現在開催中のPGAツアー「WGCメキシコ選手権」。今大会で“ゴルフの科学者”ブライソン・デシャンボーがスタート前にしていたパット練習が、巷で話題となっている。現地で取材中の月刊ゴルフダイジェストのツアー担当・ケンジロウがレポート!

傘で影を作ってもらい、外でもレーザーパットでパット練習

HOLA! こんにちは。ケンジロウです。メキシコシティのチャプルテペックGCよりお届けしております。

メキシコ選手権3日目が終わりました。最終組のひとつ前、今日いちばんの注目組であったジャスティン・トーマス、ロリー・マキロイ、松山英樹の3人ですが、明暗がくっきり分かれました。

松山英樹は5バーディ5ボギーでスコアを伸ばせず9アンダーのままで9位タイ。一方のトーマスは6つスコアを伸ばして15アンダーの単独首位に躍り出ています。マキロイは3つスコアを伸ばして11アンダーで4位タイ。

松山英樹はこれで優勝が難しくなりましたかね。ただ、ジョン・ラームが今日「61」を出したように、このコースならビッグスコアも可能性がないとも言えませんね。現に松山は金曜日に「64」を出していますからね。最終日の巻き返しに期待しましょう。

さて、今日の話題は最終組で回っていたデシャンボーについて。昨日の2日目は長いパットを何度も決めて、パットの指標となるストロークゲインドパッティングが4.563(全体の2位)という素晴らしい数値を出しました。

画像: WGCメキシコ選手権3日目を終えて現在通算11アンダー、4位タイのブライソン・デシャンボー。とくに2日目はパットが冴えわたっていた

WGCメキシコ選手権3日目を終えて現在通算11アンダー、4位タイのブライソン・デシャンボー。とくに2日目はパットが冴えわたっていた

実はそのデシャンボーのスタート前のとあるパット練習が話題になっています。テレビ中継でその練習がやたら映されていたんですが、どんな映像かというと、デシャンボーのお付きの人(コナーさん)が着ていた上着を高く掲げて、アドレスのボールのところに影ができるようにしていたんです。コナーさん、けなげですよね、練習中ずっと手を高く上げて、ボールの付近に太陽の光が入らないようにしていたんですよ。

なぜかって? それはデシャンボーが練習で使っていた練習器具の「レーザーパット」というものに秘密があるんです。

「レーザーパット」は日本でも売っているので、ご存じの方もいると思います。

レーザーが出るアタッチメントをパターのシャフトにつけることで、ヘッドを中心として飛球線の前後にレーザーが出て、ヘッドがどこを向いているかが一目瞭然でわかるという代物。ストロークとともにレーザーも動くので、ヘッドの動く軌道もわかる優れものです。

画像: パターにレーザーパットをセットするデシャンボー

パターにレーザーパットをセットするデシャンボー

詳しくは2日目の試合後の会見でデシャンボーが言及しているので、本人に解説してもらいましょう。

「レーザーパットをつけるとクラブのフェース面とヘッド軌道の関係が一目瞭然でわかるんだ。練習ではレーザーの動きとグリーン上に引いたライン(ターゲットライン)とのズレを確認していたのさ。コナーには悪いけど、影をつくってもらったことでレーザーの照射がはっきりと見えてよかった」

なるほど、いかにもゴルフ界の科学者たるデシャンボーぽい発言。つまりグリーン上に引いたその線上をレーザーのラインがちゃんとなぞっているかどうかを確認しているということですね。

デシャンボーは続けます。

「この練習だと、バックスウィングのズレ、フォロースルーのズレ、あとはフェースがどちらを向いているか、すべてがわかるんだよ。レーザーだと点ではなくて、線を可視化できるからいいよね。でも僕らには今日、まさに(日差しを遮る)傘が必要だったかもしれないね(笑)」

と、このような話を昨日聞いていたので、3日目の今日、スタート前のパッティンググリーンでデシャンボーの練習を観察することにしました。

スタートの約1時間半前に現れたデシャンボーとお付きのコナーさん、見ればコナーさん、今日は傘を持ってきていましたね。これなら腕がプルプルしなくていいですよね。

デシャンボーはボールに線を引き、そしてグリーン上にも線を引き、シャフトにレーザーパットをセットして、ようやく練習スタート。コナーさん、傘を差してしっかりとデシャンボーのヘッド近辺に影を作ってあげていましたよ。

画像: 傘で影を作ってもらい、練習グリーンでもレーザーパットでストロークをチェックするデシャンボー

傘で影を作ってもらい、練習グリーンでもレーザーパットでストロークをチェックするデシャンボー

続けてレーザーパットに加え、GCクワッド(インパクト解析器)をボールの前において、さらにインパクトのブレをチェック。最初は約10メートル先のティをめがけて打ち、続いて9メートル、8メートルと徐々に距離を縮めて最後は3メートルぐらいまでを、レーザーとGCクワッドのチェックを交えながら練習していました。

画像: レーザーパットに加え、GCクワッドも投入。最新の解析器を用いて自分のパットを解析していく

レーザーパットに加え、GCクワッドも投入。最新の解析器を用いて自分のパットを解析していく

続けて、レーザーパットを外し、GCクワッドもやめて、傘もたたんで、2メートルぐらいのスライスラインを練習。こちらも20球ぐらいやりましたかね。

そしてそのあとは再び10メートルのロングパット。打ってはカップのところまでボールを取りに行って、持っている傾斜計でカップ周りの傾斜をやたら測っていましたね。

実に練習時間は50分ぐらい。スタート前とは思えない入念な練習でしたね。最後はロングパットを打ち終えて、満足気に打撃練習場へと去っていきましたよ。

練習は実に細く、これは付き合うほうも大変だなぁとしみじみ思いました。これだけやるからパットが入るんでしょうね。でも毎試合、この練習をするのはとても根気がいると思ってしまうのは私だけでしょうか……。

以上、メキシコシティからお届けしました。

写真/姉﨑正

This article is a sponsored article by
''.