短くするとミート率が上がる!?それだけじゃない短尺の意味。
昨年後半から40インチまで短く改造したドライバー(マグレガーMc7/エストリックスバルマーシャフト)を使っているが、なぜそんなにシャフトを短くしたかについて少し誤解があるようなので、改めて説明しておきたい。
40インチドライバーについて、知人も含めよく聞かれるのは次のようなことである。
・ミート率がよくなるんでしょ?
・飛距離は落ちないの?
・曲がらないんでしょ?
・長いクラブが苦手なんですよね?
こう聞かれたら、次のように答えている。
・ミート率がよくなるんでしょ?
→ 正直、あまり変わりません
・飛距離は落ちないの?
→ 最大飛距離は落ちると思います
・曲がらないんでしょ?
→ ミスれば曲がります
・長いクラブが苦手なんですよね?
→ 特に苦手意識はありません
この回答では、40インチドライバーに何のメリットがあるか、さっぱりわからないだろう。正直にいうと、飛距離云々が目的ではない。ここに認識のズレがあると思うのだ。
まず、ドライバーを短くし始めたのは、通常のドライバーが軽く、長く、ヘッドが大きくなり過ぎ、キャディバッグの中で“浮いた”存在になってしまったと感じたから。ドライバーを使う時だけ、妙にスウィングのことを考えてしまうし、他の13本と違うことをしようとしていることに気づいたからである。
そしてもう一つ。長いドライバーを振ると、どうも持病の“ゴルフ肘”が悪化してしまう感じがしたからである。長いクラブにはそれだけ強い遠心力(慣性)がかかっていて、自分はそれを負荷として感じているのだと思った。
この2点がドライバーの短尺化の理由であり、特に飛距離や弾道を改善するための苦肉の策ではなかったのだ。
飛距離アップしたい気持ちは否定しない。短尺ドライバーは、単なる選択肢。
私の他にも、ドライバーを特別なクラブと感じ、ある意味、慎重に、ドキドキしながらスウィングしている人は少なくないと思う。最新のレッスンにも、重心距離が長く、慣性モーメントの大きい“今どきドライバーはこう打て!”というものがあったりする。それもドライバーが今までの仕様と違ってきていることの示唆だろう。
ゴルファーがずっと追い求めている飛距離アップの夢を叶えるために、ドライバーはまずヘッドが大きくなり、次にシャフトが長くなり、軽くなり、しなやかさを増してしなりを使えるようにどんどん進化(変化)してきた。この結果、最大飛距離を伸ばせる可能性が広がったのは確かである。この点については否定しないし、まして飛ばしたいゴルファー心を批判するものではない。ここは改めて強調しておきたい。
その上でなぜ、最大飛距離を狙えるドライバーと逆の方向の試行錯誤をしたのか。それが先に書いた2点の理由。【1】ドライバーを他のクラブと仲間にしたい 【2】肘にかかる負担を減らしたい、からだ。
ゴルフは14本のクラブを駆使して進んでいくスポーツ。もっともシャフトが短いパターの次に、もっとも長いドライバーを打たなければならない。繊細なパットの次に、豪快なロングドライブを打たなければならない宿命にあるのだ。そこにゴルフ道具選びの難しさ、あるいは面白さがあるといえる。
飛距離アップ!ミスにやさしい!など、クラブごとの結果で道具を決めるのも選択だが、クラブ同士のつながり、与え合う影響について考慮し、「セット」としてクラブ構成を考えていく、それも選択である。
「セット」としてクラブ構成を考えていくと、ブライソン・デシャンボーのようにクラブ長さを統一していくプレーヤーや、クラブ全体の振りやすさを揃えていく調整法(クラブMOIマッチング)を取り入れる工房が現れたりするわけだ。
ドライバーの特別感を緩和するもっとも簡単な方法は、ドライバーを短く握って打ってみることだ。それだけでドライバーは他のクラブに近づいていく。ドライバーを短く握ったり、シャフトを短くしたりした効果が、他のショット(特にアプローチ・パット)の安定として表れた、という人もいる。ドライバーを短く握るとどうなるか? ぜひ、ご自身で楽しみながら、試行錯誤していただきたいと思う。