スピンミルドシリーズの集大成的性能
ウェッジのブランドとして確固たる地位を築いたタイトリストのボーケイデザインウェッジ。同ブランドの主力となるモデルがスピンミルド(SM)シリーズだ。日本では3月6日に8代目となるSM8が発売されたばかりだが、早くも市場では注目を集めている。
そもそもスピンミルドシリーズは、世界中のツアープロが愛用することで市場に認知され、人気シリーズになった経緯がある。プロのお眼鏡に適うということはつまり、テクニックがあるゴルファーに向けた設計……というわけではなく、「むしろアマチュアにとってもやさしいウェッジですよ」と言うのは、クラブフィッターの小倉勇人氏。
「たしかにボーケイデザインウェッジの基礎には、ツアープロが求める性能を持つウェッジという点はありますが、決してアマチュアが使って難しいウェッジではありません。むしろやさしいと言っても良いかもしれません。ウェッジデザイナーであるボブ・ボーケイ氏がツアーに通い、様々なプロから意見を聞き、完成させたのがスピンミルドシリーズで、発売されてからもプロはもちろん様々な角度から常に情報収集を行い、進化を重ねてきています。最新型のSM8はその集大成と言えるんじゃないでしょうか」(小倉氏、以下同)
SM8の特筆すべき点と言えば、やはりバリエーションの多さだ。
「ウェッジは様々なライからいかにボールをコントロールできるかが重要なクラブ。ゴルファーの技量はもちろん、打ち方やコースの状況によっても使い勝手が大きく変わります。そのためにはある程度のバリエーションが必要なのですが、SM8は、9種類のロフト角、5種類のバウンス角、そして6種類のソール形状を組み合わせて、たくさんのバリエーションを用意しています」
選択肢が増えると“どれを選べばいいの?”と面食らってしまいそうだが、「その点もしっかりフォローしている」と小倉氏は続ける。
「自社でウェッジフィッティングを行っていたり、HPで質問に答えながら自身にピッタリなモデルや組み合わせを推奨してくれるセレクターを作ったりとユーザーが自分に合った物を手に取りやすくなるような工夫をしっかりと行っていること。こういった努力がブランドとしての価値をより一層高め、多くのゴルファーに受け入れられている要因だと思います」
もちろん、前提として評価されているのはウェッジとしての性能が高いから。SM8ウェッジの機能面を小倉氏に解説してもらおう。
「重心を打点に合わせるプログレッシブCGデザインを採用し、前作より重心位置を変えずに浅重心化することでさらにインパクトの安定化を図っているそうです。また溝もロフトごとに幅を変え、溝と溝の間にミーリング加工を施すなど、どんなライからでも安定したコントロールを可能にしてくれます」
小倉氏が試打を行ったのは、ソールのトレーリングエッジからヒールを小さく削ることで、高いバウンス効果と操作性を両立する、バランスタイプのSソール。
「私も試打させてもらいましたが、通常の芝、バンカー、深いラフなど様々なライからでも安定したショットができました。個人的な印象としてはボールがゆっくり飛んでいく感じを受けましたね。とてもボールコントロールがしやすかったです。正直なところ、私はあまりアプローチは得意ではないのですが、KグラインドやFグラインドなど、テクニックを使うよりも安定感が出しやすいソールも用意されていて、少々手前からボールにコンタクトしても大きなミスになりにくいスペックもあります。こういった幅広いバリエーションがアベレージゴルファーにも受け入れられているのだと思いますね」
スピンミルドシリーズの最新モデルSM8は、多彩なバリエーションと高い安定感を生み出す基本性能がツアープロからアベレージゴルファーまで高い安定感をもたらしてくれそうだ。
協力/ユニオンゴルフクラブ