ジェネシスオープンでは3日目に“救援パター”を投入して爆発
先週タイガー・ウッズがホストを務めた「ジャネシスインビテーショナル」で松山英樹が優勝争いに絡み5位タイと好成績を収めました。 初日と2日目はエースパターのスコッティー・キャメロン GSS ニューポート2を使用していましたが、3日目からパターを変更。 3日目は7アンダー「64」、最終日は多くの選手がスコアを落とす中で2アンダー「69」で5位タイフィニッシュでした。
2日目は最終ホールで起死回生のバーディーを奪い57位タイで予選をギリギリ通過。12名がタイ
だったのでもしその位置で終わっていれば賞金は2万460ドル。 最終結果の5位タイは松山以外にロリー・マキロイなど5人で分けることになりましたが、それでも賞金は31万8990ドル。2日間で“リリーフ”として投入したパターで差額の約3300万円稼いだことになりますね(笑)。
松山は3日目のプレー後にゴルフネットワークのインタビューで「昨日(2日目)終わった後と今朝練習してて振ってる感じが良く、今年に入って全然入っていなかったので気分転換に変えてみました。思いのほか入ってくれたので良かったです」とパター変更について話していました。
リビエラでは私も現場でプレーぶりを観ていましたが、最終日はとても厳しいピンポジションでした。ポアアヌア芝(poa annua、スズメノカタビラ)を2.54mmで刈り込むリビエラのグリーンは、午後になると表面が凸凹になってしまう場所も多く、ショートパットでは選手を苦しめます。
タイガー・ウッズは4日間で3パットが4回、4パットが1回とお手上げだったようです。 記録上ですが、松山のパット数は予選ラウンドの59から55と少なくなっていました。 またグリーン外からだったのでパッティング貢献度の数値には含まれませんが最終日15番で沈めた17メートルの長いスライスラインは圧巻でした。
クラブマニアの為に松山英樹が使っていたパターを詳しく説明しましょう。 ツアー選手用の完全プロトタイプで名称は「F・5」。パターヘッドのベースになるのは2020年に新発売されたスコッティー・キャメロンのスペシャルセレクトのフローバックというミッドマレットタイプ。
以前2015年に「ラウンドバック」として発売されていた形状に似ています。 このミッドマレットヘッドにクランクネック(英語ではプラマースネックと呼ばれます)が溶接されてあります。ソールのウエイトは10Gが2つ。 グリップは新モデルのグレー色のピストリーニプラス。(市販タイプはベンドシャフトのフローバック5 と 短いスラントネックのフローバック5.5があります)
パターヘッドに入る刻印線のことを「サイトライン」と呼びますが、このサイトラインにもこだわりを持つのが松山流。 今回のパターはパターヘッドの半分までしかサイトラインがありません。 このほうがこれまで使っていたエースパターと視覚的に似た感じがあるからかもしれませんね。
実はこれまでエースパターのニューポート2GSSもサイトラインには細工があり、線はバックフェースまで届いていないようになっています(写真参考)。 パター職人のキャメロン氏にこのことを
尋ねたところ「あれはヒデキからのリクエストで、構えたときにハンドファーストになりすぎると線が途切れて見えて自分ですぐに確認できるような仕組みなんだ」と教えてくれました。
マスターズまであと7週間。 今後松山はエースパターのブレードで行くのか、それとも助っ人ミッド
マレットタイプを投入するのか? 試合ごとではなく、毎ラウンドのチェックが必要ですね。