グリーンを狙うクラブは飛距離だけでなく「降下角」にも注目しよう
テーラーメイドとキャロウェイの新UTはどう進化しているのだろうか。SIMマックス(22度)とマーベリック(20度)、マーベリックプロ(23度)、マーベリックマックス(21度)の4モデルを試打してみた。
ちなみに、ドライバー、フェアウェイウッドにはマックスがつかない「SIM」というモデルがあるが、ユーティリティにはない。
弾道計測器フライトスコープを使ってテストし、東京・新小岩のゴルフスタジオ「PGST」でプロゴルファー・堀口宜篤がそれぞれ5球ずつ打ち、性能を比較した。番手はすべて4番UT、ドライバーでのヘッドスピード45m/s程度の振り感を基準に試打を行った。
各モデルを打って比較した表がこちら。ロフトが最大で3度違うことを考慮して球の高さや降下角を参考にしていただきたい。
モデル名 | 飛距離 | スピン量 | 打出し角 | 高さ | 降下角 |
---|---|---|---|---|---|
SIMマックス(22度) | 238ヤード | 3629rpm | 14.8度 | 33m | 44.9度 |
マーベリック (20度) | 244ヤード | 3547rpm | 13.9度 | 32m | 43.4度 |
マーベリックプロ(23度) | 239ヤード | 3580rpm | 14.2度 | 31.7m | 44.7度 |
マーベリックマックス(21度) | 236ヤード | 3486rpm | 12.3度 | 28m | 41.4度 |
どのモデルも4番UTとしては飛距離が十分に出ているが降下角(ランディングアングル)に違いが出ている。なんでも、ツアーセッティングのグリーンの硬さ・速さを考慮して、PGAツアーでは降下角50度、LPGAでは45度を目安にしているんだとか。
そう考えるとSIMマックスとマーベリックサブゼロの降下角は“ツアー基準”で、狙ったエリアに止まってくれる同じような性格のモデルと言えそうだ。
ではモデルごとに、試打した堀口プロの印象を聞いてみよう。
「SIMマックス」はすべての要素が高水準でまとまっている
「SIMマックスは、見た目、球の高さ、スピン量、飛距離など、どれをとっても今まで私が打ったUTの中で最高水準だと思います。それでいて難しくないので最強モデルといってもいいくらいです。つかまり過ぎないのは、フラットになったライ角とヘッド内部の重量配分に秘密がありそうです。マキロイは19度のモデルで260ヤード以上飛ばすらしいので5番ウッドの代わりに入れるのもアリですね。シャフトを選べば幅広いゴルファーの強い味方になってくれると思います」(堀口)
数値を見るとたしかに飛距離、高さ、スピン量などヘッドスピードが速くても飛距離とコントロール性のバランスが取れているモデルだ。
芯を外してもブレずに飛んでくれる「マーベリック」
「マーベリックは3つのモデルの中間的性格です。ヘッドのトゥ側にボリュームを持たせる独特の形状。フェースの高さがあるのでラフに浮いたボールも安心して打てそうですし、芯を外してもブレずに飛んでくれるます。弾きの強い打感でマーベリックの3モデルの中で飛距離と操作性のバランスが取れた中間に位置するモデルです」(堀口)
「マーベリックプロ」と「SIMマックス」は互角の性能
「マーベリックプロは、シャロ―でフラット、重心距離も長めで左へ引っかけにくい設計です。マイルドな打感で操作性が高くSIMマックスと同じような位置づけです。コンパクトなヘッドサイズはラフからでも抜けがよく、ヘッドスピードが速くても吹き上がることなく高い弾道でしっかり前に飛んでくれます」(堀口)
飛び系UT「マーベリックマックス」
「マーベリックマックスはアイアンでいうところの『飛び系』に位置するモデルです。他のモデルに比べると強い弾道で前に飛びます。アップライトでつかまりがよくスライス系が持ち球の人には特にマッチすると思います。ヘッドスピード40m/s前後の人におススメできるモデルです」(堀口)
これら4つのモデルを比べてみると、SIMマックスとマーベリックサブゼロは同じような性格で、マーベリックマックスは飛距離重視型でマーベリックはその中間といったところ。マーベリックマックスはとくにスライス系の持ち球のゴルファーにマッチすることも興味深い。
堀口プロが自分で使うとすればどれ? という質問を投げかけたところ、SIMマックスとマーベリックプロと迷いながらも、SIMマックスを選択。その理由は「どちらも高いポテンシャルを持っているので見た目の好みで決めました」とのこと。
もちろんユーティリティはほかにも選択肢が数えきれないほどある。たった4モデルを打ち比べただけでもこれだけ結果が違うから、しっかりと試打をして選びたい。
協力/PGST