2020年の注目モデルのひとつ、テーラーメイドのSIMシリーズ。なかでも、マキロイや松山英樹が使用した「SIM MAXレスキュー」に注目したのは、ゴルフトレンドウォッチャー・コヤマカズヒロ。自腹で買って打ってみたら……ちょっと意外な性能だった!?

マキロイは「7番みたいにやさしい」と言っていたが……意外とムズい!?

PGAツアーでは1月初頭から、テーラーメイドのNEWモデル「SIM」を使用する選手が続出している。テーラーメイドの契約プロはすでにほとんどの選手が「SIM」にスイッチしているようだ。そのせいか、2月に発売してからの売れ行きもなかなか好調だという。

ゴルファーの興味を引いているのは、やはりドライバーだ。「SIM」派とより寛容性のある「SIM MAX」派に分かれるようで、どちらを使うのかは議論の的になっている。そして今回はフェアウェイウッドの評判も良いようだ。そんな中、ギアマニアの間で話題になっているのがユーティリティだ。

画像: ロングアイアンの名手でもあるマキロイだが、今回は「SIMMAXレスキュー」を投入した(写真は2020年のファーマーズインシュランスオープン 撮影/有原裕晶)

ロングアイアンの名手でもあるマキロイだが、今回は「SIMMAXレスキュー」を投入した(写真は2020年のファーマーズインシュランスオープン 撮影/有原裕晶)

「SIM」のシリーズで、ユーティリティと呼べるのは1機種。それが「SIM MAX レスキュー」だ。なんでもこのクラブをダスティン・ジョンソン、ロリー・マキロイ、そして契約外選手である松山英樹もバッグに入れているという。松山はこれまでもウッド型UTをいくつも使用していたが、DJとマキロイはロングアイアンの名手。ウッド系UTを使うのは、ほぼはじめてだという。

そんな話聞くと、もう買わずにはいられない。試打どころか、ろくに現物も見ないでネットで注文してしまった。番手は3Uで、ロフト角は19度。トッププロ3人が愛用するのもこの番手だ。さすがにシャフトは真似できないので、日本シャフトの「NSプロ950GHネオ」をカスタム注文した。

1週間あまりで到着し、早速、練習場で打ってみた。

すると、どうも思っていたのと勝手が違う。意外と難しいのだ。ボールはもうひとつ上がりきらないし、左右の曲がりもそれなりにある。マキロイはPVで「7番アイアンのようにやさしい」とコメントしていたが、筆者の技量では少なくとも7番アイアンのようには打てなかった。

近年のテーラーメイドの歴代レスキューは、「M2」、「M4」、「M6」とボテッとしたウッド型UTで、ボールが上がりやすく寛容性があるやさしいモデルばかりだった。筆者もそのイメージのまま購入したため、ロフト角19度も十分使えるだろうと踏んでいた。

画像: マキロイ本人が使用する「SIMMAXレスキュー」(写真は2020年のファーマーズインシュランスオープン 撮影/有原裕晶)

マキロイ本人が使用する「SIMMAXレスキュー」(写真は2020年のファーマーズインシュランスオープン 撮影/有原裕晶)

テーラーメイドには2年前まで「M1」や「M3」にもレスキューがあった。こちらはウッド型UTとはいえ、ヘッドが非常にコンパクトで操作性が高く、アイアンのように扱えるクラブだった。つまり難しいモデルとやさしいモデルが2機種ラインナップされていたのだ。

そして、「SIM MAX レスキュー」は、「MAX」と名がついているものの、これらの2種類のUTの中間的な存在のクラブだ。「M1」や「M3」のレスキューに比べると圧倒的に寛容性があるが、「M4」や「M6」のレスキューに比べると操作性が高い。

こうして打ってみると、これまでウッド型UTを使わなかったDJやマキロイが使えたのも、少し理解できた気がした。ヘッドスピードが速いゴルファーにとて、ウッド系UTの弱点は左へのミスが出やすいこと、そしてバックスピン量が多くなりすぎることだ。その2点が解消されているのだ。

「SIMMAX レスキュー」は、適度な寛容性を持ちながら、つかまりはやや抑えられ、スピン量も増えすぎず、前に飛んでいくボールになりやすい。パワーヒッターが大きな飛距離を出したり、高い弾道でドローやフェードを打ち分けたりするのに適したクラブだと言えるだろう。これならアイアン型UTを使っているツアープロたちも、このモデルにスイッチするケースがありそうだ。

筆者の「SIM MAX レスキュー」だが、ティアップすれば球は上がるし、頑張れば地面から距離を稼ぐこともできそうだ。ビシッと当たれば飛距離性能は高い。ロフト角22度のほうが良さそうではあるが、とりあえず19度を使いこなせるように、努力してみようと思う。

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