松山と3日間同組だったトーマスに注目
HOLA! こんにちは。ケンジロウです。
メキシコシティのチャプルテペックGCよりお届けしております。
メキシコ選手権最終日が終わりました。
いやー、リードが逃げ切りましたね。前半上位陣が伸び悩む中、デシャンボー、ラームが伸ばしてきて、誰が勝つかわからない状態でした。
そんな中パトリック・リードが頭ひとつ抜け出して、デシャンボーの猛追をかわしてWGCのタイトルを勝ち取りました。
一時は松山英樹もトップと3打差まで詰めたんですがね、やはり昨日伸ばせなかったのが響きましたね。
私の優勝予想はジャスティン・トーマスかジョン・ラームだと思っていたのですが、ジャスティン・トーマスはまさかの失速でしたね。今日はショットが安定せず、パターも入りませんでした。
しかしリードはこういう接戦に強い。ふてぶてしいほど強いですね。15番、16番、17番で3連続バーディを取ってくるあたりはさすがです。
さて今日の話題はというと、最終日こそ失速したものの、ただいま絶好調のジャスティン・トーマス(以下ジャスティン)です。ジャスティンは実は3日間松山英樹と同組だったので、彼のプレーを今回はマジマジと“観察”することができました。
いやー、ほんとそつがないと言うか、なんでも上手いですよね。ドライバーは飛ぶし、アイアンは上手いし、アプローチも寄るし、パットはまあまあ入るし。3日目のプレーなどは、まったくスコアを落とす感じがない、まさに“スキがないプレー”でした。
松山とトーマスのスタッツはそっくり!?
面白いことに、スタッツを見ると、2019年シーズンは松山英樹とそっくりでした。
グリーンを狙うショットの指標となるストロークゲインドアプローチザグリーンが2位、ショット全般の指標となるストロークゲインドティトゥグリーンが2位、パットの指標となるストロークゲインドパッティングが144位。
一方松山はストロークゲインドアプローチザグリーンが5位、ストロークゲインドティトゥグリーンが3位、ストロークゲインドパッティングが97位。
どうですか、なんか似ていませんか? つまり、二人に共通して言えることは、「ショットでスコアを稼いでパットで損している」ということですね。
ジャスティンと松山は一緒に回るケースが多くライバル視されていますが、実は似た者同士だったのか……。
さて、上に挙げたストロークゲインドアプローチザグリーンが表すように、ジャスティンは特にグリーンを狙うショットが上手く、150ヤード以内にくるとピンにビタビタ絡めてきます。PGAツアーで活躍している選手の中で、いちばんショートアイアンやウェッジのコントロールショットが上手いのではないかと思います。
練習場でジャスティンのアイアンの音を聞いていると、とてもいい感じの乾いた音がしますもんね。その音を録音して、ずっと聞いていたいぐらいです。
ジャスティンのショートアイアンのスウィングについては4月号の月刊ゴルフダイジェストでも特集しています。その中で彼のショートアイアンのショットのどこが凄いのかを内藤雄士プロコーチに解説してもらっているので、ここでも紹介していきますね。
「ジャスティンは少しスティープにクラブを下ろしてフェースを開いて閉じるいわゆる昔ながらのオーソドックスなスウィングで、やはりアイアンでボールをコントロールするには向いていると言えます。特にジャスティンは絶妙なリリースポイントを持っていて、フェースに球を乗せるのが上手い。ですから左右高低の球を打ち分けるのも得意ですし、フェースの下目に当てて“吹ける球”でグリーンに止めることもできる。スピンコントロールも自在なので、これが絶妙な距離感を作っているんでしょうね」
なるほど。シャットフェースでシャローにクラブを下すというスウィングがもてはやされがちですが、やはりジャスティンのようなヘッドを開閉させてクラブを“タテ”に使うようなスウィングがアイアンをソリッドに打つには大事になってくるんでしょうね。
思えば松山英樹もどちらかというとフェースを開いて閉じて打ついわゆるクラシカルなタイプ。アイアンの切れ味はジャスティンに引けを取りませんよね。今日の14番の2打目のアイアンショットなどはベタピンに寄せて、このショットには普段反応の薄いメキシコのファンたちも拍手喝采でしたね。
やはりこの二人、意外といろんなところで似ているのかもしれませんね。
以上、メキシコシティからお届けしました。
写真/姉﨑正