父・秋山幸二との“コミュニケーションツール”としてゴルフをはじめた
ーーゴルフを始めたのはいつ頃?
始めたのは5歳のときで、母が勧めてくれたんですよ。父はそのときダイエー(現ソフトバンクホークス)に所属していて一年の半分は遠征でいなかったですし、家にいるときはずっとゴルフばかりしていたので「一緒にやってみたら?」って。共通の趣味がないと、男親だし娘だし心配だったんだと思います。でも、最初の一年はクラブを握らせてもらえませんでした。
ーーゴルフをはじめたのに、クラブはなし?
クラブを使って練習するんじゃなくて、棒の先にテニスボールがついた器具を振る“体操の時間”っていう一時間くらい、父と一緒に体操をする遊びからゴルフが始まったんです。変な癖がつかないようにって。
ーーさすがアスリートですね。
結局クラブを握らせてもらえたのは6歳で、そこからは父とどこかに行くとしたら練習場だったので「パパと遊ぶ」=「ゴルフ」みたいな感じで。それで遊び場が練習場。なんだか気づいたら好きになったっていうか、自然と生活にゴルフが溶け込んでましたね。
中学では全国で5位。日本女子アマチュアゴルフ選手権にも出場したジュニア時代
ーー競技ゴルフに進んだきっかけは?
小学校に入ったくらいから、地元でジュニアのレッスンみたいなものを受け出したんです。普通に楽しくゴルフをしていたんですけど、小学校4年生くらいの時にそこの先生から試合を紹介されて、初めて試合に出たのが九州小学生ゴルフ選手権大会。トーナメントがどんなものなのかよく分かってなかったんですけど、その大会で優勝しちゃったんですよ! で、いきなり囲みのインタビューを受けて地元の新聞の一面に載ってしまって。「ゴルフしてるとこういうことにもなるんだ!」って、すごく新鮮でした。しかもこれがきっかけで母も楽しくなっちゃって、そこからどんどん試合に出ていくスタイルになってしまいました(笑)。
ーー“プロになるぞ”とは?
試合に出るようになってからもプロになろうっていう意識はあんまりなくて、ゴルフを通じて友達に会う、とかそういうのが一番楽しかったですね。九州とか全国のいろんな大会に出たり、行動範囲が広がっていくのも面白かったです。でも全国大会に出るようになってからはやっぱりプロになりたいなっていう意識が強くなって、中学校に上がってからはよりしっかり取り組んでいました。
全国中学校ゴルフ選手権は最高で5位で、日本女子アマも出ることができましたし、「フンドーキンレディス(2010〜2012年に開催された国内女子ツアー競技)」も推薦頂いて出してもらったりして、いくつか実績を残すことも出来ました。
ーー仲良くなったり今でも親交のあるプロは?
いっぱいいるなあ(笑)。九州勢でいうと勝みなみとかもそうですし、篠原まりあとかは同期でずっと一緒にやっていたので仲良しです。柏原明日架とかもそうですね。あ、古賀エイミ(エイミー・コガ)も!
エイミはハワイに住んでたんですけど、全国中学校ゴルフ選手権の時は日本に来てたんですよ。当時日本語は上手くなかったので、周りが真凜なら英語喋れるよって紹介してくれて(※幼稚園から高校までインターナショナルスクールに通っていたため英語をしゃべることができた)。そこからハワイに行って一緒にラウンド行ったりとかしてました。もう本当にあのまんま「んーエイミーはねー」みたいな感じです(笑)。
病気の母との時間を優先した高校時代
ーー高校時代はゴルフから離れています。
中学校3年生の時だったかな、お母さんが病気して、当時子供だったのでしっかりと状況は把握できなかったんですけど、なんとなく雰囲気で病状の深刻さは伝わってきて……。一人で全国回ることも可能でしたけど、それよりかはお母さんと一緒にいようって優先順位を付けました。
ーーゴルフはそこでキッパリ止めてしまった?
そうですね。高校卒業する年に母が亡くなってしまったんですが、多分中学校3年の最後に試合出てから大学で上京するまで一回もクラブを握ってなかったと思いますね。
お父さんと仲良くなるために始めたゴルフですけど、実際全国を一緒に回っていたのって母とだったので、ゴルフの思い出は母との思い出が多くて……。
ーー再開したきっかけは?
ゴルフをしている時が一番母が喜んでくれていた時間だったので、完全に止めてしまうのも母は反対するだろうなっていう思いがあったんです。そろそろゴルフしなきゃ! っていう義務感もあって、せめて下手にはならないように(大学時代に)練習を再開しました。それに、何かしらゴルフに携わった形でお仕事がしたいなという気持ちもあったので。
スポーツキャスターとして順調にキャリアを歩み始めた秋山。これからの目標は?
ーー昨年大学を卒業してすぐにきた仕事がタイガーの通訳・インタビュアー。
そうなんですよ、もうビックリしちゃう(笑)。最初にタイガーと仕事したのが、ZOZOチャンピオンシップ練習日前のナイキさんのイベントだったんですけど、わたしそのイベントに行きたくて応募してたんですよ。そしたら後日(所属する生島企画室の)社長から電話あって「タイガーと仕事だよ」って。私も突然で頭がついていかなくて(笑)。当日はいままで生きてきた中で一番緊張しました。あんまり記憶ないです。
結局そのイベントの後も、大会中ずっとタイガーにインタビュアーとして密着することになって、すごく充実した時間でした。
ーータイガーの印象はどうでした?
実は11歳くらいの時に1回、KBCオーガスタゴルフトーナメント(現:RIZAP KBCオーガスタゴルフトーナメント)の前夜祭で会ってるんですよ。その時よりも全然フランクで柔らかい印象でしたね。ラウンド後とかピリピリしがちなはずなのに、ずっと笑顔で受け答えしてくれて、もうほんとにすごく幸せでした。
ー個人的なお話とかもされたんですか?
少しだけお話しできるタイミングがあって、「実は昔はプロゴルファーを目指していて、お会いしたこともあるんです。一番尊敬している選手です」ってお伝えしちゃいました。そしたらタイガーは「あ〜どれだろう? 誰々さん?」って一生懸命思い出そうとしてくれて(笑)。最終的に思い出していただけなかったんですけど、こんなことにまで誠実に対応して頂けたことに感激でした。
ーータイガーに密着されていたのであまり印象が少ないかもしれませんが、他にも印象に残った選手はいましたか?
わたしアダム・スコット様が大好きで(笑)。チラッとしか会えなかったんですけど、超うれしかったです。でも皆さん優しいですよ。ZOZOチャンピオンシップに出てくるようなワールドクラスの選手からは、“わたしみたいなインタビュアーは雑に扱われて当然”くらいに思っていただったんですけど、全然そんなことないんです! インタビューをしても「今ので大丈夫?もっと話そうか?」みたいな感じで皆さん本当に紳士で優しくて。一流アスリートは心まで一流なんだなって感動しました。ジェイソン・デイとかバッバ・ワトソン、ジョーダン・スピースとか名前を上げたらキリがないですけど、本当に素敵な方々でした。
ーー最後にゴルフ関係の仕事も多くなってきていると思いますが、今後の目標などはありますか?
ラウンド後のインタビューもそうですけど、ラウンドリポーターみたいなこともやってみたいです。やっぱり一番理解しているスポーツがゴルフですし、昔の友達たちとも会えるのでジュニア時代を思い出して懐かしくて楽しいですね。これからもゴルフの仕事はたくさんしていきたいと思っています。
協力:トータルゴルフフィットネス