通り、硬めの「X」、ソフトな「XS」と常に異なるフィーリングのボールを用意。こちらもドライバーの飛距離性能ではなく、ショートゲームでの寄せやすさ、フィーリングを基準にモデル選択することができるようになっている。

ちなみに、新しい「ツアーB」は、衝撃吸収材を配合した新開発の “リアクティブ・ウレタン・カバー”を搭載。これによってさらに打感がソフトに、そしてアプローチ、パットでのボールが飛び出すスピードが穏やかになっている。この新カバーの影響(効果)は筆者のようなアマチュアレベルでもわかる、明確な前モデルとの違いだ。

画像: タイガー・ウッズもスイッチしたブリヂストンのニュー『ツアーB XS』。衝撃吸収材を配合しショートゲームでの初速を穏やかに。距離感が合わせやすい。

タイガー・ウッズもスイッチしたブリヂストンのニュー『ツアーB XS』。衝撃吸収材を配合しショートゲームでの初速を穏やかに。距離感が合わせやすい。

前モデルでは「XS」のフィーリングが好きだった筆者だが、新カバー搭載の最新「XS」でアプローチ・パットをしてみると少し柔らか過ぎる(音が静か)感じがした。むしろ最新の「X」の方が柔らかくなったぶん、今までの「XS」に近い感じで使えるのではないかと思ったほどだ。これくらいフィーリングの変化があれば、国内プロツアーでも「X」を選ぶプレーヤーが増えるのではないか? と個人的には予想している。

ゴルフボールは初速制限されているし、最新ボールはどれも昔の糸巻きボールのようにドライバーで打つとハイスピンになり吹き上がってしまうということがない。雑誌などでは便宜上スピン系、ディスタンス系などと分けられていたりするけれど、ロングショットで比べたら全てのボールが低スピンでよく飛ぶディスタンス系である。明確に違うのは「寄せやすいかどうか」だ。

スピンがものすごくかかれば寄せやすい訳でもない。ソフトなら寄せやすいというわけでもない。感じ方は人それぞれ、結果もそれぞれ。だからこそ「寄せやすさ」を基準にゴルフボールを選んでみる意味がある。飛ぶボールを探すより、寄るボールを選ぶ方が簡単である。

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