サンドウェッジのロフト角と言えば58度、もしくは56度が主流だが、はたしてどちらがアマチュアにとって最適な選択なのだろうか。業界屈指のギアオタクでクラブフィッターの小倉勇人が語る。

58度が人気なのはプロが使っていたから

皆さんこんにちは、ギアオタク店長の小倉です。今日はウェッジ、それもサンドウェッジ(以下SW)についてお話したいと思います。

皆さんはSWのロフト角は何度を愛用されていますでしょうか。一般的には56度、58度のどちらかだと思いますが、私の体感としては58度をバッグに入れている方が6~7割ぐらいといった感じです。58度が主流というか人気になったのは、日本で活躍するツアープロのセッティングを雑誌などが紹介したのがきっかけだったと記憶しています。

画像: サンドウェッジのロフト角、みなさんは何度のものを使ってる?(撮影/小林司)

サンドウェッジのロフト角、みなさんは何度のものを使ってる?(撮影/小林司)

そもそもウェッジは、昔はアイアンセットに組み込まれて販売されていて、単品で購入することはできませんでした。私もゴルフを始めたてのときは、「S」とだけ書かれたロフト角の知らないウェッジでプレーしていたものです。そこにロフト角が記載され、単品で購入できるウェッジが発売されたのですが、その時期に多くの日本の男子プロが愛用していたのが58度でした。それが元でいまだにSWというと58度が取り上げられることが多いですね。

しかし海外に目を向けると58度というウェッジは意外と少数派です。海外ではよりロフトの付いたロフト60度前後のロブウェッジと呼ばれる番手を入れる選手が多く、その上の番手は55~56度のウェッジを組み合わせるのが主流で、ロフトの近い58度を入れるプロは少ないのです。

これは芝質の違いによるところだと思います。海外の芝は粘っこく沈んでしまうことが多いので、ボールをクリーンにほじくり出すように打ち、なおかつ高さを必要とする状況が多いから。バンカーに関してもロブウェッジとその下のウェッジを距離やあごの高さ、ライなどで使い分けているようです。

前置きが長くなりました。何が言いたいのかといいますと、バンカーにしてもアプローチにしてもアマチュアには58度よりも56度のほうが結果は出しやすいですよ、ということ。その理由として、ロフトのあるウェッジほどボールの下をヘッドが抜けてしまう、いわゆるダルマ落としの状況になる確率が上がるため、飛距離が安定しにくいということが挙げられます。

お助けウェッジと呼ばれ、ミスに強い設計になっているウェッジは総じて56度になっているのもそういった理由です。ミスに強いウェッジの条件としては、ロフト角の他にバウンス角が多め(12度前後)であること、もしくは幅広いソールを持っているという点が挙げられます。もちろんこういったウェッジはデメリットもあり、細かいテクニックが使いづらくなるといった点もありますが、ウェッジを苦手とする方にとってはさほど問題にはならないでしょう。

海外でプレーするならともかく、普通に日本でプレーするならウェッジはロフト角56度のモデルを選ぶことをお勧めします。自身でテクニックを磨きたい、細かいコントロールをしたいというのであれば58度でも良いですが、日本でよほどの試合でもない限り58度じゃないと寄らないというような厳しいコンディションはまずないです。

それに56度だからと言って、テクニックが使えないわけではありません。バウンス角やソールの形状によっては十分厳しいライからでも対応できるモデルにすることができます。私自身も56度をずっと愛用しており、困ったことはないですね。

58度をお使いの方でウェッジの距離感にお悩みの方、ボールの下をヘッドが抜けてしまうミスが多い方は一度56度のウェッジを試してみてください。

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