アプローチ・パットの打感・手応えで、ゴルフボールを「選別」してみよう
最近、ショートコースでゴルフボールの性能チェックばかりをしている。チェックといっても測定器など持ち込んでいるわけではなく、暇を見つけてはアプローチを繰り返しているだけだ。なんのデータもないけれど、繰り返しやっていれば嫌でも各ボールの特徴が掴めてくる。
とくに打球音・手応えの違いは歴然。カツン! と硬く感じるもの、今打ったの? と思うほど音がしないものなどいろいろだ。私はここ数年、タイトリストのプロV1を使っているが、その慣れ親しんだ感覚で他のボールをアプローチ(10メートル/ピッチエンドラン)打ったとき、次のように感じた。
・タイトリスト NEW AVX……やわらかい! 手応えも意外にある。
・ブリヂストンスポーツ Tour B X ……意外にやわらかい! 手応えも十分!
・ブリヂストンスポーツ Tour B XS ……音がしない! 手応えもう少し欲しい!
・本間ゴルフ TW-X……音がしっかり。手応えは軽め!
・本間ゴルフ TW-S……音がしっとり。手応え十分。重ため!
やわらかい、軽い、しっかり、しっとり、重ため、十分ある、もう少し欲しいetc……。こう書かれてもそれぞれのボールがどんな特徴で、どれがよくてどれがダメなのかさっぱりわからないだろう。当たり前だが、打った本人で、それを文字にした私にでなければ、フィーリング的な違いなどわかりようがない。だからこそ、他人が打って漏らした“このボールの打感、最高!”などというコメントは何の助けにもならないと思っている。そのテスターがどんな打感を好きかもわからないのである。
それでは! と、アプローチでのバックスピン量などを計測して比較する企画もあるが、個人的には人が打った数字、あるいは自分が打ったボールのスピンが何回転あるのかについても気にならない。なぜなら、たとえばバックスピンが一番かかっていたボールを選んだところで、アプローチが寄るとは限らないからだ。
逆にいえば、感触が心地よく、イメージ通りに寄ってくれるようなボールがあれば、バックスピン量などどうでもいい。数字を知ってしまうと余計なことを考えてしまうので、スピン量など教えて欲しくないと思うほどである。
最近のボールはどれもドライバーではロースピン。違いはアイアン以降に出る
打球感、手応えなどは数値化できない。傍目からみれば非常にあいまいで掴みどころがないものであるが、ゴルフボールのバリエーションというのは、意外にその見えにくい“好み”を満たすために考えられているものだ。
例えば、タイトリストのフラッグシップ「プロV1」「プロV1x」「AVX」の3種類でアプローチやパッティングをしてみれば、それぞれに違う音がして、手に残る手応えも違うことがわかるはず。アプローチでは、打ち出し角度の高さが違うこともよくわかると思う。
ブリヂストンのTour Bでも「X」と「XS」を交互に打ってみれば、誰でも明確な打感、手応えの違いを感じることができる。それはテーラーメイドの「TP5」「TP5x」、キャロウェイの「CHROME SOFT」「CHROME SOFT X」、スリクソンの「Z-STAR」「Z-STAR XV」でも同じである。簡単にいえば、各ブランドとも必ず打感の“硬い”、“軟らかい”のバリエーションを揃え、感覚的に選べるようになっているのである。
アプローチ・パッティングでの心地よさ、タッチなどを基準にゴルフボールを選ぶことをなぜ推奨するかといえば、ラウンドスコアに占める打数の割合がグリーン周りほど大きいからである。パー3、パー5の区別なく、グリーンを外せばアプローチをしなくてはいけないし、どのホールでもパッティングしなければゴルフは終わらないのだ。
もちろん、ドライバーでの飛距離性能にも大いに関心はあるが、そこについてはあまり考えなくてもいいような気がしている。なぜなら、最新のゴルフボールはロングショットでは高レベルでロースピンになってくれるからだ。ゴルフボールの違いが出るのは、アイアンショット(とくにバックスピンの量が違う)からだと考えている。
前回行ったゴルフで、アプローチ・パットはどれくらいの割合を占めていただろうか? ゴルフは1つのゴルフボールを違うクラブで打って進んでいくスポーツだ。ならば、最も多く打数を要する番手、ショットを基準にゴルフボールを選ぶのが当たり前の選択法だといえるだろう。
蛇足ではあるが、アプローチ・パットでゴルフボール各種をテストしていた結果、どうやらタイトリスト「AVX」が最も心地よくアプローチできることに気づいた。こうなると、今まで気に入って使っていた「プロV1」がやたら硬く感じようになってしまった(汗)。ゴルフボールは一度決めたら、一年は使い続けた方がいいといわれる。今年はちょっと「AVX」に慣れ親しんでみたいと思う。