ロリー・マキロイもバッグに入れるなど、世界のトップ選手も採用することが増えているユーティリティ。最近ではカスタムシャフトも充実してきているが、ではなにがいいのかというと意外とわからなかったりする。そこで、人気のユーティリティシャフトをテストしてみた!

話題のシャフトと純正シャフトでどう違う?

試打したのは、松山英樹が使用したことで話題になった日本シャフトの「N.S.プロモーダス3 ハイブリッド ゴースト」、そしてもう1本は、ドライバー用シャフトがツアーで非常に高い人気を持つ三菱ケミカルの「テンセイCKプロ オレンジ」のハイブリッド用シャフト。ヘッドはピンG410の4UT(22度)を使い、純正のアルタJCB RED(Sフレックス)と比較した。

画像: G410ハイブリッド4番(22度)で純正シャフトとカスタムシャフトを比較試打した

G410ハイブリッド4番(22度)で純正シャフトとカスタムシャフトを比較試打した

弾道計測器フライトスコープを使って東京・新小岩のゴルフスタジオ「PGST」でプロゴルファー・堀口宜篤がそれぞれ5球ずつ打った平均値が表1だ(ヘッドスピードはドライバー換算で約45m/s)。

画像: プロゴルファー・堀口宜篤が試打し、データをフライトスコープで計測し5球打った平均で比較した

プロゴルファー・堀口宜篤が試打し、データをフライトスコープで計測し5球打った平均で比較した

データから見ると飛距離、スピン量と球の高さに差があることがわかる。シャフトによって振り心地も異なることから多少のヘッドスピードの差は生じてしまうので、飛距離に加えてスピン量と球の高さにより注目したい。テストした印象を堀口プロに語ってもらった。

飛距離(ヤード)スピン量(rpm)打ち出し角(度)高さ(メートル)降下角(度)総重量(グラム)
アルタJCB228400814.730.944.5343
テンセイCK238343914.931.744362
ゴースト232373615.433.245.5372

テンセイCKオレンジはUTに飛距離を求める人に

まずはテンセイCKプロ オレンジ ハイブリッド。重さは82グラム(硬さS)だ。

「テンセイCKプロ オレンジは手元に重量のあるシートを採用しているのでドライバー用のシャフトと同じカウンターバランスになっています。純正シャフトから20グラム重くなりますが、他のクラブとバランスが変わり飛距離が出ました。ドライバーやウッドなどクラブ長が長くなることで振りにくさを感じている人にはカウンターバランスのシャフトを使ってみると、ヘッドが軽く感じられ振りやすくなり飛距離につながることが多いんです」

数字を見てみると、もっともスピン量が少なかったのがこのシャフト。その分だけ、飛距離性能もアップしているようだ。

「ドライバーにテンセイを使う成田美寿々プロはUTにもテンセイを使用していますが、振り感を揃えてていることが想像できます。先端の剛性がしっかりしているのでしっかり振っていけるし、左右のブレも少ない。飛距離を求めながら振っていけるシャフトです」(堀口)

画像: 三菱ケミカル「テンセイCKプロオレンジ ハイブリッド」

三菱ケミカル「テンセイCKプロオレンジ ハイブリッド」

ゴーストはスチールとカーボンいいとこ取り

続いては、松山が使用したことで話題となったN.S.プロ モーダス3 ゴーストだ。シャフトの重量は90グラム、硬さはS。

「松山英樹プロも使用していますが、ゴーストはドライバーのヘッドスピードが45m/s以上は必要なシャフトです。その代わり、振れる人にはUTとアイアンでクラブ選択を迷っても同じ振り感で振れるのがメリットですね」

ゴーストの試打結果で着目すべきは降下角。45.5度と、非常に急な角度で落下していることがわかる。この数字が大きければ大きいほど止まりやすいといえ、もっとも高い打ち出し角、もっとも高い到達点がこの数字を実現している。そしてスピンがほどよく入ってくれるのもいい点だ。

「テンセイに比べるとスピン量が多いので球を操る操作性もあり、球の高さも出て、結果的に落ちてくる角度(降下角)が大きくなるので、グリーン上でより止めやすくなります。スチールシャフトのフィーリングで、カーボンのようにボールを上げてくれる性能です」(堀口)

画像: 日本シャフト「N.Sプロ モーダス3 ゴースト」

日本シャフト「N.Sプロ モーダス3 ゴースト」

アルタJ CB REDはカーボンシャフトのアイアンとマッチする

2モデルをテストしただけでも、ユーティリティシャフトにはしっかりと個性があり、それぞれ違ったメリットを持っていることがわかる。

とはいえ、だからといって純正シャフトが悪いわけではない。試打で使用したピンのG410の純正シャフト「アルタJ CB REB」も堀口に評価してもらった。

「軽くて振りやすく球もつかまります。カーボンシャフトのアイアンを使っている場合は振り感は揃うでしょう。鈴木愛プロはこのシャフトを使用しているはずです。フレックスも選べますがSフレックスの場合、ヘッドスピードはドライバーで42m/sまでの人にマッチしそうです」(堀口)

画像: ピン純正の「アルタJ CB RED」

ピン純正の「アルタJ CB RED」

アルタJ CB REDのシャフト重量は60グラムで、テンセイと比べると約20グラム、ゴーストと比べると30グラム軽い。テンセイ、ゴーストはアイアンにスチールシャフトや重めカーボンシャフトを採用している人、アルタJ CB REDはアイアンに純正(軽量)カーボンシャフトを採用している人が、振り感を揃えることができそうだ。

自分で使うなら?

純正シャフトの「アルタJ CB RED」はクセがなくボールがつかまりやすい。「テンセイCKオレンジ」はカウンターバランスで飛距離が出る。そして「ゴースト」はしっかりとスピンが入って操作性が高い。と三者三様の性格を持っていることがわかった。

ヘッドスピードのあるテスターの堀口は「自分で使うとしたらゴーストを選ぶ」と語ってくれたが、これはもちろん使う人によって異なる。

ウッドとアイアンをつなぎ、スコアメークの鍵を握ることも多いユーティリティ。そのシャフト選びにも目を向けてみては?

※2020年3月24日 文章を一部修正いたしました

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